フードリンクレポート
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記事への評価
取材・執筆 : 南原卓也 2025年11月18日
【記事のポイント】
⇒「いい茶こ」が飲めるお店が全国で増えてきている
⇒地元客も観光客にも選ばれるまぁるい味わい
⇒業態もターゲットも異なる店が語る「いい茶こ」の魅力
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広島には、日常と非日常が入り混じるユニークな酒場文化が根付いている。
甘辛いソースとマヨネーズがたっぷりかかった「お好み焼き」は、飲んだ後の〆にも選ばれる代表的な広島グルメ。
実も大きくプリッとした「牡蠣」、牡蠣筏の海底に集まる小魚などを餌に育った「あなご」に代表される瀬戸内の海の恵み。
広島の西条は、京都の伏見、兵庫の灘とならび「日本三大酒どころ」と称され、広島に住む人たちの乾杯文化を支えている。平日から多く人が酒場へと繰り出し、仕事終わりの一杯を楽しむ。そこに出張や観光で国内外から訪れた人が加わり、日付が変わってもなお盛り上がっている店も多い。
2025年秋、そんな広島の酒場にも「いい茶こ」を扱う店が増えてきた。毎日お酒を飲むまちで、毎日飲んでも飲み飽きない「いい茶こ」が注目されるのは必然だろう。大阪、名古屋に続き、広島でも拡がりをみせている「いい茶こ」。広島市内で「いい茶こ」を扱う3軒に取材を行い、広島で「いい茶こ」が選ばれている理由を紐解いていく。
■炭火焼肉 ぶち 舟入店(広島市中区)
甘い脂がたっぷりのホルモン人気は、広島に限ったことではない。どの地域においてもその地域を代表するホルモンの店はあるものだ。
広島で"ぶち美味い"ホルモンが食べたければ「炭火焼肉 ぶち」をおすすめしたい。「『ぶち』といえばホルモン! ホルモンといったら『ぶち』!」と呼ばれ親しまれる人気店だ。
「ぶち美味い!」と感じてもらいたい一心で、広島を中心に東京や沖縄に店舗を展開している。自社工場での一括仕入れ・一括仕込みを行うことで、徹底した品質管理とブレのない高水準の味を提供している。
今回訪れた「炭火焼肉 ぶち 舟入店」は、趣のある建物を焼肉店へと改装したロードサイドにある店舗だ。テーブル席に加え、畳の座敷席も人気。2階の座敷席では最大40名の宴会も可能とあって地域の人たちに重宝されている。
営業中の店を覗くと、食欲そそる焼肉の良い香りと、大きな笑い声が響き渡る店内。名物の「特選白肉(上ミノ)」や「純国産特選ホルモン」は、仕事終わりの一杯や女子会など、利用動機を問わず来店するほぼすべての人が注文するキラーコンテンツだ。
出合店長
「広島では、"なか"をおかわりする(中身だけを追加する)スタイルは珍しい。知ってはいるけど、実際に体験したことがない人も多い。『いい茶こ』を提供するようになってからは、スタッフもお客様も楽しませてもらっています。いつも『緑茶ハイ』を飲んでいるお客様も、なんだか楽しいからって『いい茶こ』を飲むようになりました。」
「いい茶こ」の提供について、そう話してくれたのは店長の出合弘昌さん(以下、出合店長)だ。
「炭火焼肉 ぶち 舟入店」を訪れる客層は、平日と週末とで異なる。平日は仕事帰りのビジネスパーソン、週末は家族連れやデートを楽しむ若い人たちで賑わっている。
「『いい茶こ』を最初に頼むのは男性。そして提供された専用グラスや専用マドラーを見て、注文するのが女性。そんなイメージです。特に専用マドラーはかわいいと評判です。本格麦焼酎「いいちこ」と「うれしの茶」が織り成すまぁるい味わいもいいですね。ホルモンは食べて脂っこくなった口の中をさっぱり洗い流してくれます。ビールやハイボール、レモンサワーとは違って、炭酸飲料でない部分にも需要を感じています。」(出合店長)
出合店長が「まだ珍しい」というおかわりスタイルも、「炭火焼肉 ぶち 舟入店」ではすんなり受け入れられたようだ。
「コスパ重視の方にとって、こんな魅力的なドリンクはないでしょう。好みにもよるけど、1杯目より2〜3杯目の方が茶葉がひらいて美味しいという意見も多い。おかわりが多いのも当然ですよね。」(出合店長)
普段は2杯しか飲まない人が、3杯目をおかわりする。おかわりに合わせて、フードの追加注文が入る。会計前の"最後のもう1杯"が取りやすい。
「美味しくてお得だからお客様は喜んでくれます。店側としても、おかわりが計算できるドリンクは重要。どちらにとってもメリットのあるドリンクが『いい茶こ』です。広島を代表するグルメ「お好み焼き」にだって合うと思うし、今後扱うお店は増えていくと思います。」(出合店長)
■かき小屋袋町 海平商店(広島市中区)
広島を代表するグルメといえば、瀬戸内の海が育んだ豊かな海の幸。その中でも、ぷりっとして旨みがぎゅっと詰まった「牡蠣」は、広島の味を語る上で欠かせない。
「かき小屋袋町 海平商店」は、鮮度抜群の広島牡蠣を1年中いつでも堪能できる貴重な店だ。
定番の「焼きカキ」や「カキフライ」に加え、旬を迎える冬にのみ食べられる「カキベーコンバター焼き」や「小粒カキ天ぷら」などの限定メニューも見逃せない。名物の「ミルキー鉄男のがんがん焼き」では、牡蠣の旨味をシンプルに蒸していただく逸品。牡蠣づくしのメニューをコースで楽しめる「かきコース」も人気だ。
「かき小屋袋町 海平商店」の店内は、広島の味を求め訪れる観光客を中心に常に賑わっている。
菅田店長
2024年に広島県を訪れた観光客数は6474万人。その内、外国人観光客数は過去最多の422万人を記録した。
「ここ数年、観光で広島を訪れた方の来店がほとんどです。九州や関東からいらっしゃる方も多いですが、外国人観光客が本当に多い。特にアメリカやイギリス、ドイツ、フランスといった欧米の方が多い印象です。昨日も数組いらっしゃって、牡蠣を食べながら大盛り上がりしていきましたよ!」
そう話すのは、店長の菅田公明さん(以下、菅田店長)だ。同時に、観光客から「いい茶こ」が支持されている理由について、次のように分析する。
「関東の人の場合、緑茶ハイは飲みなれたドリンクです。お目当ての牡蠣を食べつつ、飲みなれたお酒を飲みたくなる気持ちはよくわかる。いくら広島が酒どころだといっても、日本酒が苦手な人もいますからね。外国から日本を訪れた人にとって、緑茶は日本ならではの飲み物です。この鮮やかで美しい緑色に"和"を感じ、日本らしさを見出すのではないでしょうか。」(菅田店長)
観光客に支持される一方で、地元・広島に住む人たちの目に「いい茶こ」はどう映っているのだろうか。
「広島でお茶ハイといえば『ウーロンハイ』のことを言います。"なか"をおかわりするスタイルも一般的ではありません。私も含めて"新感覚のドリンク"という印象を持っている人は多いと思います。緑茶はみんな飲んでいるし、日本の食事と合うこともみんな知っています。広島でも「緑茶ハイ」が飲めるお店がないわけではないし、緑茶ってだけで健康的なイメージがあっていいと思います。」(菅田店長)
「かき小屋袋田 海平商店」の場合、現時点で「いい茶こ」を飲む人は観光客の方が中心。しかし、女性を中心に地元の人の注文も増えているようだ。
■本通り 然然(広島市中区)
「広島本通商店街」に面していながら、周囲の喧騒とは一線を画している店がある。
1940〜50年代の戦後復興期に建てられた古民家を改装し、2020年6月にオープンした炭火焼割烹「本通り 然然」だ。「原始焼き」「炭焼き炉端」「藁炙り焼き」の3種類の手法を使い分け、「洋」のアレンジを織り交ぜた独自の炭火料理には、旬の地元食材を使うことに強いこだわりを持つ。
囲炉裏から聞こえる炭が弾ける音。炭で焼かれ、わらで炙られる香り。素材の味を引き出し、美しく盛られた広島の味。
歴史あるノスタルジックな空間で味わう、五感に訴えかける食体験は、店を訪れた多くの人の記憶に深く刻まれている。
川崎店長
広島にこだわり、広島の味を追求する「本通り 然然」において、「いい茶こ」の導入を決めた理由は"味"。そう断言するのは店長の川崎正太さん(以下、川崎店長)だ。
「一番の決め手は"味"です。『いい茶こ』を飲んでみて、単純に美味しいと思いました。広島に対するこだわりはありますが、本格焼酎は芋も麦も扱っているし、ワインも置いています。もちろん広島の地酒もありますが、お客様が好きなお酒と広島食材を自由に組み合わせて楽しんでもらえればと思っています。一口飲んで、『いい茶こ』は当店の料理にも合うと確信しました。」
「いい茶こ」が合わせる料理を選ばないバランスの良いドリンクであることは、これまでも多くの料理人が話してくれている。その点、川崎店長はより深い部分でのフードペアリングについて語ってくれた。
「炭焼き炉端、原始焼き、藁炙り焼きに共通しているのは、焼いたときに立ち上がる"香ばしさ"です。『いい茶こ』には、この"香ばしさ"を壊すことなく寄り添う優しさを感じました。魚や肉、野菜など、どの食材にも合わせやすいのはもちろんですが、ただ味の邪魔をしないのではなく、自然と馴染んでくれる。特に炭焼きとの相性は抜群だと思っています。」
多種多様な食材を使い、様々な技法で調理する店の場合、広く食事に合わせられるドリンクは重宝される。「本通り 然然」のように、長い時間をかけて食事を楽しむ"滞在型"の飲食店ならなおさらだ。
一品ごとに合わせるドリンクを変えるのもフードペアリングの楽しみ方だが、それが長時間におよぶと飲み疲れしてしまうことも少なくない。その点、食事を引き立てつつ、適度な軽さを有する「いい茶こ」なら、飲み疲れすることなく食事を楽しめる。
「最初はビールで乾杯。その後に、皆さまが好きなお酒を注文する中で、『いい茶こ』を飲む方は中盤以降にご注文いただくケースが多いです。"なか"をおかわりする方が多いのも、料理との相性や飲みやすさ、美味しさがあってこそだと思っています。」(川崎店長)
広島で日常を過ごす人たち。広島で非日常を過ごす人たち。そのどちらも愛してやまないのが広島の酒場だ。
業態もターゲットも異なる3店で「いい茶こ」が選ばれている理由は、「いい茶こ」が広島の酒場文化にフィットしたドリンクであることに他ならない。
<取材店舗>
「炭火焼肉 ぶち 舟入店」
広島県広島市中区舟入川口町13-33
TEL:082-532-0007
「かき小屋袋町 海平商店」
広島県広島市中区袋町8-11 森田ビル1階
TEL:082-249-9219
「本通り 然然」
広島県中区本通6-14
TEL:082-258-3538
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