フードリンクレポート
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取材・執筆 : 小山裕史 2021年6月17日執筆
自宅でも泡までうまいビールを楽しむために、卓上型、ハンディ型、マドラー型、コースター型など様々なサーバーが発売されている。その多くが缶ビールにサーバーを装着して超音波が起動、泡が出る仕組みである。ビールの泡を楽しむにはこのタイプが主流であったが、本格的なビールサーバーを貸し出し、ビールを定期配送する"生ビールのサブスク"の利用者が増えてきている。
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会員制の家庭用ビールサーバー市場は、大手ビールメーカーの2強が激突している。2017年6月にキリンビールが「キリン ホームタップ」の発売、サービスを開始した。家飲み需要が増え、今春から本格展開して2021年末までに会員数10万人を目指している。キリンビールに続き2021年5月25日よりアサヒビールが「THE DRAFTERS(ドラフターズ)」のサービスを開始した。大手2社の話題が先行しているが、アサヒビール同様に今年5月からECサイトのオープン、会員登録をスタートしたのが「DREAMBEER(以下「ドリームビア」)である。
ドリームビアのサービスを提供しているのは株式会社DREAMBEER(本社:東京都豊島区 代表取締役:山中 孝徳)、株式会社光通信のグループ会社である。2019年に会員制ビール配送サービスのプロジェクトをスタートして、2020年にサーバー含め、販売のプラットフォームが完成した。先行予約で昨年7月にメルマガ会員、10月にプレ会員の登録を行い、今年の5月1日から本会員の登録がスタートした。なお、ビールサーバーは9月から順次、配送する予定である。
家庭用ビールサーバー市場に異業種から参入したドリームビアについて、同社広報担当の星野光徳氏に話を聞いた。
---異業種からの参入ですが、事業立ち上げの動機について教えてください。
星野 自宅でも「ビールサーバーで注いだビールが飲みたい!」のが、この事業のきっかけです。缶ビールに装備したサーバーや、缶ビールを入れた卓上サーバーなどはありましたが、本格的なビールサーバーは当時、世の中にはありませんでした。「本格的にビールが飲める夢のようなサーバーがないのか?」であれば、自分たちで作っちゃえと思い、「ドリームビア」と名付け、2019年にプロジェクトをスタートしました。2017年からキリンビール様の「ホームタップ」が既に販売されて市場を開拓されている状況でした。
---異業種からの参入でメンバーはみんなビール業界やクラフトビールの知識などはあったのですか?
星野 いやいや(笑)。立ち上げメンバーはグループ会社や新規に採用したメンバーで構成され、クラフトビールやビール業界の知識は全くありませんでした。業界地図はもちろん、クラフトビールやマイクロブルワリーなど、毎日毎日、一生懸命勉強して知識を身につけました。今では、開発部長は"ブルワリー博士"と社内で呼ばれています(笑)。
---取扱いのブルワリー、銘柄などについて教えてください。
星野 おかげさまで、6月14日現在でブルワリー数は 28 都道府県49 社、97銘柄まで増えました。今後、100銘柄までは拡大を予定しています。ビール容器は、特殊なコーティングを施した1.5リットルサイズの専用ペットボトルを開発しました。ペットボトルのサイズにも拘り、家庭用冷蔵庫のポケットに収まるサイズにしました。これで主婦層の評価ポイントが上がります(笑)。
---目標の会員数について教えてください。
星野 2025年は、会員数10万人を目指します。また、ブルワリー数も増やし、今後もより良いビールを皆様のご家庭に届けたいと思ってます。
---会員のターゲット層は?
星野 ターゲットは40代、50代のハイエンド層になります。通常のビールと違い、クラフトビールは単価が高いため、クラフトビールの価値を理解できるハイエンドユーザーです。また、ダブルタップのビールサーバーのため、サイズが大きく設置場所も限られます。ダイニングやキッチンの環境もあるので、まずは40代、50代の男性層に広めていきます。
---最後に、「ドリームビア」のセールスポイントを3つ挙げてください。
星野 1つめは独自開発した家庭用本格ビールサーバーです。ダブルタップ、タップ部分は本格プロ仕様であり、専門店のような泡立ちが楽しめます。
2つめはビールのアイテム数です。北は北海道、南は九州のマイクロブルワリーのビールが自宅で味わえます。家にいながら日本のブルワリーを旅しているような気分が体験できます。
3つめは独自の物流オペレーションです。クラフトビールは非常にデリケートです。賞味期限は短く、品質管理には拘っています。日光を遮断し、LED 照明のみを使用したビール専用冷蔵倉庫で保管しております。配送もクール便、自宅でも冷蔵庫で保管する際の遮光袋を付けて届けています。
---ありがとうございました。
インタビューのなかで、星野氏から強く印象に残った言葉があった。
「僕らは、会員制ビール配送サービスのプラットフォーマーであり、例えるならビール版のネットフリックスです。ビールの垣根、ブルワリーの垣根を飛び超えて提供できるのが我々の強みです」
「家庭用ビールサーバーの"ネットフリックス"」か、非常に分かりやすい。コロナ禍でブルワリー巡りが出来ず、外食では営業時間が制限されているなか、ドリームビアの誕生はクラフトビールファンにとっては必須アイテムである。
大手ビールメーカーを脅かす凄いの出てきたな。
<企業情報>
株式会社DREAMBEER(ドリームビア)
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-4-10
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