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取材・執筆 : 中山秀明 2019年6月20日執筆
肉ブームが続く中でステーキは定番化し、それに続けと本場スタイルのBBQなどさまざまな米国フードカルチャーが上陸するわが日本。そのひとつとして昨今注目されているのが、アメリカ南部の伝統料理「プルドポーク」だ。プルドポークとは、豚の塊肉にじっくり火を入れ、ほぐし、BBQソースをかけてサンドイッチやバーガースタイルで楽しむ料理。
メニューに取り入れている店舗も増えているが、どのように活用しているのだろう。メリットや反応なども含め、現場に聞いてみた。
まずは、夜カフェの元祖と言われる東京・渋谷の「宇田川カフェ」。2001年のオープン以来、トレンド発信地であるこの街と人に支持され続けている名店だ。営業は毎日11時から翌4時まで。コーヒーにスイーツ、カフェめしにアルコールと多彩なメニューが並び、どの時間でも心地よいひとときを約束してくれる。
同店が開発したメニューは、バーガータイプの一皿だ。レタスのほかにアボカドとトマトを一緒にサンドし、ハラペーニョをブレンドしたマヨネーズソースもプラス。夏を迎えることから、メキシカン風に寄せる発想に至ったという。辛さは、ほぼなくちょうどいいスパイシー感で、みずみずしさもありおいしい。
やや太めのフライドポテトを添えて提供。「プルドポークたっぷり! BBQバーガー」の名称で、1250円(税抜)だ。夜はオリジナルのクラフトビール「シブヤビール」(税抜850円)との組み合わせも提案している。
同店の定番はカレーやハンバーグといったごはんものであり、レギュラーのバーガーメニューはない。そんなこともあって、今回のバーガーは出数こそ多くないが、プルドポーク自体は使いやすく、商品開発に重宝しそうとのこと。
森 倫子店長。「このプルドポークは割かれた状態になっていて、使いやすいところが魅力ですね。味付けもされているので仕込む手間がかからず、そのまますぐ料理に活用できるんです。また、想像以上に油っこくなくてヘルシーな点もいいと思いました。今回はバンズでサンドしましたが、ハンバーグに乗せる形にしたら、うちではもっとオーダーが入るかもしれません」。
クラフトビールとの提案に関して、ペアリングは抜群だという。「シブヤビール」は、ピンクグレープフルーツとマカを使った柑橘系の苦みが特徴で、肉系の料理とは好相性。ハンバーガーはシェアするイメージがあまりないため、ピザやタコスといったおつまみ感覚のメニューに活用するといいかも、と森店長は言う。
朝から晩まで通しで営業し、ピーク時には多忙を極める同店。調理への負荷がかからないことにプルドポークのメリットを感じており、応用させたメニューを考えていきたいそうだ。
【取材店舗】宇田川カフェ
住所:東京都渋谷区宇田川町18-4 LD&Kビル 1・2F
TEL:03-6416-9087
もう一軒は、渋谷駅の地下鉄13番出口目の前の施設「cocoti SHIBUYA」内にある「347CAFE&LOUNGE」。100席を誇る広いテラスシートが印象的な、リゾート感あふれる人気店だ。
ここではサンドイッチの素材にプルドポークを活用し、既存のサンドメニューと並ぶ人気ぶりをみせている。挟む生地にはライ麦パンを採用し、レタス、パプリカ、トレビスなどと一緒にサンド。プルドポークはあらかじめ調味されたソースそのものの味を生かし、マヨネーズを少々あしらっている。さらに、ココット入りのミニサラダを添えるプレゼンテーションに。
単品では「BBQプルドポーク サンドイッチ〔サラダ付き〕」として提供し、価格は1300円(税抜)。ここでもフードペアリングを提案し、イタリア生まれの「ペローニ ナストロアズーロ」を単品900円(税抜)のところ、セットでは2,100円(税抜)で打ち出している。
夏に向け、肉を使ったサンドイッチを開発したかったということで、プルドポークは最適だったとか。また、同店のコアユーザーは若い女性や学生。ディナーはカップル客も多いが、特にランチの客層は9割が女性になるということで、男性にもアプローチできるパワフルなメニューを考えていたとのこと。まさにプルドポークはうってつけだったのだ。
齋籐弘一統括料理長。「6月1日から1カ月間限定でやっているんですが、これまで1日平均4皿程度の注文をいただいています。当店はオムライスやパスタが主力なので、プルドポークサンドの数は好調と言えますね。ほかに卵サンドやカニクリームサンドがあるのですが、同じぐらい出ています」
このプルドポークは扱いやすさも魅力とか。ランチは満席になることも多く、その後もひっきりなしにお客が訪れる多忙な同店。オペレーションの負担にならないことは、大きなメリットなのだ。
「プルドポークって、イチから作るとすごく手間のかかる料理なんですよね。その点これは調理済みですし、最初からソースがしっかり付いています。味付けで何か加工するとしたら、辛くしたいときにスパイスを加えるぐらいですね。完成度が高いのに、手間がかからないというのは非常にありがたいです」(齋籐シェフ)
今後は人気のオムライスに添えたり、つまみやすくブルスケッタにしたりといった活用法で、プルドポークにトライアルしてみたいとシェフは語る。
【取材店舗】347CAFE&LOUNGE (サンヨンナナカフェ&ラウンジ)
住所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocotiビル 3F
TEL:03-5766-3798
米国のBBQカルチャーとともに日本へジワジワ浸透しているプルドポーク。BBQ的な調理設備がなくても、手軽に導入できる素材があるのはうれしいところ。BBQが盛り上がる夏のメニュー開発に、検討してみてはいかがだろう。
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