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取材・執筆 : 千葉哲幸 2119年10月16日執筆
10月7日に株式会社甲羅(本社/愛知県豊橋市、以下、甲羅)が「創業50周年、新会長就任、新社長就任祝賀会」を名古屋市内で開催した。新代表取締約会長に就任したのは創業者である鈴木勇一氏、新代表取締役社長は勇一氏の長男でこれまで取締役副社長であった鈴木雅貴氏である。会場には約520人が参集し、同社の新しい門出を祝った。
甲羅には大きな特徴ある。それは人口35万人の愛知県豊橋市に本拠を置き373店舗(うち直営124店舗/2019年9月末現在)という大きな店舗数で、33という多業態を束ねているということだ。
創業者の鈴木勇一氏は1945年生まれ、豊橋市出身。1969年24歳で「どん底」というバーで起業、1974年7月に株式会社甲羅を設立した。鈴木雅貴氏は1972年1月生まれ、2001年4月月甲羅入社、2010年6月取締役副社長就任。
同社が転換するきっかけとなったのは1971年7月にカニ料理「甲羅本店」を豊橋市内にオープンしたこと。その後、今日の礎となる「豊橋甲羅本店」を1984年9月にオープンした。外観は合掌造りで140坪140席というダイナミックな店舗で、客単価が当時隆盛していたファミリーレストランよりもアッパーで3000円を超えながら、家族みんなで食事を楽しむ「ファミリーダイニング」という領域を切り開いた。
時代はバブル経済にあり、同業態はよく繁盛した。前述の店舗規模で月商4000万円は当たり前とされていた。こうして同社の隆盛を支えた業態は現在44店舗となっている(うち直営18店)。
甲羅本店を端緒として、同社のFCフォーマットは現在、主に焼き肉「カルビ一丁」、辛い鍋「赤から」、大衆居酒屋「えびす家」が育っている。中でも「赤から」は出店コストが抑えられて生産性が高いことから、飲食業を求める事業家からの加盟事例が多く、現在278店舗となっている(2019年9月末)。標準モデルは客単価2800円程度、原価率29%前後、理想の店舗規模はビルインで40坪、ロードサイドで50〜60坪、標準月商は700万〜1000万円を想定している。
甲羅本店も再びFC展開にかなった業態開発が進められている。そのポイントは、まず店舗のサイズをコンパクトして投資が抑えられること。次に「カニ」をメニューの軸に据えながら、夏は「ウナギ」、冬は「フグ」といった季節の食材を訴求することで季節波動を高度に平準化することだ。そのモデルとして2019年3月高崎に出店、さらに新しい試みを加えて11月相模原にオープンする。
左が創業者の勇一会長、右が雅貴社長
新社長の雅貴氏に抱負を訪ねた。
「甲羅グループが拡大する中で、店をつくることファンをつくることも『人』であることは間違いありません。しばらくは人づくりに力を入れていきたい。店づくりも世の中に受け入れられるコンセプトと同時に従業員がいかに楽しく働くことができるかということを考えて、ES(従業員満足)に目を向けていきたい」
このESのポイントは「適材適所の配属をすること」、「他責ではなく、自責で動くチームをつくること」という。その在り方を、一般論として過去の経営の在り方を「蒸気機関車経営」、これからの在り方を「新幹線経営」と例えて語った。
「蒸気機関車経営とはトップの蒸気機関車が後ろの車両を引っ張ること。新幹線経営とは車両それぞれにエンジンがついていて、それによって時速300㎞が可能になる、そのような組織を目指す」という。
勇一氏は新業態のアイデアを次々と述べる。その一方で雅貴は組織固めを述べる。ダブル代表のリーダーシップによって、甲羅は新しい企業の形態を整えていく。
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