やじうま速報
記事への評価
取材・執筆 : 加藤一 2021年2月18日
2020年度(20年4月~21年3月)のすし店の倒産(負債1,000万円以上)は、21年1月までの10ヶ月間で28件(前年度同期比64.7%増)発生した。前年同期の1.6倍増と高水準で推移し、2月には2015年度以来、5年ぶりに30件台に乗せる可能性が高い。東京商工リサーチが発表した。
すし店は、高級店からリーズナブルな回転寿司まで客層を広げ、さらにインバウンド需要の高まりで、好調に推移していた。倒産も2019年度まで4年連続で減少したが、2020年度に入り新型コロナ感染拡大で様相が一変した。インバウンド需要の消失に加え、飲食店への休業・時短要請や外出自粛、企業の接待自粛や在宅勤務の広がりなどで市場が縮小した。
倒産の原因別は、最多は販売不振の27件(構成比96.4%、前年同期14件)。資本金1,000万円未満が25件(同89.2%、同14件)、負債1億円未満が26件(同92.8%、同14件)、従業員10人未満が26件(同92.8%、同17件)と小・零細企業が9割を占め、コロナ禍の影響が資金力の乏しいすし店を直撃している実態が鮮明となった。
形態別で、最多は「破産」の25件(前年同期比66.6%増)で、構成比は約9割(89.2%)を占めた。「特別清算」の1件(前年同期同数)と合わせ、消滅型の倒産が92.8%を占めた。一方、再建型の「民事再生法」は個人企業の小規模個人再生が2件(前年同期0件)で、構成比は7.1%にとどまった。コロナ禍で行き詰まった企業は、再建が難しいことを示している。
大手すし店では、テイクアウトや独自の感染防止対策などで来店客の落ち込み対策を進めている。だが、資金力がぜい弱な小・零細規模では新たな投資や対策も容易ではない。さらに、緊急事態宣言の再発令や新型コロナ対策の改正特別措置法の成立などで、営業時間の短縮がのしかかり、小・零細企業や商店は先行きが不透明な状況が続く。
20年6月に自己破産した「寿し常」
<関連記事>
すし店、倒産急増。回転寿司と寿司居酒屋は繁盛しカジュアル化進む。
寿司チェーン「寿し常」、自己破産。内26店舗を東京一番フーズが買収。
コロナ禍で入学者急増中。東京すしアカデミー福江校長が語る寿司関連業態の未来
読者の感想
興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0
- 総合評価
-
- 0.0