次世代のからあげスター「豚カラ」

【記事のポイント】

●アメリカンポーク外食向けセミナーが開催

●次世代のからあげスター「豚カラ」

●豚カラ調理実演

米国食肉輸出連合会（USMEF以下略）主催のフードリンクセミナー、「アメリカンポーク外食向けセミナー」が、7月11日（月）、東京・市ヶ谷「Patia市ヶ谷」にて開催された。

米国食肉輸出連合会（USMEF）とは、1976年に米国政府、米国食肉業界により設立された非営利団体で、アメリカン・ビーフ、ポーク、ラムの海外市場（米国以外の国）での販売促進・広報・教育活動による需要拡大と、消費者、業界での認知の向上を目的としている。日本事務所は1977年に開設され、今年2022年は45周年にあたる。

会場へは33名の参加者が集まった

株式会社タケル・シシクラ 宍倉 たける氏

挨拶のあとはセミナーのテーマ①、「アメリカンポーク市場」について、USMEFの山庄司岳道氏より、はじめにUSMEFの沿革と目的について、次にアメリカンポークの基礎知識として日本における豚肉の市場と国別構成比、品種と部位について説明を行った。

USMEF ジャパンディレクター山庄司岳道氏

「日本の正肉市場において、鶏肉は年間175万トン、牛肉が年間93万トンであることに対して豚肉は185万トンの市場で、うち49％が国産で14%（25万トン）がアメリカからの輸入です。日本では豚の生産頭数が1日の66千頭であるのに対しアメリカンポークの生産頭数は1日約400千頭、年間140百万頭で、日本の6倍以上生産されています。品種は「ランドレース、大ヨーク、デュロック」を掛け合わせた三元豚が一般的で、アメリカでは更に「チェスターホワイト」を掛け合わせた四元豚の生産が可能です。」

「規格、歩留まりがよく肉質も安定しているアメリカンポークだが、低価格ゆえに消費者からは「安かろう、悪かろう」というイメージがまだまだある。しかし価格が安い理由は米国では多くの畜産農家が飼料を自家生産していることにあります。日本と同じ品質の飼料を使ったとしてもコストは日本の半分以下なため、アメリカンポークはリーズナブルな価格での提供が可能です。豚1頭あたりの生産コストが日本では33,877円なのに対しアメリカでは18,787円です。」

「アメリカでの加工からに日本での通関まで約3~4週間ありますが、鮮度保持の技術が高いためチルドでの輸出が可能です。輸送期間は0℃のチルドコンテナで熟成されるため、低温熟成で更にうまみがアップします。賞味期限は加工日から５０日～55日あるので日本についてからの販売期間も長くとれます。」

テーマ②ではフードリンクグループの植村より「外食市場にみる豚カラ」として豚カラ提供店の紹介とについて解説が行われた。

株式会社フードリンクグループ 植村

「から揚げ専門店はの店舗数は2012年から10年で10倍になった。昨年1年だけでも1256店舗増加している。しかし豚カラはまだまだ馴染みがなく、食べログで検索すると『豚のから揚げ』では180件、『豚唐揚』では56件であるが、個人店ではテレビ番組で紹介された定食屋や、食べログ百名店に選ばれた中華料理屋でも取り扱われている。」

「大手チェーンでもレインズインターナショナルの甘太郎で『情熱のとんから』としてUS産豚タン下を使ったスナック感覚の商品が提供されていたり、アントワークスの伝説のすた丼屋では『豚揚げ』としてロース肉を使用した商品が提供されている。グロービートジャパンのらあめん花月ではラーメンの箸休めとして提供されているが鶏のから揚げと同数の販売量だそうです。すた丼のスタッフからは『豚揚げの開発によって炒め物が減り楽になった』という声もあるので定食需要として検討頂ければと思います。」

テーマ③では株式会社タケル・シシクラの宍倉たける氏による豚カラ調理実演と試食会が行われた。ともに進行を務めたのはUSMEFマーケティングディレクター加藤悟司氏。

「今回は薄切りのロース肉だけでなく、豚カツ用の厚切り肉をスティック状にしたものを揚げてスナック感覚で食べてもらえるものを作ります。薄切りは200℃できつね色になるくらいに揚げます。薄切りなので揚げると見た目がボリューミーになるし、冷めてもおいしく食べられます。スティック状のものはじっくり揚げます。皿盛り以外にもカップなどにいれてフライドポテトのようにして提供するのもテイクアウトにはおすすめです。」

「鶏からはあまり何かつけることはないけれど豚からはソースで味のバリエーションを楽しんでもらえます。クリーミータルタルソース、よだれ豚ソース、サルサソース、ワカモレソースを用意しました。スティック状のものは揚げ後にカレー粉を振るのもいいですね。」

調理実演後は加藤氏から量販店へ向けて「から揚げ粉」の紹介が行われた。

USMEFマーケティングディレクター加藤悟司氏

「今までは外食企業様へ向けた提案が多かったですが、今回は量販店様へ向けた提案がございます。小袋に入った『からあげ粉』の提供を予定していますが、お肉のパックに張り付けて販売して頂いてはどうかと考えています。ロース肉の薄切りや豚カツ用のお肉に小袋を貼付けし、セット販売することで家でも豚カラを作ってもらうという展開です。実際の商品はまだメーカーに依頼中なのでお見せしているサイズ、パッケージは仮のもの、展開は10月以降になる予定です。」

テーマ③の後はUSMEF高梨正稔氏より9月から開催される外食プロモーション、10月から開催される「Porktoberメニューフェア」、アメリカンポークのガイドブックについてPRが行われた。

USMEF マーケティングスペシャリスト高梨正稔氏

最後にUSMEFマーケティングディレクター加藤悟司氏より挨拶が行われた。

「鶏のから揚げ市場がここ10年で伸びてきましたが、業態が過剰になり差別化を図るのが難しくなってきています。差別化を図るためにも『豚のから揚げ』、『豚カラ』をご起用頂ければと思います。ご紹介した通り9月10月には協賛も行ってまいります。今後新たなメニュー提案として『豚のから揚げ』、『豚カラ』を強くおすすめしていきたいと思っておりますので是非ご協力よろしくお願いします。本日は誠にありがとうございました。」

豚カラ　薄切りロース肉

豚カラ　厚切り肉

テイクアウトでの提供

試食会の様子

米国食肉輸出連合会