外食ニュース
米国食肉輸出連合会(USMEF)主催のフードリンクセミナー「繁盛店を目指す! アメリカン・ビーフ活用術」セミナーが、2月26日(水)大阪市内のANAクラウンプラザホテル大阪にて開催された。大阪初のカッティング・セミナーの実演、そして日本初登場メニューを含むアメリカン・ビーフ・メニューの試食会と、大盛況のうちに幕を閉じた。
大阪初のカッティング・セミナーも開催。
米国食肉輸出連合会(USMEF以下略)は、1976年に米国政府、米国食肉業界により設立された非営利団体で、アメリカン・ビーフ、ポーク、ラム、マトンの米国以外の海外市場での販売促進・広報・教育活動による需要拡大と、消費者、業界での認知の向上を目的としている。
セミナー第一部は、USMEF ジャパン・ディレクター 山庄司 岳道氏による「アメリカン・ビーフ・マーケット動向」最新版。
2020年の重要事項として、2019年9月に締結された日米貿易協定による、アメリカン・ビーフの輸入関税率の大幅ダウンがある。
関税率は2018年の38.5%から2020年に25.8%まで下がり、10年後の2030年には0%に下がる。ハラミなど内臓は2020年5.3%、2030年に0%、牛タンは2020年5.1%から、2028年に0%まで、それぞれ段階的にゼロとなる。食材価格が上昇し続ける中、価格が安定していることと、関税率の低減は、飲食店にとっては心強い。
アメリカン・ビーフの生産量は2016年以降、5年連続前年比100%以上(2020年は見込み)。しかも、その肉質は年々上昇している。日本に食肉格付協会があるように、アメリカン・ビーフの美味しさも、アメリカ農務省(USDA)による格付け制度によって、その品質は担保されている。
生産量が増えているだけでなく、最高等級の「プライムビーフ」の発生率も年々UP。2013年の3.7%から、18年には7.95%と5年で2倍以上。その背景には、DNAレベルで肉牛のデータを取って、良質な肉牛を生み出す、世界最先端のアメリカン・ビーフの生産現場にある。生産者は、優秀な血統の母牛を購入し、良い父牛のDNAと掛け合わせることで、生まれる仔牛の歩留まり率や等級も、レベルアップし続けているという。
輸入条件改正によって、昨年より月齢30カ月以上のアメリカン・ビーフの輸入も開始。2017年データによると79%が月齢30カ月未満で出荷されており、月齢30カ月以上の肉牛は、母牛と乳牛19%、種牛2%。経産牛も飼い直し(再肥育)によって肉質を向上させた後に出荷されている。「長く飼育した方がタンも大きく育って美味しいのです」と山庄司氏が語るように、人気で品薄のタンやホルモンの重要な供給源となりそうだ。
続いて「フードリンクニュース」小山裕史による「外食市場肉バトルトレンド動向」セミナー。
近年の肉ブームから、差別化が難しくなってきている肉メニューの最新トレンドを紹介。
令和の肉メニューのキーワードとして、「ネーミングステーキ」「看板肉メニュー確立」「肉+旨味食材」「スパイス肉メニュー」「グループシェア肉メニュー」「肉鍋」「進化系ステーキ」「SNS映え進化系」の8つをピックアップ。代表的な人気店のメニューを例に、トレンド分析を行った。
1ポンドステーキではありふれているところ、インパクトある10ポンドステーキ(5ポンド×2)で。名古屋で6店舗を展開する人気店「Steak House Indian's」の眼からウロコの提供方法。
2019年8月オープン、京都初のチャドルバギ専門店「ブリスケ ロニー」。チャドルバギも、2019年のセミナーで提案された料理のひとつだった。
レア肉+生ウニ+イクラ+マグロ、旨み相乗の究極丼。「吉祥寺 肉ドレス海鮮丼」の看板メニュー。
2014年以降のビアガーデンのトレンドを振り返り、2019年は、体験型ワークショップビアガーデン元年と命名。
世界初の体験型エキサイティングBBQや街の真ん中のキャンプ場、子ども用ノンアルコールビールといった、新たなムーブメントを取り上げた。
続いて、USMEF ジャパン・ディレクター山庄司氏による、大阪初のカッティング・セミナー。
肉の繊維の向きの見方や、すじ引きは筋肉の繊維に逆らって引くこと、繊維に対して直角にカットどのアドバイスを交えつつ、ステーキや焼肉用など、チャックアイロールの塊肉を部位ごとに切り分けていく。元々歩留まり率が高いアメリカン・ビーフを、いかに効率的に活用するか。各部位の肉質に合わせて、商品化するコツをレクチャー。
USMEFシニアマーケティングマネージャー 笠谷 樹氏による試食メニューの説明。
隣の会場に移り、着席型の試食会。新メニュー含む5品が提供された。
ANAクラウンプラザホテル大阪 ホットセクション調理長 飛永憲一氏によるメニュー紹介。
今回初登場したのが、アメリカ・シカゴ発祥のイタリアンビーフ。牛肉を香味野菜と煮込み、ロールパンに挟み、肉汁をかけたご当地サンドイッチで、19世紀初頭、シカゴのイタリア系移民によって開発されたと言われている。ショートプレートを使用。
つゆだくのパンは目新しい食感だが、洋風牛丼の具入りパンといった様子で、意外と日本人の味覚と相性が良さそうだ。
昨年の「アメリカン・ビーフ・セミナー」にて、日本に初紹介されたのが、アイダホ州ほか3州ほどでしか知られていないローカルフード、アイダホ・フィンガーステーキ。クロッドハート(ウデ・肩サンカク)を使用。ステーキ肉をフライした老若男女にウケる、キャッチーな味わい。
大阪で4店舗を展開する「街の肉バル Buff」グループは、炭火焼ステーキが名物で、揚げ物メニューを強化する目的で導入。昨春の大型連休に大阪・中ノ島で開催された「FOOD SONIC(フードソニック) 2019」では、天候に恵まれない中、1日500食近くを売り上げた。
ANAクラウンプラザホテル大阪の名物料理ローストビーフは、経産牛のリブアイロールで。
関西では肉吸いとして有名な、牛すいも登場。ショートプレートを豆腐と、あっさり昆布出汁で。居酒屋のメニューとして定番化するか。
多くのヒントを貰える充実した内容に、参加者の多くも好反応。最後は、笠谷氏の閉会の挨拶で締めくくられた。
開催日:2020年 2月26日(水)
主催:米国食肉輸出連合会(USMEF)
企画運営:株式会社フードリンクグループ(フードリンクニュース)
会場:ANAクラウンプラザホテル大阪
時間:13:30〜16:00
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