やじうま速報
記事への評価
取材・執筆 : 安田正明 2025年1月17日
2024年の「焼肉店」の倒産(負債1,000万円以上)が、過去最多の45件(前年比66.6%増)に達した。これまでの最多の食中毒問題が広がった2012年の35件を超えた。東京商工リサーチが調査。
<関連記事>

テレビ番組で大絶賛の直後に起こった集団食中毒。~えびす食中毒事件から始まった生肉規制の動き~
牛ユッケ食中毒事件の「焼肉酒家えびす」、破産開始。発生から12年。
「焼肉きんぐ」が、2ヶ月連続既存店売上減と突然の異変。『ペヤング』提供が裏目に。
倒産急増の背景は、コスト高と競争激化が大きい。輸入肉だけでなく和牛価格も高止まりし、野菜などの仕入コストも上昇している。値上げした焼肉店も多いが、他業態からの焼肉店への進出などで価格競争、顧客争奪が激しく、価格転嫁が十分にできない値上げのケースもある。
これまでの最多は2012年の35件だった。2011年4月、北陸の「焼肉酒家えびす」で発生した集団食中毒の事件が社会問題化した。この影響が全国の焼肉店に波及し、客足も遠のいた。その後、焼肉店はサービスやメニューの強化などに努め、徐々に客足は回復した。特に、食べ放題や希少部位の人気上昇のほか、ひとり焼肉ブームも広がり、倒産は落ち着いた。コロナ禍は高い換気能力と"ひとり焼肉"が人気となり、2020年の倒産は14件に減り、コロナ禍の数少ない"勝ち組"と言われた。
24年の焼肉店倒産45件のうち、販売不振(売上不振)が42件(前年比100.0%増)と倍増し、全体の93.3%を占めた。事業規模では、40.0%が個人企業、従業員10人未満が44件(構成比97.7%)と、倒産した焼肉店は資金力の乏しい小・零細規模が圧倒的に多い。小・零細規模の焼肉店では、仕入の価格交渉が難しく、省エネなどの設備投資も容易ではない。さらに大手チェーン店との価格競争に否応なしに巻き込まれ、しばらく淘汰が加速しそう。


読者の感想
興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0
- 総合評価
-
- 0.0