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取材・執筆 : 安田正明 2024年1月23日
2023年のラーメン店の倒産(負債1,000万円以上)は45件(前年比114.2%増)で、前年の2.1倍と大幅に増えた。2009年以降では、2013年の42件を超え、最多を記録した。また、「休廃業・解散」は29件(前年比31.8%増)で、2018年の23件を上回り、倒産と同じく15年間での最多を更新した。東京商工リサーチが調査・集計。
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~インフレに強いラーメン業界~
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倒産したラーメン店の資本金は、「1千万円未満」が40件(前年比135.2%増、構成比88.8%)、従業員数別も「5人未満」が39件(同143.7%増、同86.6%)と、小・零細規模が大半を占める。コロナ禍に続き、ロシアのウクライナ侵攻や円安進行などで、輸入小麦など原材料や食材価格、電気・ガスなどの光熱費、人件費などのコストが上昇し、収益は厳しい局面が続いている。さらに、アルバイトなどの人手不足も深刻で、コストアップに直結している。
地区別は、北海道と四国を除く、7地区で発生した。最多が関東の14件(前年比250.0%増、前年4件)だった。以下、中国の8件(同100.0%増、同4件)、近畿の7件(同75.0%増、同4件)、中部の6件(同100.0%増、同3件)、東北と九州の各4件(同100.0%増、同2件)と続く。関東はラーメン店の店舗数が多く、同業者との競合も激しく、件数だけでなく、増加率も最大となった。
物価上昇の対抗策は価格転嫁が一番だが、消費者相手では価格上昇分のラーメン代の値上げは有名店でも容易ではない。ラーメンの適正価格は"味と納得感"と曖昧で、プライスリーダーがいない業界には"千円の壁"も立ちはだかっている。消費者相手の値上げは客離れと背中合わせなだけに、今後も他店との差別化を図れない小・零細規模のラーメン店の淘汰は続くとみられる。
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