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2020年3月18日(水)15:42

ダーツバーはいまどうなの? 都心と郊外で単身世帯に寄り添う「Darts UP」の現在地

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取材・執筆 : 中山秀明 2020年3月12日執筆

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 飲食店を取り巻く環境は年々厳しさを増している。突発した新型コロナウイルスによる自粛ムードだけでなく、構造的な家飲み派の増加、若者の酒離れなど枚挙にいとまがない。では、エンターテインメントの側面をもつ料飲店はどうなのか。そこで今回は、都内に26店(うち3店舗はFC)を展開するダーツバー「Darts UP」の運営元、株式会社FLECHAのスーパーバイザー・倉持大輔氏にダーツ業界の動向や同店の戦略などを聞いた。

 「Darts UP」は2011年、東京北東部の綾瀬に1号店をオープン。その後、西葛西、竹ノ塚と店舗を増やし、2012年に4号店として初の山手線エリアである西新宿に進出。そしていまや都内の主要な街の多くに出店している実力派だ。約10年間で着実に成長を遂げてきた同社は、市場をどう見てきたのか。

 「約10年前と現在で、大きく変わったことのひとつはプレイ料金です。今は当店のように100円で投げられる店もありますし、投げ放題システムを採用しているところもあります。しかし当時は1ゲームに600円程度かかるケースが普通でした。それが低価格になったことで学生さんなども遊びやすくなり、すそ野が広がった側面はあります」(倉持氏)

 倉持氏が業界に足を踏み入れたのは約15年前。当初はビリヤード店でのスタートだったが、そのころはダーツもビリヤードも大人の遊びだったという。利用者のライフスタイルを例に挙げると、平日はダーツやビリヤード、休日はゴルフといった形だ。ただ、「Darts UP」の運営にあたって社会情勢を考えた際、ターゲットの幅を若めに、より広く設定。結果、25〜35歳の独身をコアターゲットにすえる拡大路線をはかったという。

 「当社創業のころに業界全体として、ゲーム料金を薄利多売にするという流れもありました。それもあって、私はダーツで遊ぶだけではなく、ダーツで遊びながら食べたり飲んだりしていただき、そのメニューにも対価をお支払いいただけるバーをつくろうと思ったんです。それが『Darts UP』ですね」(倉持氏)



 ビリヤードは玄人と素人の差を埋めにくいが、ダーツはハンデをつけやすく順番も回ってくるというゲーム特性がある。そして、ビリヤードよりも酒を飲みながら楽しめる遊びだ。冒頭で述べたように、「Darts UP」は徐々に拡大。その中で、大きな決断をしたのは5〜6年前だ。新橋をはじめ、ビジネスマンの街やターミナル駅のある街への出店を強化。駅前立地であることは共通しているが、郊外と都心部、2つの顔を持つダーツバーとなった。

 「たとえば、お客様の利用の仕方が違います。都心では21〜22時から終電までがピークですが、郊外店はお客様の自宅が歩いて帰れる距離にあるため終電後もにぎわいます。また、郊外はおひとり様が多めですね。とはいえ、多くはほかのお客様と顔見知りなので、ある意味おひとり様ではありません。そしてこのように、お客様同士の関係性をつなぐ役目こそが当店がやるべきことだとも感じています」(倉持氏)

 約10年間での変化は、ほかにもある。おひとり様や女性客の割合はそうでもないが、男女2名同士で4組というグループは増えた。また、メニューに関しては依然としてドリンクのオーダー率が高いが、当初ウーロンハイや緑茶ハイだった主力はハイボールに代わり、エナジードリンクで割るカクテルの需要も増えたという。

 「業態的にドリンクのほうが出ますが、当店はキッチン担当による手作りにこだわっています。それは、料理のおいしさでも選んでいただきたいからですね。ドリンクは、テキーラのショットのオーダーが群を抜いていますが、最近は『コカレロ』というハーブリキュールを『レッドブル』で割った『コカボム』というお酒も、一定の人気があります」(倉持氏)

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 外食業界でも重要な市場となっているインバウンド。ダーツは外国人と好相性に思われるが、実態はどうか。

 「上野や池袋はアジアの方が多め、新橋、品川、恵比寿などは欧米の方が多めと、街によって地域の違いが出ますね。2019年のラグビーW杯のときは、欧米の方のビールの飲みっぷりが素晴らしかったです。今夏の五輪も不透明なことが多いため、具体的な対策はこれからです」(倉持氏)

 その"やるべきこと"は何かを聞いてみた。

 「まずは新型コロナ対策と4月の受動喫煙対策。並行して今後はFC展開にも力を入れ、直営店とあわせて5年後には50店舗を目指すべく動いています。あとは販促ですね。自社でWEBやSNSを使ったアプローチにイベントなど、これまであまりやってきていなかった分野にも力を入れていきたいと思っています」(倉持氏)

 ダーツバーは、職場と自宅の中間にある存在で、遊びを通じて友人を作ったり、ストレスを発散できたりする数少ない業態だと倉持氏はいう。そして、そのためのよりよい環境を作っていけるプロでありたいとも。リアルなコミュニケーションが希薄化しているといわれる現代だからこそ、純粋な飲食店と同様にダーツバーも欠かせない存在なのだ。

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