やじうま速報
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取材・執筆 : 安田正明 2023年9月22日
餃子の無人販売が、コロナ禍で大幅に増え22年度末に1300店となり、3年で10倍に急拡大した。帝国データバンクが店舗数・推移が取得可能な全国67事業者・ブランドを対象に集計した。
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23年度も7月時点で全国におよそ1400店あり、店舗数は前年度に比べて増加している。冷凍餃子の無人販売事業に進出した企業の進出時期(初出店時ベース)を見ると、最も多いのは「2021年度中」で、全体の6割がこの時期に参入した。また、こうしたビジネスに成功した企業が多いことから、22年度以降に新たに参入した企業も2割を占めた。なお、22年度末時点で最もシェアが大きかった餃子無人販売店は「餃子の雪松」ブランドで、全国シェアのおよそ3割を占めた。
展開する企業は、中華料理店や業務用冷凍食品メーカーがコロナ禍での販売減少を補うために進出したケースが多い。事業再構築補助金など各種補助金制度の活用も背景に、本業とは別の事業として手がける動きも広がったことで、駐車場運営やクリーニング店など他業種からの参入も多くみられた。有人店舗に比べて省スペース・低コストでの開業が可能なこと、人件費などランニングコストが大きく抑えられるといったメリットも後押しした。特に、店舗運営に従業員を多く必要としない点が注目され、餃子以外の商材でも無人販売ビジネスが展開されるケースが目立つ。
しかし、足元では既存店舗の売り上げが減少傾向に転じたケースもあり、競争激化の影響が出始めている。これまで店舗数の急増を支えてきた出店ペースも23年度に入って鈍化傾向にあるほか、店舗の閉鎖や事業の断念といった動きも見られ、市場は「飽和状態」に近づきつつある。調査対象となった67の餃子無人店で販売する餃子1個当たりの価格も約30円と、市販冷凍餃子に比べるとやや割高な点も、物価高で節約志向が強まる中では逆風となる可能性もある。
今後は、コロナ「5類」移行で外食需要が回復し、相対的に巣ごもり需要が一服するなかでの利用者層の拡大が市場維持のカギを握る。日本冷凍食品協会が今年4月に行った調査では、自動販売機や無人店舗等で冷凍食品を購入した割合は男女ともに1~2割にとどまった。利用者層の拡大余地は依然として残っているなかで、味や品質、価格に見合うこだわりといった、「無人販売」など話題性以外の誘客戦略が求められる。
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