やじうま速報
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取材・執筆 : 安田正明 2024年10月22日
主なクラフトビール(地ビール)メーカー62社の2024年1~8月の総出荷量は9,561klで、記録的な猛暑が続いた今年の夏だったが、前年同期を8.6%下回った。東京商工リサーチが調査。
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コロナ禍の20年は、10年の調査開始以来、初めて1~8月の出荷量が前年同期を下回った。その後、コロナ禍の23年まで出荷量は徐々に回復していたが、24年は4年ぶりに前年を下回った。クラフトビールメーカーは主力のスーパーやコンビニに加え、ビアパブの新規開拓などへの地道な営業で販路拡大を進めたが、消費者の価格やブランドの選別志向が強まった影響で、出荷量を減らしたメーカーが多かった。大手メーカーもクラフトビールに参入し、市場競争は激化している。
回答が得られた62社のうち、出荷量の「増加」は28社(構成比45.1%)、「減少」が33社(同53.2%)、「横ばい」が1社(同1.6%)だった。出荷量が増加した要因(複数回答)は、「飲食店、レストラン向けが堅調」21社、「スーパー、コンビニ、酒店向けが好調」19社と、コロナ禍後の人流回復と需要開拓が功を奏した。また、外国人観光客の増加に伴い、「インバウンドが回復し需要が伸びた」も6社あった。一方、減少の要因(複数回答)は、ふるさと納税返礼品の減少や機械設備故障などを要因とする「その他」が9社で、「スーパー、コンビニ、酒店向けが不調」「物価上昇による消費の抑制」が各7社だった。
24年1~8月の出荷量メーカーランキングは、トップが地ビール醸造の全国第1号のエチゴビール(株)(新潟県)で、13年連続トップと圧倒的な強みをみせた。出荷量は2,258kl(4.2%減)と減少したものの、2位以下を大きく引き離した。2位は「常陸野ネストビール」の(株)木内酒造1823(茨城県)が1,393kl(8.4%増)、3位は「伊勢角屋麦酒」の(有)二軒茶屋餅角屋本店(三重県)の852kl(6.3%増)、4位は「べアレンビール」の(株)ベアレン醸造所(岩手県)の585kl(0.8%増)、5位は「網走ビール」の網走ビール(株)(北海道)で409kl(2.5%増)と続く。
第2位の木内酒造1823は、国産原料にこだわり地産地消の酒造りに力を入れている。茨城県産の麦芽と生ホップを使用したクラフトビールを今秋、直営店やオンラインショップ、全国の酒販店向けに販売する。また、出荷量第3位の二軒茶屋餅角屋本店は2024年4月、同社クラフトビールが、イギリスの国際的ビール審査会「インターナショナル・ブルーイング・アワード」で最高賞の金賞を受賞し、国際的にも評価を高めた。出荷量ランキング上位メーカーは、国内にとどまらず海外への輸出強化に努めている。



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