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取材・執筆 : 中山秀明 2020年1月24日執筆
消費者の健康意識が年々高まるとともに、国際化によりベジタリアンやヴィーガンへの理解が深まる日本。昨今はSDGsも浸透し、野菜への注目度は一層深まるだろう。そんな折、野菜のリーディングカンパニーであるカゴメが「ベジタブルソリューション2020」と題した外食・中食関係者への展示会を行った。同社が捉える野菜トレンドとは? そしてどんな新商品を訴求しているのか。筆者が注目したブースを中心に、レポートしていきたい。
まずは、テーマとしても大きく取り上げられていた「野菜だしの可能性の提示」から紹介しよう。日本料理が世界に誇る文化が「うまみ」であり、同時に「だし」は和食に欠かせない。そのうまみを、野菜から抽出したのが「カゴメ野菜だし調味料」だ。
だしのベースとなる野菜は、玉ネギ、ニンジン、セロリなどのいわゆる香味野菜で、これは洋風スープのベースともなる素材。それもあって、和洋中とジャンルを問わず活用できる。また、濃縮タイプなので、原液なら肉料理のコクを出すために使ったり、10倍希釈で炊き込みご飯、17倍でラーメンのスープといった形で、さまざまな料理に応用できる。
次は「外食等のヴィーガン・ベジタリアン対応」。これもメインテーマのひとつとして出展されるとともに、ブースには多くの人だかりができていた。冒頭でも触れたとおり、ヴィーガンとベジタリアンは消費者側でも大きなフードトレンドとなっており、そこで同社ではヴィーガン対応品の割合を年々増加。業務用商品でも現在53%がヴィーガン対応品となっており、今回は新商品として2つのシリーズがプッシュされていた。
ひとつは2月27日に新発売となる2種のカレーで、どちらも炒めた野菜やトマトペースト、野菜だしが溶け込んだコク深い味が特徴。さらに「大豆ミートのキーマカレー」は大豆ミート、「3種豆のベジタブルカレー」は、赤いんげん豆、白いんげん豆、ひよこ豆を使い、食べ応えのあるおいしさを実現している。また、少ない提供食数にも対応可能な1食使い切りタイプになっているのも特徴だ。
もうひとつは昨年夏に発売されたパスタソース。これも2品で、「根菜と大豆ミートのボロネーゼ」は、完熟トマトをベースに根菜や大豆ミートを加え、香味野菜とともにじっくり煮込んだ味わいが特徴。「きのこの豆乳クリーム」は、きのこの具材感と豆乳クリームのコク、香味野菜の香りとうまみを生かした味わいだ。
また、カレーとパスタソースのどちらにも「特定非営利活動法人ベジプロジェクトジャパン」が定めるヴィーガンの認定基準をクリアした証として、パッケージに「ヴィーガン認証マーク」を入れている。
個人的に興味深かったのは、数年前に業務用で発売された「洋食店のケチャップ」が市販化されることだ。同商品の特徴は、バターやローストオニオンなどを原料に配合することで、濃厚でまろやかなコクと香りに仕上がっていること。レストラン側からの声として、手軽に本格的な味に仕上がると好評だったこと、同時に現代の家庭でも洋食が日常的に作られていることが、今回の商品化への決定打になったそうだ。
ケチャップライスやオムライス、ナポリタン、ルーを使わないハヤシライスなどがメニュー例として紹介され、パッケージでも訴求される。発売日は今年2月11日だ。
データによると、2018年の訪日外国人のうち約5%がベジタリアン・ヴィーガンであり、市場規模は400億円超えと推計されている。一方で、彼らの困りごとには「ベジタリアン対応商品がわからない」「対応している飲食店が少ない」「牛乳は飲めないと伝えてもバターは別だと思われているなど、日本人の理解度が低い」といった声があり、提供側が受け入れ態勢を整備することは急務といえよう。そのなかで、食品メーカーも対策を打っていることが今回の展示でわかった。カゴメの、今後の商品開発にも注目していきたい。
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