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フードリンクレポート

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2015年3月26日(木)17:16

ロイヤルグループがビジネス街に「スタンダードカフェ」構築。サードウェーブとベーカリーを融合。

大ブレイク、サードウェーブコーヒー人気は定着するか?今だけか?(5-5)

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2015年3月26日

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 2月に「ブルーボトルコーヒー」がアメリカから上陸して以来、ハンドドリップ、シングルオリジンを標榜した、サードウェーブコーヒーがにわかに脚光を浴びている。サードウェーブは、これまでのカフェブームとどこが違うのか。日本で地道にファンを広げてきたサードウェーブ系コーヒー店は、いかにして人気を獲得し、どの方向を目指しているのか。一過性の流行に終わらないサードウェーブのあり方を探る。(5回シリーズ)

ライバル店を降板させ代官山出店を実現した、ブルーボトルコーヒー・フリーマン社長の超豪腕。 

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スタンダードコーヒー店内

 大手外食もサードウェーブに大きな関心を寄せている。ロイヤルグループのアールアンドケーフードサービスでは、上質なコーヒーをワインのように楽しむ、スペシャルティコーヒーの専門店「スタンダードコーヒー」を2013年3月、東京メトロ溜池山王駅に直結した山王パークタワー地下1階に出店した。

 世界中の優れた農園から厳選したシングルオリジンコーヒーをハンドドリップで提供するが、ロイヤルグループが創業より培ってきたベーカリーとの融合が目指されている。アメリカ西海岸を視察して、サードウェーブの潮流を踏まえたブランド構築に向かったわけだが、単にやり方をコピーするのでなく、自社らしさを打ち出して、日本のサードウェーブの形をつくろうという、意欲的な試みである。

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カウンターは電源が付いている。

 空間もシーンを変えた落ち着きのある雰囲気を演出しており、カウンターには充電ができるコンセントを配し、レンガやアメリカ製のタイルを使った内装が印象的だ。2000年頃のカフェブームを通過した世代が納得するような価値観の踏襲が行われている。

 元は同社が経営する「カフェクロワッサン」だった店を業態転換した。感度の高いビジネス街により向いた業態をということで構築され、浅煎りを中心とした香り高いコーヒーがビジネスパーソンに受け入れられている。

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日本の喫茶文化の新しいスタンダードを目指す意気込みがある。

 4種類のシングルオリジンによるハンドドリップコーヒー(360円)は、注文をもらってから丁寧に一杯ずついれる方式で、セルフサービスで座席にまで運ぶ。

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コーヒーは農園を指定したシングルオリジン。

 ブラジルのイパネラ農園、グアテマラのテフヤ農園、コスタリカのラヒルダ農園、タンザニアのキリマンジャロ農園を厳選。アロマはそれぞれ、ブラジルはオレンジ、グアテマラはすもも、コスタリカはチョコレート、タンザニアは花を想起させる。軽やかなブラジル、コクのあるコスタリカ、酸味の後味が持続するグアテマラ、酸味の後味がすっときれいに消えるタンザニアと、違った風味のコーヒーを選ぶことができる。

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農園はブラジル、グアテマラ、コスタリカ、タンザニアから厳選。

 モーニングとランチのセットも販売しており、モーニングはお好きなベーカリーまたはサンドイッチにプラス180円でコーヒーか紅茶が付き、ランチは本日のサンドとデリ1種、デザートにコーヒーか紅茶がセットになって600円だ。

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ロイヤルグループのベーカリー・ペイストリーの伝統が生かされている。

 また、夜はビール・ワインといったアルコールも提供している。

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ザ サード カフェ店内。

 翌2014年6月、虎ノ門ヒルズ3階に2号店「ザ サード カフェ バイ スタンダードコーヒー」を出店。ビジネスパースンをサポートする「ザ サード プレイス」と呼ばれる一角があり、隣は「ファミリーマート」で客席がつながっているようなレイアウトだ。

 朝7時から営業と朝食の需要を充たし、夜は23時までと、飲食した後にコーヒーが飲めるのもうれしい。夜はアルコールも提供していて、飲んでいる人も珍しくない。

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人気スイーツ「ざらめ醤油ロール」(320円)。コーヒーによく合う。

 フードのレベルも高く、フィセル、フォカッチャ、ベーグルといったサンドイッチ類に加え、スイーツも「ヤマサの黒蜜風醤油」を使った「ざらめ醤油ロール」のような名物メニューがある。

 同社では既存2店の反響の良さから、サードウェーブ系のさらなる出店を考えており「ザ サード カフェ」のブランドを前面に出していく方針という。
 
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大人の味わい。「フィセル パテドカンパーニュサンド」(450円)。

 そのほか、ドトール・日レスホールディングスも、「カフェレクセル」というサードウェーブのブランドを立ち上げて、2014年4月に丸ビルに出店。7月には横浜のシャル桜木町にも出店した。こちらも、日本のコーヒー文化との融合をうたっており、日本の喫茶店、あるいはカフェのさらなる進化を目指している。

 フードも和テイストを取り入れたサンドイッチを新しく開発。落ち着いて飲める空間も考慮されている。

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ザ サード カフェはDJブースを備えている。

 「ブルーボトルコーヒー」は日本の喫茶文化に刺激されて、ハンドドリップによるスペシャルティコーヒーの専門店を構築し、サードウェーブの代表的なブランドに成長した。それに対し、日本のロイヤル、ドトール・日レスのような大手ではそのサードウェーブを取り入れて、産地を厳選して豆本来の風味を生かしたコーヒーを提供するだけでなく、居心地やフードにも目配りした、日本流のサードウェーブが追求されており、焙煎所が併設されていなくても継続的な集客を可能にする、店づくりに注力している点に特徴があると言えるのではないだろうか。

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ザ サード カフェ外観

 得てして、サードウェーブ系の店は提供者あるいは生産者目線であり、彼らが否定しようとしているシアトル系の居心地の良さ、フードの充実を軽視する傾向がある。従って焙煎所が併設されていなければ、そんなに面白くない。今はブームなのでよほどのことがない限り、どんな店を出しても全て肯定的に受け入れられるだろうが、一時のブームが去った時に消費者からもメディアからも手のひら返しのように見向きもされなくなる外食の怖さを知る、ロイヤルやドトール・日レスのつくる店では、コーヒー、居心地、フード、それぞれにバランスの取れた老練な手法を取っていく方向性がうかがえる。

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