フードリンクレポート
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取材・執筆 : 小山裕史 2020年12月24日執筆
【ホーム】改め、【家飲み】として、再スタート。飲食店での感動を家庭に広めるためのマーケティングニュースとして定期的に配信。今回のテーマは「ビール」に注目。
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正月商戦に向けて、各社スーパーのアルコール売場が激化している。2021年の正月はコロナ禍の影響が続き、家飲み需要が例年より増えることが予測される。ビールメーカー各社も陳列やPOPの強化を図り、さらにハレの日に合わせ、発泡酒や新ジャンルではなくビールの強化が目立っている。
今年10月の酒税法改正でビールの税率が引き下げられたことは、各社とも主力ビールを販売するうえで勝機となっている。
今年9月に食事・運動・バイタル管理「カロミル」の開発・提供をするライフログテクノロジー株式会社(東京都中央区、代表取締役:棚橋繁行)が実施した「2020年度上半期のビール飲酒回数ランキング」調査では、「アサヒスーパードライ」が断トツの1位であり、2位の「サッポロ生ビール黒ラベル」に倍以上の差をつけた。3位には「エビスビール」、4位に「キリン一番搾り生ビール」、5位に「ザ・プレミアム・モルツ」となった。
圧倒的なブランド力を誇るアサヒスーパードライであるが、飲酒回数を年代、性別で見ると20代を除く各年代で男性の割合が女性の約4倍となり、圧倒的に男性ファンに支持されていることが分かる。気になったのが年代別で、40代と50代の男性で半数以上の飲酒割合となっている。アサヒスーパードライは、昨年11月より新ブランドメッセージ「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」と設定。新TVCMには若手俳優を起用、若年層へアサヒスーパードライの魅力をアピールしているが、上記の調査結果を見る限り、若年層の飲用頻度は低い。
スーパーを視察すると、正月に向けた消費者のまとめ買いをにらみ、ケース売りが目立つ。各社、CM連動のPOPやおまけを付けて販売しているが、差はあまりなく、ブランドイメージとキャンペーンを訴求しているように感じる。
スーパーで自社の主力ビールを買ってもらうための販促は、果たしてブランドイメージの訴求やキャンペーン、おまけなのだろうか。
ここ数年、業務用市場ではビールメーカー各社が樽生ビールの飲用時品質の向上を強化している。ビールメーカーの直営店でも、ビール離れを食い止めようと自社ビールの美味しさを再認識してもらう取組みを行っている。家飲み需要が増えてきているなか、缶ビールでも樽生ビールのような泡が楽しめるビールサーバーなどが量販店でも買えるが、恐らく、一部のビール愛好家だけが購入しており、家庭における絶対数は少ないと思う。
例えば、アサヒスーパードライの場合、「サトウ注ぎ」で知られる、アサヒスーパードライの注ぎ名手である佐藤裕介氏(ビアブルヴァード代表取締役)が、教える『アサヒスーパードライ缶の上手な注ぎ方マニュアル』を付けたり、店頭動画で注ぎ方を流すなどの販促を行うことで、通常の注ぎ方だけではなく、「二度注ぎ」や「三度注ぎ」なども学べ、ビールの世界観が拡がるのではないか。また、グラスを凍らせることがNGであること、などの雑学も知ることができる。現に佐藤氏は、グルメ雑誌で缶ビールの注ぎ方を紹介している。
佐藤氏だけではなく、各社にも注ぎの名手が直営店などに存在しているのだからこそ、自社の主力ビールを家庭で美味しく飲む注ぎ方のマニュアルをセットにした販促策はありではないか。
※画像はイメージ
酒税法の改正でビールの税率が引き下げられたが、酒税変更がない酎ハイやハイボールなどRTDの割安感は変わらず、成長を続けている。
ビールを飲ませる施策は、家庭でもビールを美味しく飲ませる"ワザ"を伝えることである。
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