まさに、"男梅"の独壇場である。

　ノーベル製菓株式会社とのコラボレーション商品として2013年9月に通年商品として復活発売した「サッポロ男梅サワー」。飲食店でも、サッポロ樽生店を中心にジワジワと増えてきたなか、大衆酒場ブームの煽りを受け、他社樽生店での導入もあり爆発的に取扱いが増えた。居酒屋梅サワーの定番となった「サッポロ男梅サワー」、今度は家飲み梅サワーの定番を予感させる動きを見せている。

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　ついこの間まで、スーパーのアルコール売り場が"男梅"でジャックされていた。理由は、「男梅サワー」、「超男梅サワー」のリニューアルと、「男梅サワー　梅つぶし」が、1月26日に数量限定で発売されたことだ。「男梅」、アルコール度数９％の「超男梅」はパッケージの両面にジョッキをあしらう等のリニューアル、新発売「男梅サワー　梅つぶし」については、居酒屋などで梅干しサワーを飲む際によくやる、割り箸で梅干しを潰し、かき回し、梅干しサワーをより濃厚にする飲み方を表現した商品である。恐らく、居酒屋で梅干しサワーを頼んだ誰もがやっている技であり、商品名の"梅つぶし"が、非常に分かりやすい。

　1月のアルコール飲料、新商品売上ランキング（発表：マーチャンダイジング・オン）では、「男梅サワー　梅つぶし」が13位にランクインした。（参考：1位は「一番搾り糖質ゼロ」350ml×6）スーパーでの店頭陳列・演出、男梅ジャックが効いたのだろうか。

　男梅サワーが家庭でも浸透した要因について考えてみると、まずはインパクトある覚えやすい商品名ではないか。提供している居酒屋などのメニュー表記も、梅サワーではなく「男梅サワー」と、しっかりと商品名が表記されている。メニュー表記を「男梅サワー」と徹底させることで、スーパーで購入する際の探しやすさにも繋がっているのではないか。

　また、RTD果実系サワーの代表格と言えばレモンサワーであるが、スーパーで陳列されているレモンサワーは何しろ種類が多い。レモンサワーブームでメーカー各社がレモンサワーの強化を図るのは当然のことではあるが、差別化が難しくなってきている。実際に、サッポロビールは「サッポロチューハイ99.99 クリアレモン」、「LEMON THE RICH濃い味レモン」、「キレートレモンサワー」と、レモンサワーを販売しているが、他のレモンサワーに大きく差をつけているようには思えない。梅系サワーと言えば、チョーヤ梅酒がマーケットを独占しており、レモンサワーのように各社の商品が溢れていない。チョーヤ以外にも、各社RTD梅系サワーを発売しているが、多くは梅干しではなく青梅のエキスを使用した梅サワーである。男梅サワーの通年発売から2年後の2015年3月に宝酒造が、「焼酎ハイボール（梅干割り）」を発売したが、目立った存在にはなっていない。

　梅干しを使用し、居酒屋でも定着している「男梅サワー」は、競合の商品が溢れていない梅サワーマーケットでは新鮮な商品である。また、梅干しサワーファンを飽きさせないのが「男梅サワー」の多様な商品展開である。2020年5月には「男梅ハイボール」、2020年10月に「男梅ハイボール　追いレモン」や、新たに投入した「男梅サワー　梅つぶし」など、期間限定で男梅シリーズを発売している。男梅サワーファンの"あったらいいな"を商品化、他社のつけいるすきを与えない。

　家飲みの梅干しサワーでは、しばらく「サッポロ男梅サワー」の黄金時代が続くと思われる。居酒屋から家飲みまで、まさに"業家連動"を実現した商品である。

　男梅サワーのコンセプトである「お店でウメェ、ウチでもウメェ」。いや「販促もウメェ」。