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取材・執筆 : 西尾明彦 2019年7月23日執筆
関西肉バルブームを黎明期から牽引し続けている、「街の肉バル Buff」グループ。2012年11月登場の南森町店を皮切りに、2013年10月に江坂店、2014年10月に福島店、2017年12月に西中島南方店と、繁華街ど真ん中を避けて、大阪市内北部で4店舗を展開する。
米国食肉輸出連合会(USMEF)が今年提案している「アイダホフィンガーステーキ」をいち早く導入した「街の肉バル Buff 福島店」。店長の黒田隆二氏に、経緯やお客様の反応について話を伺った。

福島店店長の黒田隆二氏
「今年3月、(フードリンクグループ主催の)アメリカン・ビーフ・セミナーに参加して、その存在を知りました。ウチの業態と相性が良さそうなので、まずは食フェスで提供してみようかということになりました」。
ゴールデンウィークに大阪・中ノ島で開催された「FOOD SONIC(フードソニック) 2019」では、天候に恵まれない中、1日500食近くを販売、好評を得たのをきっかけに、オンメニューした。
「Buff」の看板メニューは、オープン当時から変わらず、50グラム単位でオーダーできる「Buff ステーキ」と「WILD ステーキ」、「炭焼き Buff バーグ」の3種の炭火焼きなのは、経営母体が、大阪・茨木市で創業から40年以上、北大阪エリアを中心に「炭火焼肉 七輪」11店舗と「炭火焼肉 長寿苑」を展開する七輪グループであることも大きい。焼肉店が出自なだけに、ホルモンなど、炭焼きメニューが豊富なのが特徴。
一方、炭焼きが得意な代わりに、肉バルとしてはグランドメニューに揚げ物が少なく、「こぼれフレンチフライ」(380円)「ハチノスのカツレツ」(480円)の2品だけだった。
「アイダホフィンガーステーキ」(980円)。比較的リーズナブルなアメリカン・ビーフの赤身肉の旨みが堪能できるモモ肉を使用している。フィンガーステーキ8ピースと、フレンチフライの盛り合わせのボリュームたっぷりの1皿
アイダホ州を中心に、アメリカ北西部の3州ほどのエリアで熱烈に愛されている、B級グルメ。見慣れない料理のため、「これ何?」とお客様と聞かれることも多く、会話のきっかけが増えやすいという。
カウンターに飾られている「フィンガーステーキ」販促用卓上のぼり。元祖ピルスナー「ピルスナーウルケル」の生ビールは、ビールファンの支持率が高い
「ザ・プレミアム・モルツ生」や「バーボンソーダ ビームハイ」、赤白の「グラスたっぷりワイン」が380円など、ドリンクも手頃。1軒目使いでしっかり食べて飲んで客単価は3000円台。
「福島エリアはバルも多いので、2〜3軒とハシゴする方も多いです。そんなお客様の中には、すでにお腹いっぱいで、「フレンチフライ」など、1品とワンドリンクくらいしか召し上がらない方もいらっしゃいます」。
「せっかく肉バルに来ていただいたからには、お肉を食べてもらいたいですから。『アイダホフィンガーステーキ』は、がっつりステーキは無理でも、お肉は食べたいという時に、軽く1品でもお勧めしやすいですね」。
壁にも販促用ポスターが掲げてある
「アイダホ州のソウルフードで、スナック感覚で食べられるステーキです、と説明すると、味もイメージしやすくて、実際美味しいので、お客様の反応は上々です」。
「アイダホフィンガーステーキ」は、お酒が進むメニューなため、ビールやハイボールとはもちろん好相性。冬はワインも人気だが、夏場はビールとハイボールが特によく出る
「気軽に注文してサクッと食べられるフィンガーフードで、パブのフィッシュアンドチップスのようなポジションですね。男女問わず、若い方から、50代以上の方までまんべんなくオーダーがあって、グループでシェアされています。今は1店舗あたり1日数皿で、売上への貢献度は限定的ですが、「フレンチフライ」より単価は上がるので、期待しています」。
福島店は4店舗の中で最大の72席。焼き場はカウンターからよく見えるところに配置。1日平均30組を迎え入れる

JR福島駅から徒歩3分、JR大阪環状線高架下に位置する福島店。並びには人気店が軒を連ね、切磋琢磨している
「肉バルも一時のブームからかなり淘汰されたように思います。サラダを増やしたり、色々なアクションを起こしたりしたこともありましたが、お洒落なことをしても、イタリアンのお店には勝てないです。僕たちはお肉のプロとして、しっかりと肉メニューを提供して、勝ち残っていくつもりです。原点回帰ですね。変わり種として新たに投入したのが、『アイダホフィンガーステーキ』です」。
「平日は近隣のサラリーマンやOLが、休日は若い人を中心に、目的来店が多かったのですが、5月にお向かいにホテル阪神アネックス大阪など『ふくまる通り57』がオープンして、これまでとは違う、新たな客層が増えました」。
「一見さんにいかに感動してもらい、リピーターになっていただくか。元気よく、愛想よく、そして、どれだけ気遣いができるかを大事にしています。アルバイトスタッフにも、単に仕事をこなすのではなく、バイトに行くのが楽しい、働くのが楽しい、お店が好き、となってくると、同じ仕事でも、視点が変わって、本当に一生懸命に頑張ってくれています」。

街に根差して長く愛される店づくりを得意としている「街の肉バル Buff」。軸をぶらすことなく、完成度の高い看板メニューを軸に、時代に合わせてメニューをブラッシュアップし続けていること、そして、マニュアルに頼らない、人間味あふれるサービス力。まだまだ進化を繰り返し、人気店であり続けていくことだろう。
■街の肉バル Buff 福島店
住所:大阪府大阪市福島区福島7-2 JR高架下16-17号
TEL. 06-6458-5529
営業時間17:30〜24:00
定休日:年中無休
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