スマートフォン版のフードリンクニュースを見る

RSSフィード

外食ニュース

外食ニュース

2019年4月05日(金)15:32

今年もビアガーデンメニューをけん引するのはアメリカン・ビーフ!? 新提案メニュー登場

記事への評価

  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
0.0

取材・執筆 : 西尾明彦 2019年3月18日執筆取材

キーワード :  


1 - コピー.jpg


 米国食肉輸出連合会(USMEF)主催のフードリンクセミナー「アメリカン・ビーフでコーディネートするビアガーデンメニューとは!?」が、3月18日(月)大阪市内のANAクラウンプラザホテル大阪にて開催された。

  米国食肉輸出連合会(USMEF以下略)とは、1976年に米国政府、米国食肉業界により設立された非営利団体で、アメリカン・ビーフ、ポークと、ラム、マトンの海外市場(米国以外の国)での販売促進・広報・教育活動による需要拡大と、消費者、業界での認知の向上を目的としている。


 年々盛り上がりを見せるビアガーデン市場で、ここ数年、肉料理ブームが続いている。USMEFは、ビアガーデンの目玉メニューとして提供でき、メリットが多い「アメリカン・ビーフ」を活用したメニューの提案、新メニュー開発のヒントが詰まった、学べるセミナーを開催した。

2.png


 大阪・神戸 米国総領事館アメリカ農産物貿易事務所所長 ジェフ・ジマーマン氏によるご挨拶でセミナーはスタートした。


 続いて、USMEF ジャパン・ディレクター 山庄司 岳道氏によって最新の「アメリカン・ビーフ・マーケット動向」が語られた。

3.png


 米国の広大な土地で肥育される牛は約1億頭。牛の品種はアンガス種、ヘレフォード種と、その交配種。アンガス牛と交配種が約70%と主流を占めるのは、2種の牛を掛け合わすことで、良質な肉が多くとれる最良の牛となるからだ。年間約3500万頭が牛肉として加工されており、1日あたりの加工数は日本の約20倍の約11万頭。

4.png
80名近い参加者が熱心に聞き入っていた。


 アメリカン・ビーフがジューシーな美味しさなのは100%穀物肥育にある。米国は世界の約4割のトウモロコシ生産国で、良質なトウモロコシを豊富に食べることで、旨みや甘みたっぷりの肉質に育つという。米国産トウモロコシは輸入され、和牛の飼料にも使用される。

5.png

 米国で加工されたアメリカン・ビーフがチルド状態の温度帯で日本へ輸出され、通関まで3週間足らず。この輸送期間中に程よく熟成(ウェットエイジング)が進んだ状態で流通される。船内で熟成させた後に冷凍したチルド・フローズン原料も近年注目を集めているという。

 財務省・農林水産省による2018年の日本の牛肉マーケットシェアは、米国はオーストラリアに次ぐ26%。豪州産が主にハンバーグなど加工用なのに対して、米国産はステーキや焼肉用がメイン。

 アメリカン・ビーフの美味しさは、日本と同様に、アメリカ農務省(USDA)による格付け制度があり、厳しくグレード評価されている。近年最高等級の「プライムビーフ」の発生率が増えており、2013年にはわずか3.7%だったのが、18年には7.95%と5年で倍以上に。トウモロコシ相場が安定し、良い飼料の安定供給、生産技術の向上がある。

6.png

 アメリカン・ビーフの餌であるトウモロコシ相場は2016年以降安定し、米国産牛の生産数も16年から毎年100%以上で推移。アメリカン・ビーフは今後も安定した価格で提供されると予想されている。

 日本は人口減が進む中、牛肉消費は堅調。注目すべきは60代以上の牛肉消費量は2006年と16年で40%以上も増加している。

「私たち60代は子どもの頃から牛肉を食べて育った世代。シニア層の牛肉消費は今後も増え続けます」(山庄司氏)

7.png

 今年の大きなニュースのひとつが、現在は月齢30カ月以下が輸入条件である米国産牛肉の月齢制限の撤廃が年内に行われるであろうことだ。「長く飼育した牛肉ほど美味しいのです」と山庄司氏も力を込める。

 2017年は79%が月齢30カ月未満で出荷されており、月齢30カ月以上の肉牛は、母牛と乳牛19%、種牛2%。今後輸入が期待されているのは、コスト的なメリットに加えて、上ミノやタンなど、品薄のホルモンにある。

 昨年、アメリカン・ラムが15年ぶりに輸入再開されたことも大きなニュース。日本に輸入されてきた豪州産・ニュージーランド産は小さい羊毛用が中心だが、アメリカ産は肉用種。枝肉サイズは1.5倍から2倍ほどになる。こちらも今後注目の食材となりそうだ。

 「アメリカン・ビーフを使用したメニューを導入いただいた場合、POPや販促ツールなどをご用意いたしますので、ぜひご連絡ください」と締めくくった。

8−1.png

 続いてのセミナーは「フードリンクニュース」小山裕史による「ビアガーデン トレンド事情〜振り返りから2019年兆し〜」。

 昨年のビアガーデンに関する消費者の傾向から。年々ビアガーデン予算は増額傾向にあるが、プライベートや女子会など、プライベート傾向。ビアガーデン好きの理由はビールよりも雰囲気。グランピング女子会など、20代女子の支持率が高い。

 近年のトレンドを振り返ると、2012年はハワイアンブーム、女子会プランが登場。外食企業の進出でテーマ性を持った施設も出始めた。2013年はビアガーデン大当たり年。2014年にはハワイアンブームがピークを迎え、G.W.前などビアガーデンの早期オープンが確立。2015年は、世間の肉ブームを受けて、ビアガーデンにもBBQが登場した。

 2016年もBBQ人気は続き、プレミアムビールや多種類の樽生などビールへのこだわりや、14、15年の多雨からテント席など雨対策も進んだ。2017年はインスタ映えするフォトジェニックをキーワードに肉メニューが多様化。ナイトプールも大ヒットした。

9.png


 2018年も肉ブーム、インスタ映えが継続。昨シーズンに京阪神でビアガーデンを開催したのは87施設。そのうち63施設が肉メニューをコンセプトにしている。今年は更に肉メニューの多様化が進みそうだという。

 続けて2018年のビアガーデン施設事例。「ANAクラウンホテル大阪」の「ソウルフル・ビアガーデン」は、各国のソウルフードと、70〜80年代のソウルミュージックで40〜50代をターゲットに懐かしさで訴求。「ビアガーデン壱千番地酒場(そごう千葉店)」は昭和の屋台の雰囲気で、レトロな縁日ムード。

 「新宿ビアガーデン ランド・ミート・センター」には東京初のちょい飲み対応のスタンディングのバースペースが登場。「お台場クラフトビアガーデン(ヒルトン東京お台場)」では、TOKYO隅田川ブルーイングなど6種類のクラフト生ビール飲み放題が登場。トレーナーAYA監修のヘルシーメニューで女性にアピールした「美しくなるビアガーデン(松屋銀座)」など、数々の事例を紹介した。

10.png
2019年シーズンの取り組みについても紹介。


 2019年兆しキーワードとして、味より見た目、ファッション感覚の「若年層へリーチ」、「パリピ酒」、花椒の痺れ系「マー活」「スパイス・痺れ中華」、「大衆感(原点回帰)」「昭和・縁日」、ドリンク軸では「ビール多様化定着」「ナカソト」「乙類焼酎」「インフィージョンドリンク」、スイーツ軸の「〆パフェ・ロールアイス」「台湾スイーツ・グルメ」などが挙げられた。

11.png


 セミナー第3部はUSMEF マーケティングマネージャー笠谷 樹氏による、今すぐ活用できそうなヒントたっぷりの「アメリカン・ビーフでコーディネートするビアガーデンメニューご紹介」。

12.png


 高いイメージがあるアメリカン・ビーフのステーキやローストビーフの原価コントロール方法として、リブアイロール(リブロース)→ストリップロイン(サーロイン)→チャックアイロール(肩ロース)と、使用する部位を安価なものに変更したり、量目・枚数の変更することで様々な価格帯の商品を提供できることを訴求。

13.png
チャックアイロールのローストビーフは、中はレア、良質な赤身肉の旨みが楽しめる(画像は試食会より)。


 価格帯が安い部位でも、「希少部位」と謳うことで付加価値を高められることも提案。歩留まりが良いチャックフラップテール(ザブトン)はステーキで。「ステーキ屋松(または牛丼大手のステーキ業態)」の200グラム1000円の看板メニューで注目を集めているトップブレードマッスル(ミスジ)、 トライチップ(トモサンカク)は柔らかくローストビーフで。アメリカン・ビーフの可能性を更に広げてくれた。

 ここからは、後ほど試食会で提供されるメニューの提案。


 まずはアメリカン・ビーフ・ライス。
14.png


 鉄板にスライス肉とコーンや玉ねぎなど具材を盛り付け、後はお客様に調理していただくだけでオペレーションも軽い。量販店にも登場して、認知度が上がりつつある注目メニューだ。ニンニク、バター、醤油のガッツリ濃い味で、若者や男性ウケは間違いないだろう。


 ジンギスカンの牛肉版のような韓国の焼きしゃぶ、チャドルバギ。
15.png

 焼肉のタレに酢をブレンドすることで、コクと旨みがありつつ、さっぱりした味わい。会場ではモランボンの生ダレ「ジャン」を使用。チーズタッカルビ、ホットックに続く、人気韓国グルメになる可能性を秘めている。


 岡山県津山地域のご当地グルメ、ホルモンうどんの旨みを更に濃厚にしたような、シマチョウ焼うどん。
16.png

 下処理済みなので、軽く湯通しするだけ。シマチョウから炒めることで、トウモロコシ由来の甘い脂の旨みが楽しめる。精肉より原価を下げつつ、牛肉使用をアピールできる。

17.png



 今回、新提案メニューのアイダホ・フィンガーステーキ(ショルダークロッド使用)。
18.png

 アイダホ州ほか3州ほどでしか知られていないローカルフード。ポイントが幾つかあり、油で揚げるため、ショルダークロッド(ウデ・肩サンカク)やトップラウンド(ウチモモ)など安価で赤身が多く脂肪が少ない部位を使用すること。

slide1.jpg

slide2.png
slide2.png

slide3.jpg
slide4-1-1.jpg

 一切れ5〜10グラムの一口サイズにすることで肉のかたさを感じにくくする。てんぷら粉、唐揚げ粉など、水溶きの衣で揚げること。ステーキくらい下味をしっかり付けることで、シンプルながらしっかりした味わいになる。揚げ時間は190℃で1分、肉は余熱で火を通すことで、中はキレイなミディアムレアに仕上がる。

 フライドポテトと盛り付けることでメニュー単価の調整ができ、様々なソースと好相性。会場では6種類のソースが用意された。バルや和洋居酒屋、フェスやなどイベント出店など、汎用性は高そうだ。


20.png
アメリカ総領事館アメリカ農産物貿易事務所所長のジマーマン氏(左)は3回お代わりしていたお気に入りぶり。


 USMEFが力を入れているプロモーションがアメリカン・ビーフを使用したグルメバーガーのプロモーションだ。脱ジャンクフード、アメリカン・ビーフを使用した高品質な肉料理としてのプレミアムバーガーをバックアップするCM展開も継続している。今年は大阪でも展開予定ですので、アメリカン・ビーフのハンバーガーを造られた場合はぜひお声掛けください」と締めくくった。

21.png
休憩を挟んで、隣の会場で試食会。セミナーで説明されたビアガーデンご提案メニュー5品が提供された。


22.png
 調理を担当した、ANAクラウンプラザホテル大阪 ホットセクション調理長 飛永憲一氏によるメニュー紹介。


23.png
 USMEF笠谷樹氏による「乾杯!」


24.png
 自社、自店で導入できるか、参加者は真剣そのもの。


25.png
 キリンビールのコンパクトサイズで4種類のビールを提供できるタップマルシェ。クラフトビールへの注目度は相変わらず高い


開催日:2019年 3月18日(月)
主催:米国食肉輸出連合会(USMEF)
企画運営:株式会社フードリンクグループ(フードリンクニュース)
会場:ANAクラウンプラザホテル大阪 
時間:13:30〜16:00

【PR】米国食肉輸出連合会

unnamed.png

【関連記事】

国食肉輸出連合会主催「"アメリカン・ビーフ″のBBQが今年のビアガーデントレンドを変える!」

米国食肉輸出連合会主催!ステーキはポンドで売る!ポンドステーキご提案セミナー開催。

松屋はステーキ店を定番業態と位置付けた。もはやブームではない。














読者の感想

興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

この記事をどう思いますか?(★をクリックして送信ボタンを押してください)

興味深い
役に立つ
送信する
誰かに教えたい
  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

( 興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

Page Top