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フードリンクレポート

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2015年11月17日(火)19:09

ベーカリーの可能性は無限大!パンの快進撃は、まだまだ続く!

進撃のパン!急増するパン屋の進化系スタイルと未来を探る。

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取材・執筆 : 須田萌子 2015年11月17日

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 ここ数年、世の中のパン熱が上がっている。街に一軒しかなかったパン屋が、二軒、三軒と徐々に増え、テイクアウト専門だけではなく店内に飲食スペースを併設する「ベーカリーカフェ」「ベーカリーレストラン」も増え、天然酵母や国産小麦、無添加、オーガニックを謳う「こだわり派ベーカリー」も見かけることが多くなった。パン好き同士が集まって人気のパン屋を行脚する「パン屋めぐり」が流行り、日本各地のパン屋を求めてわざわざ旅に出るパンマニアも続出。数十軒のパン屋が一堂に会す「パンまつり」なるイベントも開催されている。今回は、フード業界の中で快進撃を続ける「パン屋」にスポットを当て、さまざまなタイプのパン屋を訪問。進化するパン屋のスタイルや今後の可能性についてレポートする。

 「進撃のパン」と題し、街の愛されパン屋をはじめ、地元の飲食店と提携する店、仕事帰りにちょい飲みできる店、ビストロ化する店、セレブ気分を味わえる店など進化するパン屋を訪問した。そのなかで気づいたこと、パン屋のこれからの展望、個人的な感想などを以下にまとめた。

「パン屋のある街は、しあわせだ!」

パンは主食である。そのため、パン屋はその街に根付き地元の人たちに愛されることが大切。日常的に通ってもらい、毎日食べてもらうためには安心できる品質や味の良さはもちろん、親しみやすさで信頼を得ることも必要だ。
 
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清澄白河住宅街の中にある「コトリパン」は、木目を基調にしたレトロな外観で、入り口も自動ドアではなく引き戸。店内にもアニメのフィギアが並び、BGMもサザエさんという親しみやすさ満点の店。

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ボリューミーな惣菜パンから菓子パンまで種類も豊富で、オーナー大川氏の「毎日通ってもらいたいから、毎日買える価格と飽きないラインナップで」という信念が貫かれており、1日に焼くパンの種類は80〜100種類およそ1,400個という。オーナー自身の人柄もあたたかく近所のコーヒーショップと提携するなど、いま話題のコーヒーの街、清澄白河の盛り上げにもひと役買っている。私自身取材で訪れて以来すっかりファンになり、コトリパン通いたさに清澄白河に住みたくなったくらいだ。

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「カタネベーカリー」は、代々木上原の地で12年以上愛される「街の愛されパン屋」の代表格。
 
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朝の早い時間でも地元の人たちが焼きたてのパンを買えるように、というオーナーの片根氏の想いから、営業は朝の7時から。そのため、毎日パンの仕込みを深夜2時半からはじめるという。営業時間中はオーナー自ら現場に立ち、国産小麦や自家製フィリングにもこだわったパンをひっきりなしに焼き上げるほか、ケータリングの実施、レストランやカフェと提携するなど、「オファーがあればやれることはやる」という、パンへの情熱にあふれ、地元民への愛を感じる店である。代々木上原に住む人々がうらやましい限りだ。

 オーナーが地元の人想いであればあるほど、その街の人々に愛され、さらには遠方からでもわざわざ通いたい店となる。パンの焼けるにおい、ふんわりやわらかな食感、焼きたての温かさもそう思わせてくれるのかもしれない。街にパン屋があれば、日々小さなしあわせを味わえるのだ。

「パン屋で"飲む"時代がやってきた!」

 今回の取材で訪問した8軒のパン屋のうち7軒が飲食スペースを併設する「ベーカリーカフェ」であり、ワインやビールなどのアルコールメニューを揃えていた。「飲めるパン屋」増殖中である。

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チーズやオリーブ、パンチェッタを使ったパンならば、アルコールとも相性抜群!パンとワインでちょい飲みもいい。(写真は「ネモベーカリーカフェ」のパン)

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「大人のパン屋」をコンセプトにする武蔵小山の「ネモベーカリーカフェ」は、パンだけではなく、オムレツやソーセージなどの小皿料理も揃え、小さなビストロのよう。厨房に生ビールサーバーを完備しているほか、ワインもグラス、ボトルでも注文可能。落ち着きのあるインテリアで、ちょっとしたデートにも、女性ひとりでも利用しやすい。

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二子玉川ライズ内に店舗を構えるスペイン発の高級食料品店「マヨルカ」では、タパス、パン、ワインでちょい飲みできる。オープンテラス風のイートインスペースはショッピングの帰りや仕事帰りに立ち寄りやすく、気軽にセレブ気分を味わえるのも魅力だ。

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パン食堂を謳う「レフェクトワール」の名物は、ローストビーフやオマール海老などフレンチのエッセンスを取りいれた「ごちそうサンドウィッチ」。パンの領域を越えて、フランス料理のメインディッシュさながらの赤ワインがぐいぐい進むメニューだ。店内はセルフサービスかつ「食堂風」のカジュアルな雰囲気なので、こちらも女性ひとりで入店しやすい。

 ビストロよりも気軽に、カフェよりも贅沢に。いいところどりの「飲めるパン屋」はちょい飲みニーズやお一人様ニーズに応えるべく、これからも増え続けるだろう。いや、増えてほしい。

「パンは変幻自在ゆえに、可能性は無限大!」

 パンは小麦粉を使ったシンプルな食材だからこそ、他の素材と合わせやすく、アレンジもしやすい。かつてのような「パン」=「朝食」「おやつ」というイメージはなく、卵料理を合わせれば朝食、惣菜を挟めばランチ、クリームやフルーツを挟めばスイーツ、パテやオリーブと合わせればお酒のお供にもなる。多様化するお客様のニーズに応えるため、朝早くから夜遅くまで営業する店が増えている。

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東京・大手町駅直結のオフィスビル内にある「ブリオッシュドーレ」。内装のテーマはオフィスの中のシャンゼリゼ。都会的な雰囲気で居心地のよい空間だ。

 同店はビジネスマンの通勤経路上に店舗を構え、出勤前のモーニング、ランチ休憩、打ち合わせなどにも使えるカフェタイム、仕事帰りの一杯など、ビジネスマンの1日のあらゆるシーンにアプローチ。平日のみオープンの効率的な営業スタイルだ。銀座・渋谷・新宿・・・ビジネス街にもっと、もっと増えて欲しいパン屋である。

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代官山の「メゾンイチ」はランチ・ディナータイムに提供する「パンの盛り合わせ」でパン好きをトリコに!

 「メゾンイチ」も、朝8時から夜10時まで営業し、一日中利用できる店。モーニングはサンドイッチやコーヒーを、ランチは選べるメインディッシュとパンのセットでカジュアルに、ディナーはゆっくりとフレンチのコース料理を楽しむなど、シーンに応じて使い分けできる。フレンチレストランも顔負けの本格料理とおかわり自由な「パンの盛り合わせ」で人気を集め、ランチに、ディナーにとパン好きたちにリピートされている。

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浅草の「スケロクダイナー」は、パン工場を併設したパン愛好家注目のベーカリーカフェ。朝から夜遅くまで営業し、一日中にぎわっている。
 
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単品のパンと卵料理、サラダを自由に組み合わせて楽しむブランチメニューや、ハンバーガー、ベーグルサンドなど外国人も好みそうなメニューが目立ち、東京の観光スポット浅草という土地柄、外国人の利用客も多いという。パン好きにとどまらず外国人にまでも愛されている。

 パン屋は、いまやモーニング、ランチ、ティータイム、ディナーさらにはバータイムまで一日中集客できる業態。さまざまな食材との組み合わせ、アレンジメニュー、アルコールとのペアリング、スイーツ化・・・などたくさんの可能性を秘めている。また、海外からの初上陸ベーカリーが増えていることも見逃せない。これからも新たなパン料理が生まれ、パン業態が生まれ、わたしたちのパンライフを豊かにしてくれるだろう。

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