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取材・執筆 : 安田正明 2024年7月18日
2024年上半期(1~6月)の「飲食業」倒産は493件(前年同期比16.2%増)で、上半期としては過去最多となった。2024年は飲食業倒産が年間初の1,000台に乗せる可能性が高まっている。東京商工リサーチが発表。
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業種別の最多は「専門料理店」の123件(前年同期比32.2%増)だった。以下、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」の98件(同8.8%増)、「食堂,レストラン」の97件(同11.8%減)と続く。増加率の最大は、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」の前年同期比161.1%増(18件から47件)だった。次いで、「すし店」の同157.1%増(7件から18件)、「持ち帰り飲食サービス業」の同52.6%増(19件から29件)の順。これらの業態では、繫華街の人流回復や好調なインバウンド需要の恩恵を受けている。だが、コロナ禍で傷んだ事業者は、財務改善や過剰債務の解消が困難なまま、人件費・光熱費などの上昇を受け淘汰が進んでいる。
「新型コロナウイルス」関連倒産は244件(同15.2%減)で、飲食業倒産に占める割合は49.4%と3年ぶりに5割を下回った。コロナ関連倒産の構成比は、最大が「すし店」の77.7%(14件)で、唯一の7割だった。
一方、食材やエネルギー価格上昇などによる物価高倒産は32件(前年同期比45.4%増、前年同期22件)、人手不足関連倒産は28件(同33.3%増、同21件)と、それぞれ集計開始以来の最多を更新した。人手不足関連倒産28件のうち、7件(構成比25.0%)は「宅配飲食サービス業」で、配達スタッフの確保も課題になっている。
原因別では、「販売不振」が最多の430件(前年同期比22.8%増)だった。次いで、「事業上の失敗」が23件(同91.6%増)、「既往のシワ寄せ」が15件(同40.0%減)の順。『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)の構成比は90.2%(445件)で、上半期としては3年ぶりに9割を超えた。
コロナ禍の手厚い資金繰り支援で、飲食業者の倒産は大幅に抑制されていた。特に、各種支援策が浸透した22年上半期の飲食業倒産は237件にとどまり、05年以来、17年ぶりの200件台の低水準だった。しかし、新型コロナの5類移行後は、コロナ関連支援の終了や縮小、ゼロゼロ融資の返済の本格化などに加え、コロナ禍で潜在化していた人手不足問題が再び浮上。人件費高騰も飲食業者の採算悪化に拍車をかけている。また、食材やエネルギー価格の上昇など、様々なコストアップが進み、人流回復による売上増加だけでは追い付かなくなっている。円安や物価高に収束の兆しはみえず、2024年は飲食業倒産が年間初の1,000台に乗せる可能性が高まっている。
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