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2021年8月24日(火)08:35

「"プルドポーク"の地方事情」ポークの産地と自家製ソースがこだわりのポイント。地方でもプルドポークは推しメニューなのか?

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取材・執筆 : 小山裕史 2021年8月23日執筆

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プルドポークサンド(RISE cafe/愛知県岡崎市)

 東京で話題になったグルメは少し遅れて地方都市に流れてくると言う。全国的にキャンプブームの再燃で、本場アメリカのバーベキュー料理に注目が高まっている。バーベキューの3大料理といえば、スペアリブ、ブリスケット、プルドポークである。なかでも、多くの飲食店オーナーが「イマ、来てるよね」と口を揃えて言うのがプルドポークである。果たして地方都市でも来ているのか?東海エリアの静岡、愛知の店を取材した。

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 最初に訪れたのは静岡県浜松市。市内にはダイナーやカフェなど約10店舗でプルドポークを提供している。なかでもひと際、存在感を放っているのが「ハイミール」である。2016年9月にオープン、昨年には遠鉄百貨店に2号店を出店したモダンアメリカンスタイルのレストラン。オーナーの新村氏はグルメから音楽、ファッションまでアメリカンカルチャーをこよなく愛し、同店で提供する料理もアメリカンスタイルを忠実に守っている。内海氏にプルドポークの想いを聞いた。

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新村オーナー

---プルドポークをメニューに入れた理由とは?

新村 アメリカンスタイルのレストランとしてリアルティの追求をしたくメニュー構成を考えました。お店のコンセプトとメニューにつじつまが合わないのは好きではありません。テキサスバーベキューのスタイルに憧れもありメニューを描いた結果、プルドポークに辿り着きました。

---浜松でもプルドポークの認知度は高まっていますか?

新村 まだまだ、お客さんの認知度は低いですが、昨年あたりからメディアでの露出も増えているので、浜松でも浸透し始めたと思います。また、情報番組では家庭でも手軽に作れるメニューとしても紹介しているので、家庭でも食べられているのではないでしょうか。スーパーでもアメリカンポークのキャラクター(ごちポ)をよく見かけます。ハンバーガーやサンドウィッチだけではなく、色々な料理に活用できるので子供ウケもすると思います。現に僕の子供も「このツナ、美味いね!」と言って食べています(笑)。

---プルドポークの拘りについては?

新村 オーブンで低温調理したり、スモークせず調理するなどプルドポークは色々な調理法がありますが、うちのお店ではスモークで作っています。スモークされているプルドポークがアメリカンバーベキューのスタイルであり、ここについては意識しました。調理手順については、マリネ液に1日漬けた塊肉をダッチオーブンに入れます。最初は蒸気で加熱し火を通し、途中からスモークで仕上げることで、スモークの香りが引き立ちます。スモークの香りと味がしっかりとついているので、バーベキューソースは調理する際の最後に絡めます」

---最後に、何故アメリカンポークを使っているのですか?

新村 アメリカンバーベキューのスタイルを忠実に再現するのであれば、アメリカ産を使うのは当然の流れでもあります。色々な産地のポークを使って食べ比べましたが、最終的な仕上がりがしっくりきたのもアメリカ産であり、スモークされた肉の旨味がストレートに伝わりました。繊細なポークだとジューシーさが弱く、プルドポークの肉には合いません。アメリカ産は全てにおいてバランスが良いです」

 同店では、「スモークプルドポークバーガー(1390円)の他、「スモークプルドポークサンド(1650円)、「プルドポークローディッドフライ(990円)」を提供している。

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スモークプルドポークバーガー(1390円)

 愛知県岡崎市の中心から少し離れた名鉄名古屋線宇頭駅近くにあるのが、今年1月にオープンした「RISE cafe(ライズカフェ)」。のどかな田舎の住宅街には一見、不釣り合いにも見えるウッド調の店構えが目印である。キャンプ場をイメージした全天候型のテラス席に山小屋の雰囲気が漂う1F、ユーモアな作りの階段を登り2Fに行くと、お店のイメージからは想像もつかないラグジュアリーな個室が完備されている。料理もアウトドア体験を楽しめる豪快なバーベキュー料理を中心に揃えており、プルドポークは萌え断メニューとしても人気を集めている。同店の杉田店長は、田舎では聞きなれないプルドポークを分かりやすく説明する際の例えが面白い。

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---お客さんにプルドポークをどのように説明しているのですか?

杉田 塊の豚肉をほぐしてからバーベキューソースで絡めたメニューですと伝えていますが、あまりピンと来ていません。あまり例えが良くないのですが、ツナにマヨネーズを絡めたツナマヨのツナが豚肉になりマヨネーズがバーベキューソースになったメニューであると説明するとお客さんはピンと来ます。

---あまり浸透していないプルドポークを何故メニューに採用したのですか?

杉田 アメリカンバーベキューをコンセプトとして謳っているので、アメリカ3大バーベキュー料理のひとつであるプルドポークは絶対に外せないメニューになります。他にはポークスペアリブも提供しています。

---アメリカンポークに拘った理由とは?

杉田 一番はコスパです。肉質が柔らかく赤身と脂身のバランスが良いのも特徴です。また、シェフはホテルのレストランで経験を積んでおり、様々な産地の豚肉を扱ってきました。豚肉にも豊富な知識を持っておりアメリカンポークを高く評価しているので、他のポークと比較することなく最初からアメリカンポークで決めていました。アメリカンバーべーキューを謳っているにも関わらず、使用している豚肉が他国産だったら、カッコ悪いじゃないですか(笑)。ここは譲れませんね。

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杉田店長

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プルドポークサンド(880円)

 最後のお店は愛知県北西部に位置する小牧市。名鉄小牧線小牧駅から徒歩3分の場所にある「Kitchen&Bar PLUS+」。東京・西新宿のバーで経験を積んだ根岸オーナーが地元である小牧に戻り、2015年4月にオープンさせたダイニングバーである。アメリカの片田舎にある酒場を連想させる空間は、夜な夜な地元民で賑わっている。同店ではプルドポークをお酒にもっとも合うようにバケットと一緒に提供している。アメリカンウイスキーとプルドポークがこの店ではよく似合う。ハンバーガーやサンドウィッチではなく、酒のつまみとしてのプルドポークについて、オーナーの根岸氏はこう話す。

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---プルドポークはご存知でしたか?

根岸 僕がプルドポークを知ったのは7〜8年前です。メディアでも取り上げているので、ジワジワ来ていると思いますが、小牧ではまだまだ浸透していません。メニューを見て「これ何ですか?」と、よく質問されます。

---プルドポークをメニューに入れた理由とは?

根岸 アメリカ料理や欧風料理をコンセプトにメニューを組んでおり、アメリカ料理であればプルドポークは鉄板です。他にはチキンオーバーライスも提供しています。但し、食事というよりもお酒と一緒に楽しめる料理として、プルドポークはバケットと一緒に提供しています。酒のつまみとしての位置づけです。

---アメリカンポークを使っていますね。

根岸 はい。深い意味ありませんがアメリカの料理であれば、豚肉もアメリカ産を使うのはごく当然のことだと思います。アメリカンポークは味も抜群にウマイですが、肥育方法や飼料などにもこだわっており、高い付加価値を持っています。既に一般家庭にも浸透しており、僕自身もプライベートではポークもビーフもアメリカ産しか買いません(笑)。お肉と言えばアメリカのイメージが定着していると思います。

---バーベキューソースにも拘りがあるそうですね。

根岸 特徴はトマトソースをベースに、マスタードやウイスターソースなどを混ぜ合わせています。仕込みでは2キロの塊肉を使い、表面を焼いてからソースを絡めて圧力鍋にかけます。

 プルドポークの良さは作り置きができることです。1人前(170g)ごとに、真空パックにして保存、注文ごとにレンジで温めて提供しています。トマトベースのソースはビールやハイボールからワインなど、どのアルコールでも合います。プルドポークのみテイクアウトするお客さんも多くいますよ。

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左:スタッフの川口氏  右:オーナーの根岸氏

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豚肩ロースのプルドポーク〜バーベキューソース〜(950円)

 東海地区で敢えて名古屋を外して、ローカルな地方都市の3店舗を取材したが、既に地方エリアでもプルドポークは浸透していた。3店舗に共通しているのが、アメリカ産の豚肉を使用していること、バーベキューソースに拘っていることである。

 なお、地方ではまだまだお客さんの認知度は低く、プルドポークについて「アメリカのバーベキュー料理です。塊肉を・・・・」と説明しても、豚肉がアメリカ産でなければ信用力にかけてしまう。

 プルドポークを提供するなら『アメリカポークを使うのは当然である』。取材した3店舗には揺るがないプライドの高さを見た。

<取材店舗>
「HighMeal(ハイミール)」
〒430-0917
静岡県浜松市中区常盤町143−27 エバーグリーンプレイス2F
TEL:053-525-9552

「RISE cafe(ライズカフェ )」
〒444-0905
愛知県岡崎市宇頭町後久18-8
TEL:0564-73-1800

「Kitchen&Bar PLUS+」
〒485-0029
 愛知県小牧市中央5-5
TEL:0568-65-6998

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