昨今、飲食店で誕生、定着した商品が量販店を通じて家庭でも楽しむことができる例が増えている。初回は、居酒屋を中心にブームが一気に加速したレモンサワー。居酒屋から誕生した２つのレモンサワーの量販店での動向に注目した。

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　スーパーマーケットなど、量販店の冷蔵陳列棚はレモンサワーがジャックしている。ビールメーカーを中心に多種多様なRTDのレモンサワーが販売されている。10月1日から始まる酒税法の税率改正ではビールは減税、新ジャンルは増税だが、RTDは据え置きである。

　多種多様なレモンサワーが店頭に並ぶなかで、「こだわり酒場のレモンサワー」「樽ハイ倶楽部レモンサワー」は、外食市場から誕生した商品である。「こだわり酒場のレモンサワー」は、サントリースピリッツが2019年3月5日に発売、それを追いかけるように、アサヒビールが「樽ハイ倶楽部レモンサワー」を2019年3月31日に発売した。「こだわり酒場のレモンサワー」については、レモンをまるごと漬け込んだ浸漬酒と、複数の原料酒をブレンド、「樽ハイ倶楽部レモンサワー」は、レモンとウォッカをバランス良く配合、と中身については異なるものの、どちらも居酒屋から誕生したRTDである。

　家でも飲める居酒屋サワーというコンセプトであるが、果たして、量販店や消費者はどの程度、そのコンセプトを知っているのか。また、居酒屋サワーが購買意欲に繋がっているのだろうか。東京・多摩エリアに店舗を展開するスーパーマーケット4社の動向を探った。

　4社とも、アルコールの陳列棚にはレモンサワーの占有率が高く、レモンサワー人気は家庭でも高いことが分かる。しかし、各社多様なレモンサワーがあるなか、限られた条件で居酒屋発祥のレモンサワーを謳うことは難しく、上記の2アイテムとも「こだわり酒場」や「居酒屋で超人気の・・」とパッケージに記載はあるが、他のレモンサワーに埋もれてしまっている状況である。

　スーパーマーケット4社アルコールのスペースマネージメントを担当しているスタッフに2アイテムについて聞くと、居酒屋から誕生したレモンサワーであることをあまり把握していない。消費者から聞かれた場合は、アルコール度数の違いを伝えているとの事である。

　「こだわり酒場のレモンサワー」、「樽ハイ倶楽部レモンサワー」とも、セール期間でなければ価格は同額の為、アルコール度数が高い、低いかを消費者の要望によってお勧めしている。しかし、居酒屋から誕生したレモンサワーであることは特に伝えていなと言う。

　4社のスーパーでは2アイテムとも値札には商品名のみが記載されており、6缶梱包のパッケージにも商品の特徴や起用しているタレントの記載だけであって、居酒屋から誕生した商品であることの発信が弱いとも感じられる。

　1社の担当者からこんな声を聞いた。「居酒屋で飲んだことがあるお客さんであれば知っているが、多くのお客さんは居酒屋発祥のサワーとは知らずに購入していると思います。テレビCMやネット広告などで見たことあるので何となく購入しているのではないでしょうか。居酒屋発祥であれば、居酒屋で飲まれている、居酒屋で流行っている画像などのPOPを値札と併せて掲示すればお客さんにも伝わり、他のレモンサワーとの差別化になると思います」

　居酒屋発のドリンクを家庭でヒットさせるには、量販店での工夫が必要であると思われる。居酒屋で飲まれているシーンなどの画像を消費者に訴求することで、購買意欲に繋がるのではないか。居酒屋サワーだけでは差別化には繋がらない。