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2020年4月15日(水)14:28

世界1000店舗実現へアクセル全開! ラーメン凪の海外ブランド「豚一」は得意のトライ&エラーを生かした集大成だ

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取材・執筆 : 中山秀明 2020年4月5日執筆

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 いまや珍しくない間借り営業をラーメン店で15年以上前に実行。超狭小の24時間営業店をゴールデン街で断行。その間昼夜で業態が変わる二毛作営業をしながら、日替わりラーメンを約3年間毎日出し続ける奇行。豚骨文化圏で生まれ育ったにも関わらず、煮干しに取り憑かれて業態を一気に転向----。ラーメン業界には数々の異端児がいるが、彼ほど破天荒な男も珍しい。名刺が切れるたびにデザインを変えるため、無数のパターンが存在する「ラーメン凪」運営元の株式会社凪スピリッツ、生田智志代表のことだ。

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 最近のビッグニュースといえば、2004年の創業以来初の国内旗艦店「ラーメン凪 BUTAO」を神田にオープンしたことだ。しかも同業態を新宿、渋谷へ立て続けにリニューアル展開。これは、煮干し主体だった方針からの、一部原点回帰といえる流れだ。

 改めて解説しよう。あまりラーメンに詳しくない人からしたら意外かもしれないが、凪は豚骨ラーメン店としてスタートしている。前述したように日替わりラーメンも提供していたが、創業から数年間は博多系の豚骨スープをベースとした店だった。それが、生田氏が青森で食べた煮干のラーメンとの感動的な出合いによって煮干しの香りあふれるテイストに開眼し、その後「すごい煮干ラーメン凪」をメインブランドに掲げ、業界を席巻していくこととなる。

 ただし海外は例外。同社は2010年の「豚王香港セントラル店」を皮切り(2012年12月に契約満了)に、台湾、フィリピン、中国、シンガポール、アメリカと拡大し、いまや国内外計で56店舗を展開しているが、それらのラーメンは原点の博多豚骨スタイルとなっている。大きな理由は、外国人は魚介系ではない豚骨ラーメンを好む傾向にあるからだ。

 そして、海外では「豚王」をメインブランドに掲げて拡大している。これは、その当時日本では「ラーメン凪 煮干王」と「ラーメン凪 豚王」の2ブランドで展開していたことに由来する(「ラーメン凪 煮干王」はその後、「すごい煮干ラーメン凪」や「ラーメン凪」へ継承)が、実は海外店でまったく新しいブランドが誕生しているのだ。その名も「博多豚一 Hakata Ton-ichi」。

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 現在、「博多豚一」は2019年にオープンしたフィリピンの3店舗のみとなっている。業態のコンセプトをはじめ、開発の経緯や同国での展開の理由、狙いなどを生田氏に聞いた。

 「名物はラーメンですが、より広く日本の日常食をウリにした業態です。たとえば日本式のカレーライスやとんかつですね。町の食堂といいますか、半チャンラーメン的な感じでラーメンと一緒にカレーを食べたりするじゃないですか。現代版の町中華的な感じで、焼き餃子も人気ですね。あとはハレではない日常使いの店にしているところがポイントで、価格設定もリーズナブルです。出店場所も『「博多豚一』は大きなモール向けで、その中でもハイクラスなレストランではなく、ファストフード的な立ち位置で展開しています」

 「豚王」の特徴のひとつが、同じスープでも香味油などで黄(プレーン)、黒(焦がしニンニク)、赤(ピリ辛)、翠(バジル)と、ラーメンのバリエーションが豊富で、麺の硬さを選べるところ。これが「博多豚一」の場合は黄、黒、赤の3つが基本で、限定も用意しているという。麺の硬さは選べない。ベースの味作りに関しては、「豚王」との違いはあるのだろうか。

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 「『豚王』はタレ、香味油、小麦粉などの食材を日本から直送しており、本場の味を楽しめるリッチなおいしさが魅力。一方の『博多豚一』は現地の食材を使うオペレーションになっている分、同じようなラーメンでもお安く提供できるんです。というのもフィリピンは若年層の人口比率が高く、そういった現地のお客様に一層、気軽に利用していただけるお店を作りたいなと。であれば『豚王』ブランドでやるのではなく、別の業態を立ち上げた方がいいと思ったんです」

 事実、フィリピンは人口が1億人を超え、ASEANの中ではインドネシアに次いで2位。なおかつ平均人口が24歳と若く、(日本は約48歳)つまりは食べ盛りの人がたくさんいるのだ。それぞれの客単価は「豚王」が1200〜1300円、「博多豚一」は700〜800円。今後はどのように展開していく構想なのか。

 「出店国に合わせてフレキシブルに進めていきますが、基本的には2ブランドの両軸でいく予定です。『博多豚一』に関しては、いつまでにとかは決めていませんがフィリピンでは50店舗ぐらいが目標でしょうか。次としては、マレーシアへ今年中に進出する予定です。いまのところ基本的には『豚王』をまずオープンし、マーケット的な需要を見込んだら『博多豚一』を出店しようと考えています」

 海外に出店する際、現地のマーケティングや物件探しなどに関しては、コンサルティング会社を入れず、すべて自前で行っていると生田氏は語る。ラーメン以外のメニューに関しても、自ら開発しているのだろうか。

 「あまり知られていないかもしれませんが、ラーメン店をやりながらさまざまな業態をやっていたんですよ。そのひとつに食堂がありまして、あのときの知見がまさに今生きてます(笑)」

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 それはかつて西新宿に出店していた「男の大ごちそう」のことだ。なお、同物件は「煮干うどん Fish Men」からの業態変更であり、その後「魚露温麺 凪」、「ハッピーフォー」、「凪太郎」、「そば虎」へと変貌してきた、ある意味実験店舗だ。なお、ほかにも同店のはす向かいでは「naginicai」「ラーメン凪 炎のつけめん」「らーめん こんどる屋」などを展開。また「凪 Noodle BAR 歌舞伎町店」といったラーメンバー業態も試みるなど、この果敢なトライ&エラーが生田氏の真骨頂なのである。

 「将来的に世界1000店舗を実現したく、それもあって日本では『ラーメン凪 BUTAO』ブランドを再構築し、旗艦店としました。煮干しはよりマニアックなラーメンを好む方向けに、一方で豚骨はより間口を広く、だれからも愛される業態として。BUTAOではロゴも、ラーメンの楽しさを伝えやすくするために一新し、シンプルにしました。もっともっとラーメンという料理のステージを上げたいと思っているんです。もちろん、だれもやっていない新たなことへの挑戦も続けていきますよ!」

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