やじうま速報
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取材・執筆 : 安田正明 2025年4月4日
コロナ禍で打撃を受けたカラオケ業界がV字回復を遂げている。2024年度の市場規模はコロナ禍前水準の3200億円まで拡大する見通し。コロナ禍で需要が落ち込んだ21年度(1740億円)から大幅に回復し、コロナ禍前の18年度(3485億円)にせまる勢いで推移している。帝国データバンクが調査・分析。
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24年度は、物価高や消費者の節約志向で余暇への支出に選別傾向が強まり、カラオケでも客単価が伸び悩む傾向がみられた。しかし、都市部では忘新年会をはじめ、コロナ禍で冷え込んでいた団体利用などの宴会需要が復活したほか、訪日客も取り込んだ。郊外店では、ファミリー層による娯楽需要が好調だった企業が多かった。大手カラオケルームではコロナ禍後を見込んで積極的な新規出店や設備更新を進めたことが奏功し、拡大するカラオケ需要を取り込んだほか、ルーム料金の改定なども行い、業界全体では売り上げが増加した企業が多かった。
また、防音性能が高いカラオケ個室の特性を生かし、歌唱以外の目的で貸し切る「歌わないカラオケ」(=通常のカラオケ利用以外のプラン)を利用するユーザー層の広がりも、市場規模の拡大に追い風となっている。コロナ禍当初はWi-Fi通信や大画面など良好な設備環境と、割安な料金を背景にオンライン会議などビジネスユースが下支えしたものの、近時の新たなトレンドとしてルームを長時間貸し切り、グループでアイドルイベントやコンサートのDVD鑑賞、ライブビューイングを楽しむ、いわゆる「推し活」ユーザー層が拡大している。そのため、鑑賞用に高性能な音響設備や大画面を備えた専用ルームを導入するなど、エンタメ・アミューズメント中心の娯楽需要を取り込む動きも奏功し、客単価の引き上げに成功した企業も目立つ。
25年度のカラオケ市場は、主な集客の一つとなる宴会需要では回復傾向が続いていると聞かれ、24年度を上回る規模に到達する可能性がある。大手カラオケボックスでは積極的な店舗出店を続けており、店舗間競争が再び激化することも想定されるなかで、「歌うだけの場所」から脱却した利用者の獲得による新たな収益チャンスを得られるかが、カラオケ各社の業績を左右しそうだ。


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