外食ニュース
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取材・執筆 : 安田正明 2022年8月5日
久々にフードリンクニュースで書きます。7月、マレーシアの首都クアラルンプールに滞在しました。商業施設の間をつなぐ地下通路と渡り廊下や、配車サービス「Grabグラブ」を利用すれば、35度の炎天下でも東京より快適に移動できます。
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アルコールを飲まないムスリムの方が6割を占め、飲食店ではアルコール無しの店舗と、有るとしてもタイガーかハイネケン、カールスバーグの瓶ビールのみ。扱い店でも、9割以上のお客がソフトドリンク。でも、必ず1人1杯は注文しています。
ビールを飲んでいるのは白人と一部の中国系のみ。まれに、スコッチのボトルを持ち込んでいる方もいます。アルコール度数の高いウイスキーは酒税が高く、角瓶で約6千円も。角ハイボールは日本人駐在員のたまり場となっている日系居酒屋で見かけるだけ。それも1杯1千円も。
今、日本では、飲む人と飲まない人がお互いを尊重し合って店内で共存する「スマートドリンキング」が話題となっていますが、クアラルンプールでは飲まない方が多いため自然にそんな環境が作られています。
コロナ前、日本の居酒屋は海外に進出しました。しかし、酒飲み向けの日本スタイルのまま持って行ったため、現地の日本人駐在員向けの店舗になってしまい、実際には広がりませんでした。「酒」の字が入っているので、どうしても日本人的には酒にこだわってしまいます。
アフターコロナに向けて、ここで「居酒屋」から酒の文字を消して「IZAKAYA」に変えて輸出してみませんか。暖簾のかかる店頭をくぐると、鯉口シャツに前掛けのスタッフが、元気よくフレンドリーな接客で、カジュアルな和食を提供する。インスタ映えメニューもある。ドリンクはソフトドリンクがメイン。例えば、ガラス徳利に入った抹茶ソーダをガラス猪口で飲ませる。
日本のビールや日本酒も一応はあるが、積極的には勧めない。日本とは異なり、酔っ払いをあまり見たことのない社会なので、席の周りに大声を上げて酔う他人がいると、怖がって店には近づきません。何と日本は酒に寛容なのかと驚かされます。
居酒屋という言葉に日本らしさを感じる方が多いようです。ソフトドリンク販売に精通したアジアの外食企業と「ノンアルIZAKAYA」を共同開発して、広くアジアに売り込む可能性はないでしょうか。アフターコロナに向け、海外をもう一度見直しませんか。

クアラルンプールのシンボル、ペトロナスツインタワー。
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