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外食ニュース

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2020年3月30日(月)13:47

王道戦略の中にも勝機あり。手延べうどんの和食ファミレス「味の民芸」の戦い方

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取材・執筆 : 中山秀明 2020年3月14日執筆

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新味の民芸(合成店舗写真)J0809.jpg

 うどんは、日本に数あるご当地料理の中でもバラエティに富んだジャンルのひとつだ。その中のひとつが、岡山の「備中手延べうどん」。讃岐などに比べるとマイナーな存在でありながら、このご当地うどんで関東一帯にチェーン展開する老舗が「味の民芸」だ。ロードサイド型の和食ファミリーレストランとして、どんな戦い方をしているのか。その手腕に迫った。

 インタビューに応じてくれたのは、味の民芸フードサービスの経営企画部、営業戦略室の毛呂知章課長。聞けば、備中手延べうどんが名物ではあるものの、メニュー開発においては伝統の味に革新的なエッセンスをプラスすることも大切だという。

 「もちろん、長時間熟成して丹念につくりあげた手延べうどんと、高級素材を使ってセントラルキッチンではなく店舗で毎日引く『黄金だし』が当店のウリです。ただ関東でうどんといえば手延べよりも手打ちのイメージが強く、東京から埼玉にかけての武蔵野うどん、群馬の水沢うどんといったご当地うどんの文化もあります。全国的に讃岐うどんの人気も強いですし、当店としては手延べの麺を推すよりも、うどんそのものの魅力や、和食レストランとしての価値を訴求しています」

 事実、一番人気は「黒酢の酸辣(スーラー)うどん」という創作メニュー。また「白胡麻担々うどん」も人気が高く、そのほか冬は鍋焼き系、夏は天ざるや冷やし肉すきうどんといった季節メニューが好評だという。

酸辣うどん-ミニいくら丼セット.jpg

 「季節のフェアに関しては、うどん以外の料理も人気です。たとえば昨年の夏は牛タンやうなぎが好評でした。秋以降は消費増税を考慮して、メニュー変更は商品価値を上げることを目標に、10月に実施。それに伴う販促を11月に行いました。その効果に加えて気温的な状況がマッチしたことも功を奏し、予想以上に冬季の売り上げはよかったですね」

 増税よりも深刻だったのは、場所にもよるが台風の災害だったという。では、昨今話題の喫煙室問題や、デリバリーに関してはどのように取り組んでいるのか。

 「当店は約15年前に、全店禁煙に舵を切りました。これは業界内ではかなり早い方だったと思います。もともと分煙にしづらい店づくりだったというのが大きいです。当初はその影響で苦戦しましたが、その分、今悩まされることはないですね。デリバリーに関しては、配達エリアにもよりますが、現状としては大きな売り上げにはなっていないです。今後、お客様のニーズに合わせて対処していこうと考えています」

 「味の民芸」の大きな転換点といえば2014年。東海のうどんファミレスの雄「和食麺処サガミ」などを展開するサガミグループ傘下となったことだ。そのシナジーも、原動力になっているのではないだろうか。

 「はい。たとえば『和食麺処サガミ』ゆずりの名古屋めしは、毎年9〜10月ごろに人気の季節メニューですね。また、手羽先をはじめ、特徴のあるサイドメニューが充実したのもメリットです。ただ『和食麺処サガミ』はサイドメニューと同時にアルコールの付帯率がかなり高いのですが、同じようにやっても『味の民芸』ではいま一歩ですね。ここは課題かなと思っています」

うな重セット.jpg

 「味の民芸」は2019年、16年ぶりに新店をオープンするなど新たな動きを見せている。また、今後はロードサイドだけでなく都市型店舗の開業も考慮し、チャレンジしていく考えだ。比較的高齢のターゲットに合わせた、季節メニューをはじめとした従来型の王道戦略がヒットする一方で、新たなニーズも想像していく同社の狙いの先に、ロードサイド型和食ファミレスの未来が隠れているのかもしれない。

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