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取材・執筆 : 中山秀明 2020年1月10日執筆
居酒屋大手、大庄(本社:東京都大田区、代表取締役社長:平 了寿)の新業態「お魚総本家」。同社の代表ブランドといえば「庄や」「日本海庄や」であるが、「お魚総本家」はそのフラッグシップといえる。店舗の場所は東京・池袋の西口。店長へのインタビューとともに、特徴を紹介しよう。
ブランドスローガンは「腕に、魚に、こだわり抜く」。そのうえで特徴は3つ。1つめは料理だ。入店してまず飛び込んでくるのは、鮮魚のディスプレイとそのすぐ後ろに設置された焼き場。ここで職人が藁焼きや炉端焼きなどで仕上げる、エンターテインメント感満点の魚料理を提供する。
2つめは料理とお酒のペアリング。厳選した日本酒がズラリと並ぶ。温度も考慮されており、「冷酒おすすめ10選」、「ぬる燗おすすめ10選」などカテゴリー別にリストアップされている。また、提供する酒器も少し長細い升でポイントで面白い。
3つめは、お客一人ひとりの満足度を最大化するおもてなし。同社ならではの快く心地よい接客はもちろんのこと、料理のプレゼンテーションや空間もしかり。高級店レベルの個室も用意されており、接待にも十分利用できるのも特徴だ。なお、設えのスペックとしては地下1階〜地上3階の4フロアで約136坪。地下1階と地上3階は個室のフロアで、部屋は大小全7室。2階は宴会場としての利用もできる座敷のフロアで、3階には煮込みなどを調理する厨房も設置されている。
「本格板前居酒屋」とうたってはいるが、ある意味、和食店といってもいいだろう。繊細な技を駆使する会席ではなく、素材のよさを最大限に生かした豪快な方向性。豊洲市場の仲卸「米川水産」を子会社に持つ大庄だからこその強みが存分に発揮されている。
そんな「お魚総本家」は、どういった背景で開発されたのだろうか。店長の沖田江戸氏に聞いてみた。
「当社にしかできない価値をお届けしたいという思いが第一です。高品質な鮮魚を使い、職人技による手間ひまをかけて調理することで、より満足いただける時間をお過ごしいただけたら。とはいえ価格は限りなく抑え、コストパフォーマンスも感じていただける設定です。原価率は非公開ですが、かなり高いですね。そういった部分で差別化をはかることで、通常なら8000円程度の満足度を、5000円以下で体験いただけると自負しております」(沖田店長)。
藁焼きを導入したのは同社初。作り置きはせずバイオーダーで調理。さらに日替わりで丸魚をそろえ、半分は刺身でもう半分は煮込みにするといった好みに合わせた調理にも応じる。
「飲食店では、セルフオーダーや自動調理器を導入するなど、何かと合理化する流れですよね。でも、当店は違います。そんな時代だからこそ、手間暇をかけた料理やおもてなしが差別化になると思っています。そして、それをリーズナブルに提供できる強みが当社にはあります。この池袋店を皮切りに、展開していきたいですね」(沖田店長)。
価格は、藁焼きの場合、かつおや国産生本鮪とろは980円〜、刺身盛り合わせは5点盛りで850円〜(1人前)。炭火で焼く「のどぐろ塩焼き」(1尾1850円)、北海道直送「きんき開き焼き」(1尾3500円)などの炉端焼き、「きんき煮付け」(1尾3500円)など実に多彩だ。そして日本酒は1合(750円〜)での注文のほか、半分の5勺(400円〜)も選べる。
インバウンドで外国人の飲食店利用が増える中、藁焼きや炉端焼きなど日本独自の食文化や業態はヒットの兆しに満ちている。夏にはオリンピックを迎え、ますますインバウンド需要が加速する中、「お魚総本家」はどのように展開していくのか。注目店のひとつといっていいだろう。
※価格はすべて税別
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