スマートフォン版のフードリンクニュースを見る

RSSフィード

フードリンクレポート

フードリンクレポート

2022年3月08日(火)11:09

「冷凍食品が飲食店を救う」冷凍食品の技術進化に脱帽した。

記事への評価

  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
0.0

取材・執筆 : 小山裕史 2022年3月6日執筆

キーワード :   

IMG_6600.jpg
居酒屋JAPAN 東京会場(池袋サンシャインシティ文化会館) ※開催日:2022年1月19日(水)~1月20日(木)

業務用の冷凍食品について知りたければ、展示会に行くのが一番。コロナ禍の今だからこそ飲食店は情報収集を積極的に行い、新メニューや新業態の開発に向けた行動を起こしている。居酒屋業界にとって関心の高い展示会「居酒屋JAPAN」を視察、業務用冷凍食品の動向を探った。

<関連記事>
 「外食の様々な場面で活躍している冷凍食品」改めて、その魅力を知る。
https://www.foodrink.co.jp/foodrinkreport/2022/02/28114657.php

禁じ手かと思っていたが、もはや定番となったのでは?「業務用冷凍スイーツ」の最先端へ。
https://www.foodrink.co.jp/foodrinkreport/2020/10/12114017.php

高級冷凍食品専門店「ピカール」上陸は外食の脅威となるか?
https://www.foodrink.co.jp/foodrinkreport/2016/12/02135401.php


毎年1月に開催される「居酒屋JAPAN」は、業界団体と専門媒体がコラボレーション「展示」、「セミナー」、「メディア」による企画・提案型の展示会である。出展ブースは約200社。食材まわり、店舗まわり、経営まわりの3つで構成されている。今回、冷凍食品のアイテムやコロナ禍におけるニーズなどをヒアリングするため、食材まわりのブースを視察した。各ブースで展示されているアイテムを見ると、冷凍食品のアイテムが多いことに気づいた。コロナ禍で冷凍食品のニーズが高まっていると感じたが、驚いたのは味や調理手法など、数年前と比較して技術が進化している。なかでも、今回、注目した出展ブースは一般社団法人「日本冷凍食品協会」の会員企業でもある、味の素冷凍食品株式会社(本社:東京都中央区)と大栄食品株式会社(本社:岐阜県羽島郡)の2社。業務用市場におけるコロナ禍での冷凍食品の動向や人気のアイテムなど、後日2社を取材した。

最初に紹介するのは、味の素冷凍食品株式会社。1974年、「ポテトコロッケ」「シューマイ」「ハンバーグ」など、8種類のラインナップで業務用冷凍食品市場へ参入。飲食店目線で現場のオペレーション課題を解決しながら、飲食店の様々なニーズに合った商品を豊富に揃えている。取材に応じてくれたのは、同社、国内統括事業部 販売マーケティング部 フードサービスグループ長兼マーケティングDX推進部 平光一郎氏。

IMG_1297.jpg
平光一郎氏

---10年前と比較して冷凍食品に対する飲食店に意識は変わってきていますか?
平氏
そうですね。冷凍食品を使用するハードルは下がってきていると思います。冷凍食品の技術が進化していることもありますが、人手不足の問題が一番だと思います。調理人もいなければ、調理人の熟練度、技術を持った人が少なくなってきています。今までは、手作りにこだわっていたお店も、一部冷凍食品に代替する、この部分は冷凍食品を使用するなど、アレンジを行い、うまく冷凍食品を活用、併用していると思います。

---コロナ禍での冷凍食品の役割とは?
平氏
冷凍食品の基本価値である「簡便・時短」、「経済性」、「フードロス削減」など、社会課題解決や生活者ニーズにどう結びつけていくかです。弊社が推進しているASV(Ajinomoto Group Shared Value)が、コロナ禍においてマッチしています。また、冷凍食品を使うことによって、"ゆとり"が生まれます。時間もそうですが、心のゆとり、コストのゆとりなどが生まれます。冷凍食品によって生まれた"ゆとり"をそれで終わらせるのではなく、生まれたゆとりを次の施策にどう活かすだと思います。

---御社のおすすめ商品を3つ、教えてください。
平氏
1つめは「レンジで焼き目パリっと餃子」です。既に焼き上がっている餃子ですが、これまでの餃子は電子レンジで調理すると焼き目がパリパリにならない、皮が固くなってしまいましたが、弊社で開発した専用の調理器具(焼き目パリ!餃子プレート)を使い、電子レンジで約1分温めるだけで、こんがりパリっとした焼き目の餃子が出来上がります。焼きパリ!プレートを使用して餃子を電子レンジで焼くことは弊社の特許出願中の技術です。

IMG_1489.jpg
「焼き目パリ!餃子プレート」(愛称:焼きパリ!プレート)

2つめは、「レンジでロスなし濃厚ショコラテリーヌ」です。1個1個カットされていて、注文が入ったときに電子レンジで解凍するだけで提供出来るので、食材ロスの削減に繋がります。本来、チョコレートケーキを電子レンジで温めると溶けてしまいますが、弊社の技術でクリアにしました。業務用商品のなかでも、スイーツ系は柱になっている商品でもあります。

3つめは、「水もラップもいらない点心 ゴロッと海老の肉焼売」です。特徴はラップをせず、電子レンジ調理が可能な商品です。これまでの冷凍焼売は蒸す作業がありましたが、水のふりかけ、ラップ不要、電子レンジで約1分、調理するだけで提供が可能となりました。

IMG_1488.jpg
上段:「水もラップもいらない点心 ゴロッと海老の肉焼売」
下段左:「レンジで焼き目パリッと餃子」
下段右:「レンジでロスなし濃厚ショコラテリーヌ」

集合.jpg

---最後に、平さんにとって冷凍食品とは?
平氏
時を止めることができる唯一の食品だと思います。美味しさ、新鮮さもそうであり、未来のある食品です。現代社会のなかで、心にゆとりを与えてくれる、なくてはならない食品であり、冷凍食品メーカーとして、常に追求していきたいと思っています。


続いて紹介する大栄食品株式会社は、1962年1月に創業、岐阜県羽島郡に本社を置く老舗の冷凍食品メーカーである。売上の95%が業務用であり業務用商品を得意としている。同社はコロッケ製品をメインに扱っており、「飛騨牛コロッケ」や「信長コロッケ」など、オリジナル商品が人気である。取材に応じてくれたのは、同社、代表取締役社長である小栗広秀氏と営業部部長の黒田亮二氏。

IMG_1347.jpg
左:代表取締役社長 小栗広秀氏  右:営業部部長 黒田亮二氏

---御社は揚げ物系の商品がメインなのですか。
小栗氏
冷凍食品のコロッケ製品をメインに、畜産製品、水産製品、調理加工品、冷凍デザートなど、アイテム数は450前後あり、約半分がOEMの商品となります。お取引先は、大手外食チェーン、学校給食、事業所給食、スーパーチェーンとなります。業種や地域性など、異なる消費者の嗜好や個性にきめ細かに応えられる柔軟性をもってオリジナルブランドの充実を図っております。

---展示会(居酒屋JAPAN)に出展して、どのような相談が多くありましたか。
黒田氏
実は、今回初めて展示会に出展しました。コロナ禍もあり、熱心な外食企業様が多かった印象です。相談の多くはOEMの開発であり、弊社が扱っている冷凍食品シリーズのコロッケ、メンチカツ、ハンバーグにアレンジを加えたOEM商品の相談です。他にはない、尖った冷凍食品を作れないかの要望が多く、皆さま、差別化できる冷凍食品を探していると思いました。また、SDGsの取組みでもある食品ロスに対しての意識が高く、これまではレトルトを使っていたお店が冷凍食品に変えるなど、レストランユースの商品が冷凍食品に変わってきています。飲食店で気に入られる商品の多くは冷凍食品です。

---御社の人気商品を3つ教えてください。
黒田氏
「信長コロッケ」、「チョコレートコロッケ」、「とんちゃんからあげ」の3つです。とんちゃんからあげは、国産の豚ホルモンに衣をつけて揚げるシンプルな商品であり、社長の発想で生まれた商品です。チョコレートコロッケについては、その名の通りカカオをたっぷりと使用したハート形のクリーミーなコロッケであり、バㇾンタインの時期などや女性、スイーツ好きの方に人気がありカラオケチェーンなどの幅広いユーザー様に採用されています。

IMG_6593.jpg
「とんちゃんからあげ」 ※居酒屋JAPAN展示品

IMG_1622.jpg
左上:「飛騨牛コロッケ」 左下:「信長コロッケ」 右:「とんちゃんからあげ」

IMG_6592.jpg
左:「飛騨牛コロッケ」 右:「チョコレートコロッケ」

小栗氏
信長コロッケは、織田信長のゆかりの地である、愛知県、岐阜県、それぞれの銘産品である、名古屋コーチン、飛騨牛を使ったコロッケであり、鶏肉と牛肉の2つのおいしさで天下を制するとの意味合いを込めた商品です。

---お二人にとって、冷凍食品とは?
黒田氏
最近はテレビなどでも冷凍食品が多く取り上げられており「冷凍食品なのに、こんなにおいしい!」との声をお聞きしますが、逆に言うと「冷凍食品だからこそ美味しい!」なのです。レストランのシェフが作る料理を工場でつくり、同じクオリティの料理を届けるのが我々、冷凍食品メーカーのポリシーです。

小栗氏
冷凍食品とは、お客様(飲食店)との触れ合いのなかで作っていく、物語なのかと思います。冷凍食品には無限のストーリーがあります。

IMG_6697.jpg


大栄食品の取材時にOEMのニーズが増えていると聞いた。そこで、外食企業からのOEMを受託している企業にも注目した。

取材したのは、CREAMS株式会社(本社:東京都渋谷区)。代表取締役 山崎隆司氏と取締役 臺(だい)幸好氏に話を聞いた。

IMG_1268.jpg
左:代表取締役 山崎隆司氏 右:取締役 臺幸好氏

---簡単に御社のご紹介をお願いします
山崎
弊社はOEMの受託会社で、製造は冷凍食品メーカーに依頼しています。一番の特徴は少ロットでの対応が可能であり、お惣菜などの冷凍食品であれば、60キロから発注ができます。売上の3割が冷凍食品のOEMであり、コロナ前と比較すると2倍まで増えました。

---コロナ禍でどのような相談が多いですか。
山崎氏
冷凍食品OEM全体の案件依頼は年々増えていますが、なかでもここ3~4ヵ月でハンバーグの依頼が極度に多いです。牛肉の高騰もあり、自分たちがお店でつくるよりも工場で一括してつくったほうが原価を抑えられるのが理由だと思います。その他には、肉まん、餃子、春巻きなどの中華系食材です。相談企業の傾向を見ると、自分たちの強みとしている料理、メニューは手作りとして、その周辺のアイテムは冷凍食品に任せるようにしています。

---飲食店の冷凍食品に対する意識も変わってきていますね。
臺氏
コロナ禍になり、新たなオペレーションを構築する外食企業が増えてきたと思います。仕込みに労力をかけずに、いかに手間をかけずに本格的な料理を提供する、オペレーションの手数を減らしてうまく料理を提供するのが当たり前になってきました。また、飲食業をやる人の意識も変わってきていると思います。これまでは、料理人が料理をつくって提供していましたが、昨今は、どのような業態をつくり、サービス、提供の仕方と言ったモデルづくりから入ってきます。チェーン化を考えたときに、軽やかな動きができているのは冷凍食品をうまく活用しているからではないのでしょうか。また、業態転換を素早く出来るのも冷凍食品が定着しているからだと思います。

---お二人にとって、冷凍食品とは?
山崎氏
今後、外食レストランが継続するための重要なツールであり、冷凍食品を活用することでレストランは持続可能となります。

臺氏
コロナ禍を経て、新たな外食ビジネスをつくっていく為の起爆剤になる商品だと思います。これまでとは違った発想で外食ビジネスを起こしていく為のなくてはならない商品が冷凍食品だと言えます。

IMG_6691.jpg

<取材協力>
味の素冷凍食品株式会社

大栄食品株式会社

CREAMS株式会社

【PR】
一般社団法人 日本冷凍食品協会
〒104-0045
東京都中央区築地3-17-9 興和日東ビル4階

読者の感想

興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

この記事をどう思いますか?(★をクリックして送信ボタンを押してください)

興味深い
役に立つ
送信する
誰かに教えたい
  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

( 興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

Page Top