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2016年11月29日(火)12:52

日本初!すしと和食の専門学校「東京すし和食調理専門学校」が誕生。

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取材・執筆 : 関川隆 2016年11月29日

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日本初のすしと和食の専門学校「東京すし和食調理専門学校」が注目を集めている。

 2013年にユネスコの無形文化遺産に登録され、世界で注目されている「和食」。しかし日本では若い人の間で和食離れが進み、日本食料理店では後継者や人手不足に困っている。そのような状況のなか今年の4月、東京・世田谷に「東京すし和食調理専門学校」が開校した。すしと和食に特化した日本初の認可専門学校だ。 

 「日本には120ほどの調理専門学校がありますが、どの学校も1年次では和洋中を学び、2年次で和食を選ぶ生徒は1割ほど。普通の調理専門学校では和食の専門授業は300〜400時間なのに対し、うちでは1,035時間。2年間で約2.5倍もの時間、和食だけを学ぶことができます」と渡辺勝学校長は語る。

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「和食の心を大切にしたい」と語る渡辺勝学校長

 この学校を運営する水野学園は、ジュエリーや時計、靴やバッグなどの職人を養成する学校を長年、経営してきた。なぜこの度、和食の学校をつくることにしたのか。

 「人手不足で困っている業界に即戦力となる人材を送ることは、専門学校の社会的責任です。私どもには長年、培ってきた業界と一体になって現場が求める職人を養成するノウハウがあります。それは分野が違っても有効です。この度は教育顧問として和食は奥田透さん、すしは吉武正博さんを招き、彼ら自身が欲しいと思う人材を育てるべく、現場で必要な技術や知識を体系的かつ合理的に学べるカリキュラムをつくりあげました」。

 魚をさばくための舟形シンクや、接客も学べる実際の店舗さながらのカウンター、焼台や土鍋、羽釜の炊飯器など、充実した設備も和食に特化した学校ならではだ。

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名店を再現したカウンターテーブル。実習などで使われる。

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魚をさばくための舟形シンクが並ぶ。すしと和食に特化した学校ゆえの充実した設備。

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なんと学校内に蔵が完備されている。

 学科は2年制の和食調理科と、2年制課程卒業後に進学できる1年制の調理研究科からなる。和食調理科では、1年次はすし・和食に共通する基本技術を学び、2年次から和食料理人コースとすし職人コースに別れて専門を深める。和食料理人コースでは四季の食材の個性を生かした調理法や季節感の演出をメインに、すし職人コースでは旬の食材をすしネタとして調理・加工する技術やシャリづくり、添え物などについて深く学ぶ。

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有名店の料理人が講師を務める。

 「知識として知っていることと、実際にできるということでは全く異なります。当校では桂むきなど包丁の技術一つとっても徹底的に反復練習させ、作業スピードやできあがりの美しさまで厳しくチェックします。やり方を教えるだけでなく、できるようにするのです。また微妙な味覚や食感の差を識別できるよう、舌を鍛えるトレーニングも重ねます。当校で学べば、店に入って修行3年目くらいの人と同じスタートが切れることを目指しています」。調理研究科では、すし・和食の高度な知識と技術を習得するとともに、和食文化や業界に関する深い知識を身につけることができる。

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学生は講師の技術を間近で吸収することができる。

 さらに共通カリキュラムでは、道具や食器、日本茶や日本酒、そば打ち、和菓子、発酵学など、和食に関する文化を幅広く学ぶことができる。市場で食材を選んだり、農園で野菜を収穫したりといった、体験学習や学外授業も用意している。

 「当校では技術に加え、自然の恵みに感謝し、調和を重んじる和の精神、お客様へのおもてなしなど、プロの料理人に必要な〝こころ〟を養うことも大切にしています」。そのような精神性を身につけるうえでも、現場の第一線で働いてきた料理人や職人から直接、少人数制で教わることができる環境は理想的だ。調理系の高校から進学したという坂本愛さんは、実際に授業を受けての感想を次のように語る。

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学生の坂本愛さん(左)とムンフバト・バトオチルさん(右)

 「少人数制なので、先生との距離が近いのが何よりいいですね。包丁さばきなども先生のまわりに集まって、手元を見ながら教わることができます。この野菜をなぜこういった切り方をするのか、といったことを理論的に説明してもらえるのもうれしいです。職場の仲間への気遣いや先輩にかわいがってもらうコツなど、現場で役立つ実践的なことも教えてもらえます。今、和食の店で働く女性が少ないようなので、卒業後は世界的に有名な和食の店で働きたいです」。

 またこの学校は、留学生が多いのも特徴だ。現在、50人の生徒のうち20人が中国、韓国、台湾などからの留学生だという。本場で和食を学び、将来は本国で日本料理店を持ちたいという学生が多く、モチベーションも高い。モンゴル出身のムンフバト・バトオチルさんもその一人だ。

 「もともと日本のアニメが好きだったこともあって来日し、日本語を学んでいました。でも日本で食べた天ぷらや寿司などの和食がとてもおいしくて、本国の人にも食べさせてあげたいと思いました。そこでこの学校に通うことにしたんです。学校は厳しいなかにも和気あいあいとした雰囲気で、魚をさばいたりする実習がとても楽しいです。いずれはモンゴルで自分の店を出し、和食を広めていきたいと思っています」と抱負を語る。

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日本初の和食専門学校に対して、国内の和食業界からも大きな期待が集まっている。開校前から求人や問い合わせが絶えないという。

 「今後、日本だけでなく、世界で和食の料理人がますます求められるようになっていくでしょう。日本の文化はもともと海外のものを吸収してできあがったのです。これからも世界各地で、その地の食材や文化を取り入れながら発展していくことでしょう。それだけにこれからの料理人は、和食の基本や精神性をしっかり身につけておくことが大切です。私どもは表面的なスキルではなく、これだけは絶対に失ってはいけないという和食の本質をどこまでも大切にしながら、世界で活躍できる人材を育てていきたいと思っています」と渡辺学校長は語る。
 
 今後、2020年に向けて日本を訪れる外国人は増え、和食のニーズはますます高まることが予想される。この学校で和食について基本からしっかりと学び、文化的背景や精神性まで理解した若者の活躍の舞台は、これから大きく広がっていくことだろう。
 
■東京すし和食調理専門学校
〒154-0001 東京都世田谷区池尻2-30-14
コール:0120-040-399(月~土 9:30~18:00)
http://sushi-tokyo.jp/


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