スマートフォン版のフードリンクニュースを見る

RSSフィード

フードリンクレポート

フードリンクレポート

2022年2月28日(月)11:46

「外食の様々な場面で活躍している冷凍食品」改めて、その魅力を知る。

記事への評価

  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
0.0

取材・執筆 : 小山裕史 2022年2月23日執筆

キーワード :

DSC03728.jpg
一般社団法人 日本冷凍食品協会 
広報部長 消費生活コンサルタント 三浦佳子氏

コロナ禍の影響による内食需要の拡大により、家庭では冷凍食品の需要が高まっている。
調理の負担が軽減でき、手軽にバリエーション豊富なメニューを揃えられる冷凍食品は欠かせないアイテムとなっている。一方、外食市場でも人材不足、食材ロス削減などの場面で冷凍食品の活躍が目立っている。冷凍食品と聞くと、品質を維持しながら長期保存ができるイメージが強いが、コスト削減や売上向上などにも大いに役立っている。飲食店がニューノーマル時代を勝ち抜くためには、冷凍食品を活用することが不可欠になってきている。改めて、外食市場における冷凍食品の魅力について知ってもらいたい。

<関連記事>
 「かつや」アークランド、冷凍食品会社を買収。コロナでも強い小売に参入。
https://www.foodrink.co.jp/news/2020/05/1291135.php

 大阪王将、フードコートで冷凍餃子も販売。コロナ禍中で冷凍食品ノウハウがプラスに。
https://www.foodrink.co.jp/news/2020/06/04102359.php

大戸屋、冷食の店頭販売スタート。まずは、自店・ネット通販から。
https://www.foodrink.co.jp/news/2020/05/14111902.php


はじめに、1969年7月に設立された一般社団法人「日本冷凍食品協会」は、冷凍食品を語るうえで欠かせない団体である。同協会(東京都中央区)の主な活動内容としては、広く冷凍食品の魅力を伝えるため、イベントの開催、各種媒体の活用などのほか、一般消費者や学生に向けての講演や調理講習を開催するなど、幅広い広報・ 普及啓発活動を行っている。また、冷凍食品工場に対して品質管理の向上に関する指導を行い、冷凍食品の信頼性確保を図っている。併せて、調査や研究事業、定期刊行物『冷凍食品情報』等の発行など、会員に対する情報提供を行っている。

コロナ禍で冷凍食品の存在が一段と高まるなか、外食産業における冷凍食品の役割はどう変わっていくのか。同協会の広報部長である三浦佳子氏を取材した。

---コロナ禍を背景に冷凍食品の需要が高まっていますね。
三浦
家庭内での食事機会が増え、家庭用は好調です。2020年の家庭用冷凍食品の国内工場出荷額は過去最高の3749億円(前年比18.5%増)となりました。一方で、外食産業は厳しい状況が続いていることなどから、業務用冷凍食品は3279億円(前年比14.1%減)となりました。ホテルの宴会やパーティーやウエディング会場など、大量調理が必要な施設では様々な冷凍食品が使われていましたが、コロナ禍でこれらのイベント需要が大きく減りました。産業給食については、社員のテレワーク、出社人数の制限などで多くの企業が社員食堂をクローズしました。また、学校給食が一時的にストップするなど、物理的に料理の提供自体ができないことが、業務用市場の縮少につながったといえます。

---知っているようで知らない「冷凍食品」とは何ですか。条件などはあるのですか。
三浦
凍結した食品のことを冷凍食品と言いますが、実は4つの条件を満たすようにつくられています。1つめが、「前処理している」ことです。魚を例にすると、頭、内臓、骨、ひれなど食べられないところを取り除いて、利用者に代わってあらかじめ前処理をしています。2つめは、「急速凍結している」です。凍結するときに、食品の組織が壊れて品質が変わってしまわないように、非常に低い温度で急速凍結しているので、栄養もほぼそのままです。3つめは、「適切に包装している」。商品の破損や形くずれを防ぐこともありますが、商品の取扱い、調理方法等のほか法律で決められている項目も含め様々な情報を表示しています。最後は、「品質を-18℃以下で保管している」ことです。食品の温度を生産、貯蔵、輸送、配送、販売の各段階を通じ一貫して常に-18℃以下に保つように管理しています。
この4つの基本を守っているものが冷凍食品と呼べるのです。今も昔も変わらない冷凍食品の常識なのです。

DSC03775.jpg

---冷凍食品は食材ロスの軽減にも繋がっているのですか。
三浦氏
冷凍食品は食材ロスを抑えられます。飲食店様はこの2年、コロナ禍で営業がとても不安定になりました。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域になると時短営業や休業する場合もあります。また、時短営業となるとお店を開けてもお客様の来店人数の予測はとても立てにくいので仕入れも難しくなってしまいます。メニュー数を減らして食材ロスを抑える手段もありますが、せっかく来店されたお客様の満足度は下がってしまいます。

ここで、冷凍食品が活躍します。冷凍食品は必要な量、個数だけ使え、残りは保存できます。今日、明日使わなくても冷凍庫に保存すれば1か月先でも使用できます。また、料理の盛り付けには生鮮野菜が多く使われますが、生鮮野菜は時間が経つと鮮度が落ち、水分もでてきます。生鮮野菜を全て冷凍食品に代替させることはできませんが、代替できるものは冷凍食品を使うことで、常に新鮮な状態で提供できます。営業日数、時間、来客数が不安定のなか、仕入れのコントロールはとても難しいと思いますが、冷凍食品の活躍によって、食材ロスを軽減できます。

---冷凍食品は人手不足にも一端を担っているみたいですね。
三浦
本来、冷凍食品が持っている本来のパワーをもっと外食の皆さまに知っていただきたいと思います。私の憶測ですが、冷凍食品の良さを十分使いこなせていないのではないかと感じています。生鮮素材しか原材料として、使用していないことをお店のウリにしている、こだわりがあるお店もあると思います。こだわりがあるお店は当然、こだわりを貫いてほしいですが、外食業界は人手不足が深刻化しています。

例えばですが、居酒屋で提供している餃子。これまでは、経験豊富なスタッフが焼いていましたが、その人が辞めてしまい、新人が焼くとなればうまく餃子の羽根がつくれない。冷凍食品の餃子であれば、レシピ通りに焼けば、経験の浅くても餃子を焦がすことなく、うまく羽根をつけることができます。羽根つき餃子のようにこれまで特定のスタッフしか持っていなかった技術までも冷凍食品が補っている商品は餃子以外にもたくさんあります。冷凍食品は人の技術までもカバーでき、誰が作っても失敗しない。味も均一に提供できるのが冷凍食品の強みです。

他にもたくさんあります。野菜のダイスカットも冷凍食品が活躍します。スタッフがカットするとなれば、どうしても形、大きさが異なります。すると盛り付けしても美味しそうには見えず、料理のイメージダウンにも繋がります。冷凍野菜のダイスカットであれば、サイズが規格化されているので、きれいに盛り付けができます。また、ダイスカットする時間を他の仕込みに充てられます。冷凍食品を使うことは単に省力化することではなく、料理の見映えを良くする目的でもあります。また、冷凍食品を組み合わせることで、メニューのバリエーションも豊富になります。冷凍食品はお店の一助になることを知ってもらいたいのです。

DSC03783.jpg
フードリンクニュース小山

---ここ最近、業務用冷凍食品で印象に残った商品はありますか。
三浦
タマゴ関連の商品です。なかでも「だし巻き卵」。居酒屋でも定番メニューのひとつとなっていますよね。もちろん、注文が入ってから卵を溶いて焼き、ふわふわの状態で提供するのがベストですが、先日、試食した業務用のだし巻き卵もとてもふっくらしており、卵焼き本来の風味と食感のバランスであり、これ以上ない味付けでした。例えば、食中毒の要注意季節である梅雨や夏だけでも、衛生管理がしっかりできている冷凍食品に頼っても良いのではないでしょうか。
このような知識を外食業界の多くの方々に知っていただきたく活動をしています。

---冷凍食品を利用することで、メニューの世界観が広がりますね。
三浦
その通りです。回転すしのメニューである「オクラ納豆の軍艦巻き」。納豆と刻んだオクラが軍艦に盛られていますが、刻んだオクラを冷凍食品で対応することでロスもなくなります。
また、冷凍の山芋とろろは、刺身の山かけ、とろろ汁、とろろそばなどさまざまな料理に使用できます。冷凍とろろであれば長期保存ができ、色の変色もなく、美味しくいただけます。洋風なら、例えば冷凍のラタトゥイユを使えば、基本のラタトゥイユはもちろん、肉を足せばボリュームあるメインデッシュに、ハンバーグやパスタに盛り付ければ豪華な料理に変わります。長期保存ができる冷凍食品だからこそアレンジ次第でメニューの幅は広がります。

DSC03838.jpg

---冷凍食品のクオリティもかなり進化していますよね。
三浦
冷凍食品の技術、クオリティは年々上がってきています。"おいしさ"は各社の競争なので各メーカーでは、原材料を厳選したり、調理方法を工夫したりして、本当にクオリティが上がっています。

---冷凍食品はメニューを増やせ、調理時間も短縮、人手不足も解消など、改めて素晴らしさを実感しました。
三浦
今後、食品ロスを減らすことは外食業界全体の責務であり、個別の飲食店では食品ロスを減らす取り組みが強く求められることになります。SDGsへの取り組みとして『「食品ロス」を減らす、なくす』、その役割を担えるのが冷凍食品です。

冷凍食品の知識をさらに深め、使い勝手の良さを知っていただき、今後もますますご活用いただければ幸いです。

---ありがとうございました。
DSC03753.jpg
左:日本冷凍食品協会 三浦佳子氏
右:フードリンクニュース 小山


コロナ禍の影響をもろに受けた外食業界。店舗売上が落ち込むなか、外食チェーンは家庭でもお店の料理を楽しんでもらおうと冷凍食品の販売を強化している。単にお店の料理を販売するのではなく、自社ブランドのPRを兼ね、家飲みのシチュエーションに合わせ豊富な商品も多数販売している。

以下は、冷凍食品を扱っている主な外食チェーンの通販サイトである。各社、様々な家飲みのシチュエーションを意識した商品構成である。

・ロイヤルデリ(ロイヤル株式会社)
・塚田農場家飲み便、おうち塚田農場(エー・ピーカンパニー)
・おうちレストラン(ワンダーテーブル)
・美味しい宅杯便(ダイナック)
・俺のEC(俺の株式会社)
・KIWA Bazaar(際コーポレーション株式会社 )

なかでも、群を抜いて豊富な商品アイテムを販売しているのが、ロイヤルが2019年末から展開している通販サイト「ロイヤルデリ」である。単にファミレスチェーンがコロナ禍の家飲み需要を狙っての展開ではなく、実は、ロイヤルが冷食の開発に着手したのは1962年であり、商品のラインナップだけではなく、味の完成度が非常に高い。
0430i1-thumb-600x450-56618 (2).jpg
「ロイヤルデリ」各種商品

「ロイヤルデリ」を展開しているロイヤル株式会社の担当者4名がオンライン取材に応じてくれた。

ロイヤル株式会社
・製造本部 本部長 佐藤信哉氏
・ロイヤルデリ事業推進部 部長 庵原(いはら)リサ氏
・ロイヤルデリ事業推進部 リン・フォンション氏
ロイヤルホールディングス株式会社
・経営企画部 コーポレートコミュニケーション 大神田華生留氏

---「ロイヤルデリ」は、コロナ禍前のスタートなのですね。
庵原
はい、販売を開始したのは2019年12月になります。スタート当初は25アイテムであり、2020年10月のリニューアル時には45までアイテム数を増やしました。そこから、改善を繰り返しながら現在は、新商品や限定商品を含めて50~60アイテムとなっております。
弊社では1963 年にセントラルキッチンを設立しました。社内報に設立した理由が記載されており、そのひとつが家庭用冷凍食品の参入の可能性です。既にアメリカでは共稼ぎの家庭が多く、ミール・ソリューションが定着していました。日本もこれから女性の社会進出が進み始めれば、冷凍食品のニーズが高まる。それなら、ロイヤルの味を家庭に提供することで、明るい食卓がつくれる。そんな世の中がいつか訪れると将来を見据えて、冷凍料理の開発に力を入れてきました。コロナ禍でロイヤルデリは注目されましたが、コロナ以前から別の観点で取り組んでいました。

IMG_0928.jpg
庵原氏

---売り上げが好調みたいですね。
庵原氏
はい。おかげさまで売上、会員数とも伸長しています。2021年の売上実績は7.8億円、前年比の2.5倍、登録会員数も2.7倍と伸びました。販売チャネル別で見ると、ロイヤルホストやグループ内の店舗で購入が6割であり、3割がネット通販、1割が催事や常設店などになります。冷凍食品はストックニーズに応えられるので、大量に購入されるお客様も多くいらっしゃいます。

---「世界の食卓」など、コンセプトが面白いですね。
庵原
ロイヤルデリのリニューアルがコロナ禍と重なってしまったことで、ロイヤルホストのメニューが家庭で手軽に食べられるイメージがついてしまいましたが、最近は、ようやく単一のブランドであることが認知されてきています。私たちはロイヤルの新ブランドとして取組んでいます。もちろん、ロイヤルホストで提供している商品もありますが、「ロイヤルデリ」は、あくまでもご家庭でお召し上がりいただけるように加工度を高めている為、店舗で提供している調理工程とは異なりますし、ショートパスタなど、ロイヤルデリのみで販売している商品も多くあります。「家庭の食卓をもっと豊かにしたい」、「海外旅行に行った気分で世界の料理を楽しみたい」、「ひとりでワインを飲みながらつまみたい」など、それぞれの消費者ニーズやシーンに合わせたかたちでロイヤルの味をご家庭に届けています。
0430i4-thumb-480x360-56624-thumb-480x360-56625.jpg
画像上段のサラダは筆者が自前で用意

---おすすめの商品について教えてください。
佐藤
おすすめは、手の込んだ料理や凝った料理です。炒めものは家庭でもフライパンで簡単に調理できますが、煮込み料理などは家庭で作るには時間と手間がかかります。「ビーフシチュー」や「オニオングラタンスープ」などがおすすめです。

IMG_0929.jpg
佐藤氏

---昔と比べて消費者の冷凍食品に対するイメージはどう変わりましたか。
庵原
ずいぶん変わった印象があります。私たちのような企業も冷凍食品の販売を強化したことで、商品アイテムの選択肢が増えたこと、また、技術面も年々、向上しています。コロナ禍での巣ごもり需要が追い風となり、この機会に試してみようと思う消費者も増えたのではないでしょうか。

---冷凍食品の利点についてお聞かせください。
庵原
お客様(消費者)の視点で言うと、まずはストック(保存)ができることです。手間暇を肩代わりしてくれる。調理時間をショートカットして短い調理時間で美味しいものを食べられるので、働いている方、ご家庭の主婦(夫)関係なく、忙しい毎日に追われている方には助かります。また、自分が作る料理と別の味が気軽に楽しめるのも利点ですね。ストックできる利便性と味のバリエーションの2つが冷凍食品の利点になります。

---最後に皆さまにとって冷凍食品とはなんですか。
庵原
冷凍食品とは、美味しさと時短を両立させるスーパーフードと考えております。

佐藤
冷凍食品は、安全なもの、安心なものです。食中毒が起こらない安全な食べ物と言えます。

大神田
冷凍食品は私に時間と余裕を与えてくれたものです。今の世の中もこのようになってくれると助かります(笑)。

リン
冷凍食品は食品業界における物流のなかで、大きなレボリューションを起こした商品です。昔は食品の保存ができませんでしたが、冷凍技術が発達したことで供給の安定にも繋りました。日本は冷凍技術が素晴らしく、世界のなかでもトップレベルだと思います。

【PR】
一般社団法人 日本冷凍食品協会
〒104-0045
東京都中央区築地3-17-9 興和日東ビル4階

ここから先は「プレミアム会員」の方のみ、御覧いただけます。
会員の方はログインページへお進みください。

読者の感想

興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

この記事をどう思いますか?(★をクリックして送信ボタンを押してください)

興味深い
役に立つ
送信する
誰かに教えたい
  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

( 興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

Page Top