スマートフォン版のフードリンクニュースを見る

RSSフィード

飲食店経営者レポート

飲食店経営者レポート

2018年12月21日(金)14:25

ありそうでなかった〝アジア居酒屋〟に込めた思い。

山川博史氏 スパイスマーケット株式会社 取締役

記事への評価

  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
0.0

取材・執筆 : 酒井慎平(書起:関川隆) 2018年12月21日

キーワード :

 業態開発や店舗プロデュース、マネージメントなど、飲食業界のコンサルティング業務で活躍している山川博史氏。『これからの飲食店マネジメントの教科書』をはじめ、自身の経験をもとにした著書も多い。副社長を務める株式会社OICYでは、6店舗の「串カツ田中」を運営し、独自に開発したオリジナル業態「東京馬焼肉三馬力」を展開。さらに取締役を務めるスパイスマーケット株式会社が、11月8日に関東初出店となる「みんなのバル アジアン天国」をオープンさせた。この業態の開発にも深く関わった山川氏に、お店のコンセプトやそこに込めた思いを聞いた。

IMG_0123.JPG
スパイスマーケット株式会社取締役の山川博史氏

――11月8日、赤坂に「みんなのバル アジアン天国」の2号店がオープンしました。この業態の開発経緯を教えてください。

「もともとカオマンガイの専門店をやっていたスパイスマーケットから、OICYにもっと多店舗展開できるパッケージをつくりたいとの依頼があったんです。この店はタイのパートナー会社と商品開発をしていたので味は良かったのですが、昼がメインで多店舗展開向きの業態ではありませんでした。そこで私とOICY代表の兼子栄治が、メニューづくりからブランディングまでプロデュースさせていただくことになりました。」

――「みんなのバル アジアン天国」のコンセプトは?

「子供から大人まで幅広い層が、気軽に週に1度くらい行きたくなる、アジア料理を中心とした大衆居酒屋です。タイ料理に特化してしまうと、週1はなかなか来てくれません。なかにはアジア料理が苦手な人もいるでしょう。このお店ではそんな人でも楽しめるよう、なるべく間口を広げ、幅広いアジア料理を日本流にアレンジして提供しています。メイドインジャパンのアジア居酒屋として、いずれは世界に展開し、さらに逆輸入されるような業態を目指しています。」

――人気があるのはどんなメニューですか?

「カオマンガイ、ガパオライスといったアジア料理は当然ですが、実は大坂で一番出ているのがもんじゃ焼きです。ほとんどの人が、トムヤムクン風の味付けをしたアジア風もんじゃをオーダーします。アジア料理専門店では絶対にないメニューですが、うちはお客様に喜んでもらえるなら、こだわらずに提供します。餃子や麻婆豆腐も人気があります。料理はなるべく沢山の種類を楽しんでいただきたいのでポーションを小さくし、280円から680円の低価格のものを揃えました。ちなみに客単価は2300円〜2500円ほどです。」

IMG_1243.jpg
「焼餃子」(280円)

IMG_1312.jpg
「四川麻辣麻婆豆腐」(680円)

――ドリンクも充実していますね。居酒屋スタイルのアジア料理店というのは、ありそうでなかった業態です。

「うちでは毎日ハッピーアワーの17時から18時30分は、生ビール380円を190円、餃子280円を140円で提供しています。チンチロリンハイボールもやっています。お客様の7割は男性で、宴会感覚で和気あいあいと料理やお酒を楽しまれています。このお店を始めて、これまでのアジア料理店はおしゃれなところが多く、中年男性には入りづらかったのではないかと思いました。週末は家族連れも多いので、夜はポップコーンの食べ放題などもやっています。」

――内装もあえておしゃれにしていないのが分かります。

「僕や兼子が業態開発をするときによく言うのが、〝おしゃれは売り上げを生まない〟という言葉です。おしゃれなお店は、お金さえかければ誰でもつくれます。でも中長期的に見たとき、売り上げを生むのは、誰もが気軽に使える大衆的なお店です。おしゃれで尖ったお店はトレンドの劣化も激しいため、長続きせず、地域に定着しません。定着しないものは文化にはなりません。OICYは〝日本のおいしいを世界に伝え、日本と世界を食で結ぶ〟をスローガンに、世界で文化として定着する日本の外食ブランドをつくりたいと考えています。それはけっしておしゃれなお店ではなく、一見普通でも、通えば通うほど好きになり、幅広い世代にいつまでも愛されるお店だと思います。」

――ただオーダーシステムなどにはしっかり投資されていますね。

「内装にお金をかけない分、スタッフの負担を減らすためのIT化、設備投資にはお金をかけています。『アジアン天国』ではタッチペン型のオーダーシステムを導入し、お客様が自分でメニューブックをなぞり、全商品をオーダーできるようにしています。さらに自動精算レジを導入してシメの作業をなくし、スタッフの労働時間やストレスを減らしています。スタッフが余裕をもって楽しく仕事をしていないことには、お客様も楽しめません。また働きやすい環境をつくることで、FC展開したときの人材確保も容易になります。」

――今後の展開を教えてください。

「まずは1年ほど、リピート頻度や季節による変動などを検証し、メニューやオペレーションをブラッシュアップしていきます。立地特性が違う場所での検証も必要なので、2号店は早いうちに出す予定です。将来的には200店舗くらいの展開を目指しており、すでにFCの問い合わせもいただいていますが、やみくもに急いで出店を進める気はありません。表面的なものより、本質を大切にする。そんな自分たちの価値観を共有できる人たちを慎重に見極め、パートナーとして運営をお願いしていきたいと考えています。」

読者の感想

興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

この記事をどう思いますか?(★をクリックして送信ボタンを押してください)

興味深い
役に立つ
送信する
誰かに教えたい
  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

( 興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

Page Top