フードリンクレポート
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取材・執筆 : 小山裕史 2020年12月3日執筆
コロナ禍で「家飲み」が定着しているなか、飲食店で馴染み深いカンパリが勝機を見出している。これ以上にない条件が揃ったが、スーパーなど量販店では他のリキュールとの差別化が図れていない。カンパリファンを増やすために必要なのは、レシピではなく『アぺタイム』の浸透である。
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「d POINT CLUB」(NTT DOCOMO)が、9月に実施した「最近の家飲み・宅飲み事情」の調査では、家飲みでよく飲むお酒の第1位が「チューハイ・カクテル」であり、4月以前と比べて家飲みスタイルの目立った変化としては、「飲んでいる時間が長くなった」、「飲み始める時間が早くなった」との回答が上位を占めた。また、別の調査結果では、20代女性の61%がオンライン飲み会を経験している。
調査結果を見ると、昨今の家飲み事情は、「チューハイ・カクテル」が飲まれており、「早い時間から飲み始めている」、「オンライン飲みは20代女子の割合が高い」。まさに、カンパリ・アペロールの好条件が揃っている。
カンパリとアペロールはイタリア産のリキュールであり、業務用ではイタリアの食習慣である「アペリティーボ」と連動した販促を強化している。ビジネスパーソンやトレンドに敏感なアクティブな女性を中心にアペリティーボに欠かせない定番リキュールとして、カンパリ・アペロールを訴求している。しかし、量販市場、家飲みでの訴求は遅れをとっているのではと思う。
大手、中堅スーパーを見て歩くと、どこのスーパーにもカンパリ・アペロールは並んでおり、カンパリについては、200mlのベビーボトルもしっかりとある。但し、他のリキュールとの差別化もなく、ごく普通に陳列されている。スーパーによっては、レシピが記載されたネックホルダーがかかっているが、他のリキュールの販促とあまり変わりない。
量販市場でカンパリ・アペロール拡販のカギは、「アペリティーボ」ではないか。トレンドに敏感な20〜30代女子はファッション感覚で入っていく。20〜30代女子から「アペリティーボ」をライフスタイルとして発信させることが拡販に繋がるのではないか。
女子の"おうち時間"のライフスタイルとして「アペリティーボ」や「アぺ飲み」、「アぺタイム」などの言葉を流行らせることで、トレンドに敏感な女子はネット検索するはずである。アペリティーボを知れば、カンパリ、アペロールの購買にも自然に繋がる。また、自分がイタリアの食習慣を知っていることを自慢げに話たり、かっこよく決めたポーズで「これからアぺタイムします!」、「アぺ飲みしていまーす!」、「アぺ最高〜!」など、SNSで投稿する女子も多くいるはずである。
以前、健康と美容にメリットがある「菌活」は、女性ファンション誌からブームになり、女子のライフスタイルとして定着した。その後、スーパーでも茸やヨーグルトの売り場では「菌活しましょう」のPOPが掲示されるようになった。
スーパーでレシピを付けて販売するのも良いが、小売店「ヴィレッジヴァンガード」のグッと惹きつけられる手書きのPOPのように、アペリティーボの説明を付けて販売することで、アペリティーボが浸透、消費者の購買意欲も高まるのではないか。カンパリソーダやアペロールオレンジは、レシピも簡単であり、ソーダもどこでも買える。また、どちらも若い女性でも飲みやすいカクテルである。
カンパリ・アペロールは他のリキュールに差をつける楽しみ方があるのだからこそ、アぺタイムを浸透させることで、家飲みのお酒として定着するのではないか。女子の家飲みはファッション感覚である。
夕方から、おうちで始める『アぺタイム』が、ライフスタイルとして定着するか楽しみである。
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