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取材・執筆 : 安田正明 2024年3月8日
2023年度の「飲食業」倒産(負債1,000万円以上)は、2月までに842件(前年同期比65.7%増)に達し、年度で過去最多だった19年度の841件を上回った。このまま23年度の飲食業倒産の月間平均76.5件で3月も倒産が発生すると、年度では初めて900件を超えることになる。東京商工リサーチが集計分析。
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コロナ禍の飲食業倒産は、手厚い支援もあって低水準で推移していた。しかし、23年に入り、コロナが5類に移行した一方、各種支援策の縮小・終了を受け様相が一変。好調なインバウンド需要を取り込めなかった事業者や業績回復が遅れた事業者を中心に、倒産が急増している。「新型コロナウイルス」関連倒産は478件(前年同期比44.8%増、前年同期330件)発生し、2月時点で年度の最多を更新した。また、物価高や人手不足の影響も深刻さを増している。「物価高」関連倒産は54件(同260.0%増、同15件)、「人手不足」関連倒産は53件(同96.2%増、同27件)と急増した。
業種別では、最多は日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店などの「専門料理店」の203件(前年同期比70.5%増)。以下、「食堂,レストラン」が188件(同66.3%増)、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」が155件(同42.2%増)と続く。増加率では、最大が「持ち帰り飲食サービス業」の前年同期比121.7%増(23→51件)。次いで、「すし店」の同107.1%増(14→29件)、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」の同89.6%増(29→55件)の順。コロナ禍の参入が増加したが、需要が一巡し競合から淘汰が進む「持ち帰り」業態や、インバウンド回復の一方で、接待需要がコロナ禍前の水準に戻らず苦戦する「すし店」「バー,キャバレー,ナイトクラブ」の倒産が目立った。
形態別には、最多は「破産」の797件(前年同期比66.0%増)で、全体の94.6%を占めた。以下、「民事再生法」の25件(同150.0%増)、「特別清算」の15件(同15.3%増)と続く。飲食業は小・零細規模が中心で、経営体力に乏しく、コロナ禍では消滅型の破産を選択するケースが大半。ただ、アフターコロナの人流回復もあって、再建型が占める割合は2.9%と3年ぶりに上昇した。
負債額別には、最多は「1千万円以上5千万円未満」の610件(前年同期比85.4%増、構成比72.4%)。次いで、「5千万円以上1億円未満」が119件(同26.5%増、同14.1%)だった。負債「1億円未満」が86.5%を占めた。増加率では、「10億円以上」の前年同期比150.0%増(2→5件)が最大。引き続き小・零細規模が中心となっているが、一方で中堅以上の規模でも増加の兆しがみられる。
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