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2022年3月28日(月)14:02

ファンが多い洋食店が手間暇かけず新メニューにトライアルしたポイントとは

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取材・執筆 : 千葉哲幸 2022年3月22日執筆

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「若鳥のexoticエスカベッシュ」(858円)は、さまざまな野菜を添えることによって彩のあるサイドメニューとなった

季節の変わり目にはメニューに新しい試みをしてみたい。それは常連客をはじめ新しいお客を想定する上でも同じこと。一方、従業員にとっては、何もかも新しいことを行うのではなく既存の食材をベースとして、あまり手間暇をかけないことも条件としたい。そのようなトライアルを洋食店で行った二つの事例を紹介しよう。

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■看板商品「牡蠣・肉・鍋」をお手軽調味料でつくった"おつまみ"が引き立てる

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「MEAT&OYSTER Kairi」は渋谷マークシティ沿いの坂道の路地裏にある

最初に訪ねたのは「MEAT&OYSTER Kairi」(以下、Kairi)。同店は渋谷マークシティに沿った坂道の途中の路地裏にある。姉妹店は全てひらがなの「かいり」。これらを展開するフードキャッチ取締役の波間進午氏によると、店名の由来は「海上の距離を示す"海里"とか"おか(え)り"といった、海にちなんだおもてなしの意味を込めた」とのこと。記憶に残る店名だ。

姉妹店ともに共通しているのは「牡蠣」をベースにしていること。年間を通じて大振りの生ガキを仕入れて、産地別の食べ比べを楽しんでいただく。「Kairi」の場合は肉料理も充実させ、"MEAT&OYSTER"という強いコンテンツを持っている。

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「牡蠣」は姉妹店舗も同様、同店の強いコンテンツとして定着している

「牡蠣」に加えて姉妹店共通の特徴は「痛風鍋」が人気を博していること。東北の郷土料理が原型とされる「痛風鍋」は白子、あん肝、イカ、エビ、牡蠣を味わうもので、5年ほど前に姉妹店の「牡蠣貝鮮 かいり」が初めてメニュー化したところ、SNSでにわかに知られバズるようになった。

「kairi」でもメニュー化するようになり、鍋の季節となるその年ごとに「赤」「白」「黒」とテーマを決めて提供するようにしている。「赤」は辛味のある鍋、「白」は鶏白湯スープで上からクリームと粉チーズを振りかけている鍋。「黒」は上から黒ゴマを振りかけている鍋。いずれにしろ"映える"メニューでファンはみな楽しみにしている。

同店では今回のトライアルメニューとして「若鳥のexoticエスカベッシュ」858円(税込)をつくった。同店には強いコンテンツがそろっていることから、サイドを押さえる"おつまみ"を考えた。

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「若鳥のexoticエスカベッシュ」858円はさまざまな野菜を添えることによって彩のあるサイドメニューとなった

ここで使用したミツカン酢の「ベース職人 まろやかだし酢」は、焼きあごだし、かつおだし、煮干しだしの3種の魚介だしに、高知県産ゆず果汁、徳島県産すだち果汁を合わせたもの。"酢"として使用する場合は酢の力が弱いが、エスカベッシュのような料理の場合は、持ち味のまろやかな酸味と旨味が十二分に発揮される。さまざまな調味料を複雑に配合する必要がなく、「ここに何かを加えたい」と考えた時には、しょうゆ、みりん、酒などで微調整する程度加えればよい。

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ミツカン酢の「ベース職人 まろやかだし酢」

このメニューは鶏肉を片栗粉で粉打ちし、香辛料を使用して東南アジア風にした。揚げてから「ベース職人 まろやかだし酢」を振りかける。野菜の出汁で少し温めてから冷蔵保存。提供する時に、皿の下にミックスリーフを敷いて、玉ねぎ、赤と黄色のパプリカ、バルサミコを少し煮詰めたものでペイントしている。1食に鶏肉は120g使用、1人でもまた2人で取り分けても十分なボリュームにした。常連客から"おつまみ"として好評をいただくようになった。

「ベース職人 まろやかだし酢」はエスカベッシュに最適なことから、鶏肉以外に魚や牡蠣にも応用できる。これによって季節感を演出することができる。またこれにオイルを加えることによってドレッシングをつくることができる。既に完成された調味料であるだけに、メニュー設計のアイデアがどんどん広がっている。

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フードキャッチ取締役で「MEAT&OYSTER Kairi」店長の波間進午氏


■肉料理専門店でワイン好きのお客に向けた"おつまみ"をお手軽に開発

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肉料理専門店をアピールする看板、店内を見通せる構成が安心感をもたらす

同店の看板メニューは"肉の量り売り"で少量ずつ食べ比べができる。筆者が訪ねた時は「Today's Meat」というメニューで、A5ランク和牛が4種類「はばき埼玉」「らんぷ福島」「そともも岩手」「いちぼ福島」、このほか「はらみUS」をラインアップしていた。それぞれ50g、100g、200gと3タイプに価格設定している。価格的に最も親しみやすい「そともも岩手」は50g500円、100g1000円、200g2000円。「はらみUS」は同じ価格設定だが、他のA5はそれよりも約2倍から3倍に近い設定だ。「そともも岩手」の原価率は45%と頑張って価格設定している。

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親しみやすくシンプルな内装。週末のランチタイムはファミリーが多い

石渡氏によると「これらの食べ比べをして、気に入ったお肉を追加したり、また初めてのご来店でお気に入りのお肉を見つけて、再来店した時にその単品をボリュームアップして召し上がるお客様がいる」という。同店のファンが広がっていく仕組みである。

同店では新メニューのトライアルとして、同店の基本となる醤油ベースの新しい調味料を使用した。それがミツカン酢の「ベース職人 濃旨しょうゆだれ」で、本醸造・再仕込み・たまりの3種類の醤油をブレンドし三温糖を使用したもの。

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ツカン酢の「ベース職人 濃旨しょうゆだれ」

これをまず、ステーキに添える調味料の一つに加えた。これまでは、ワサビ、岩塩、自家製ソース、そして既存の調味料であったが、この既存の調味料を「ベース職人 濃旨しょうゆだれ」に切り替えた。その狙いは「ステーキの調味料から"新しさ"をアピールしたかったから」(石渡氏)という。「ベース職人 濃旨しょうゆだれ」を初めて試した時に、醤油タイプでコクと旨味がこれまでになく利いていることから、ステーキの調味料としてのポテンシャルを感じ取った。これに切り替えたことによって「お客様がステーキを召し上がる時のリズム感が広がった」(石渡氏)という。常連客からも「いつもと違うね」という好意的なコメントをいただいている。

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「痺れよだれ鶏」600円

また、同店に多いワイン好きのお客に向けた"おつまみ"にもトライアルした。それが「痺れよだれ鶏」600円(税込)。ボイルした鶏もも肉をスライスし、それに「ベース職人 濃旨しょうゆだれ」をかけてパクチーを添える(お好みか否かを尋ねる)。この甘みと辛さのバランスでお酒も進む。原価率21~22%ということで利益に大いに貢献している。

石渡氏はこの調味料を「万能」と語り、これを使用したメニューづくりを検討。同店には牛筋を使用した焼きそばがあるが、この調味料を使用した焼きそばも考えられるという。「ある素材で『ベース職人』が物足りないと感じたら、他の調味料を加えてみればいい。この調味料が完成されているので、納得のいく新しい調理ができる」と石渡氏は語り、常連客から一見客まで幅広い客層に愛される同店の魅力づくりに余念がない。

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「NICK NICK」店長の石渡謙氏。同店はデリバリー需要が増えていて、リアル店舗との相乗効果を探求している

「MEAT&OYSTER Kairi」「NICK NICK」共に強いコンテンツを持つファンの多い洋食店。そこでトライアルしたメニューは共に鶏肉を活用した和風またはエスニック風の"おつまみ"であった。常連客にとっては「こんなこともできるの?」といううれしい発見があった。従業員が使用した調味料は手間暇をかけない完成されたものだけに、常連客のうれしい感動を思い描きながらこれからもアイデアは広がっていくことであろう。

<取材店舗>
「MEAT&OYSTER Kairi」
住所:東京都渋谷区道玄坂1-11-1 第2大番ビル03
TEL:03-6809-0634

「NICK NICK」
住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-2-2
TEL:0422-79-7717

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