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取材・執筆 : 安田正明 2025年3月11日
2024年度に発生した「喫茶店」の倒産は2月までに66件発生し、年度累計で過去最多を更新する可能性がある。帝国データバンクが調査・分析を行った。
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24年度(2024年4月~25年3月)に発生した「喫茶店(カフェ)」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、2月までに66件発生した。前年度から1.5倍に急増した23年度通年(68件)を上回るペースで推移しており、年度累計でも2018年度(73件)を上回る可能性がある。倒産した喫茶店のうち8割以上が資本金1000万円未満の中小零細店だった。
足元では、カフェの需要は徐々に回復している。家計調査などを基に1世帯(二人以上)のコーヒー「購入杯数」を推計すると、24年度(1月まで)は1ヶ月当たり平均1.8杯となり、コロナ禍前の水準に回復した。
こうした状況にも関わらず、喫茶店の倒産が相次ぐ背景には、原材料価格に加え、人件費など店舗運営コストの上昇が大きく影響した。23年度の喫茶店における損益状況をみると4割が赤字となったほか、「減益」を含めた「業績悪化」の割合は7割にのぼり、過去最大だったコロナ禍の20年度(82.6%)に次ぐ規模となった。
小麦粉や乳製品のほか、特にコーヒー豆の大幅な仕入価格の上昇が喫茶店の経営を圧迫している。国内に多く流通しているアラビカ種の価格は、1ドル150円台で推移した円安を背景に24年度平均で1キロ900円を超え、前年度から1.4倍、コロナ禍の2020年度に比べると2.5倍に急騰した。コーヒー豆以外にも電気・ガス代、アルバイトなどの人件費といったコストに加え、都市部ではテナント料なども上昇しており、喫茶店のコスト環境は厳しさを増している。
他方で、コーヒー1杯への価格転嫁は十分に進まず、利益を十分に確保しづらい状況が続いている。もともと、喫茶店事業は客単価が低く、回転率も他業態に比べて高くない事業環境に加え、昨今は1杯100円台後半で提供する安価なコンビニコーヒーや、ハイペースでの出店で攻勢をかける大型チェーン、周辺のカフェとの競合も激化している。
昨今の物価高で消費者の節約志向が高まり、同業他店との競争も激化するなかで大幅な値上げがより難しくなっていることも、物価高に耐え切れなくなった中小零細店の倒産が増加した要因となっている。
足元では、高級コーヒーやスペシャルティコーヒーの需要を取り込み成長する喫茶店もあるほか、ブランド力のある店舗やオンライン販売では一定の売り上げを維持したケースもある。コーヒー1杯へのこだわりといった、他店やチェーン店との違いをどこまで訴求できるかが重要となる。



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