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取材・執筆 : フードリンクニュース編集局 2025年10月3日
2025年1~9月に発生したラーメン店の倒産件数は46件(負債1000万円以上、法的整理)で、前年同期の60件から2割超減少した。通年でも4年ぶりに減少の見通し。帝国データバンクが調査・分析。



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年間で最多を更新した前年同期(60件)と比較すると14件・2割超減少し、4年ぶりに前年から減少した。個人店の閉業などを含めると、実際はより多くのラーメン店が市場から退出したとみられるものの、ラーメン店の倒産が急増した「大淘汰時代」からは一服傾向がみられる。
原材料費や人件費の高騰といった構造的な課題や、「ラーメン1杯=千円の壁」に代表される価格転嫁の難しさといった経営環境が、ここにきて和らぐ兆しが出てきた。帝国データバンクが各種統計情報を基に試算した、ラーメンで使用する原材料のトータルコスト推移を示す「ラーメン原価指数(豚骨ベース、東京都区部)」をみると、2020年度平均を100とした場合における2025年度の原価指数は131となった(2025年4月~7月の平均)。スープづくりから具材に至る幅広い原材料で価格が高騰した影響を受け、2020年度比で約3割増加したものの、急激な上昇をみせた2024年度に比べると上昇幅は鈍化した。
また、ラーメン店の経営環境の厳しさが認知されたことで「値上げ」に対する理解が広まり、大衆食というイメージから1杯千円を超えることに対する消費者の根強い抵抗感も徐々に薄れつつある。そのため、常設メニューでは難しくても期間限定やセットメニューの拡充、ユニークなトッピングの注文で千円を超える価格に設定するなど、「ラーメン一杯の価格引き上げ」から「トータルの客単価を上げる」戦略へシフトし、コスト増を上回る売り上げを確保したラーメン店もみられるようになった。その結果、2024年度のラーメン店各社では、損益面で「増益」となった事業者が55.0%と半数を超え、比較可能な2010年度以降で最高となるなど、収益状況も改善されつつある。
足元では、ご当地ラーメン店などを含めた「ラーメン店市場」(事業者売上高ベース)が2024年度に7900億円(見込値)へ到達し、10年前の2014年度比で1.6倍となるなど市場拡大が続いている。スケールメリットを生かした原価管理と効率化されたオペレーションで安定した利益を確保する多店舗展開の資本系ラーメンチェーンや、市場拡大をチャンスととらえた他業態からの参入など競争環境はより激しさを増すとみられるものの、逆境を乗り越えてきたラーメン店の再興が期待できる「潮目の変化」が訪れている。


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