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2015年3月25日(水)13:03 トレンド

ノルウェーから進出、クリエーターと外国人に圧倒的人気「フグレン トウキョウ」

大ブレイク、サードウェーブコーヒー人気は定着するか?今だけか?(5-4)

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2015年3月17日執筆

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 2月に「ブルーボトルコーヒー」がアメリカから上陸して以来、ハンドドリップ、シングルオリジンを標榜した、サードウェーブコーヒーがにわかに脚光を浴びている。サードウェーブは、これまでのカフェブームとどこが違うのか。日本で地道にファンを広げてきたサードウェーブ系コーヒー店は、いかにして人気を獲得し、どの方向を目指しているのか。一過性の流行に終わらないサードウェーブのあり方を探る。(5回シリーズ)2月に「ブルーボトルコーヒー」がアメリカから上陸して以来、ハンドドリップ、シングルオリジンを標榜した、サードウェーブコーヒーがにわかに脚光を浴びている。サードウェーブは、これまでのカフェブームとどこが違うのか。日本で地道にファンを広げてきたサードウェーブ系コーヒー店は、いかにして人気を獲得し、どの方向を目指しているのか。一過性の流行に終わらないサードウェーブのあり方を探る。(5回シリーズ)


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インターナショナルな雰囲気が漂う「フグレン トウキョウ」。ノート型パソコンを広げて仕事や勉強をしている人も多い。


 渋谷駅と代々木八幡駅及び代々木公園駅の中間あたり、ハチ公バスの神山停留所のすぐ近く、富ヶ谷地区にある人気カフェ「フグレン トウキョウ」。ノルウェーの首都・オスロを代表するスペシャルティコーヒー専門店「フグレン」が東京に進出したものだ。海外初出店でもある。

 

 オープンは20125月。いつも外国人や近辺に住んでいるライターやデザイナーのようなメディア関係者、犬の散歩のついでに立ち寄る人で賑わっている。カウンター席ではノート型パソコンを広げて、仕事をしている人も多い。


 昨今のサードウェーブ・ブームで来ている顧客もいるが、むしろ生活の場として定着している。浅煎りの産地を厳選した、透明感、果実味、甘み、キレを重視したサードウェーブに特徴的なコーヒーを提供している。


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「フグレン トウキョウ」店内。


 マネージャーの小島賢治氏によれば、「サードウェーブの定義は人によっていろいろありますから、呼ばれる側としては意識せずにやっています。ノルウェーのオスロのコーヒーカルチャーとして普通のコーヒーを、本店のスタイル、フィロソフィー、方向性のまま持ってきています」とのことだ。


 ノルウェーは国民1人あたりのコーヒー消費量が、世界第3位のコーヒー大国。毎日の生活にコーヒーが欠かせない国だ。


 「オスロは渋谷くらいの大きさの街ながら、すごくコーヒーがおいしいカフェが点在している」(小島氏)とのことで、東京に比べればそんなに大きくはないが、農園、素材にフォーカスしたカフェが普及しており、バリスタのレベルが高く、個人店のみならずチェーン店からもワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)の世界チャンピオンを輩出している。


 現在の「フグレン」のオーナーは、2007年に日本でWBCを開催した時に初来日し、それ以来ぜひ東京に店舗を出したいとずっと構想を温めていたそうだ。


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オーダーはカウンターで注文し、セルフで客席に運ぶ。


 小島氏は、オーストラリアの世界チャンピオンの店、新宿「ポール バセット」で2年間働いていて、オーストラリアのシドニーでさらに修業を重ねるつもりであったが、ノルウェーのコーヒー文化の高さを知人を通じて知り、ノルウェー人たちと交流するうちにオスロでの修業が実現するにいたった。「フグレン」が東京に店を出す構想はあらかじめ知っていたが、その「フグレン」で勤務し、現在の東京店出店へと結びついている。


 「フグレン」は夜はカクテルを出すバーになり、ロースターたちの社交の場としても機能しているという。


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エアロプレスの「コロンビア BUESACO MICROLOT #2」(520円)。おかわり込みでたっぷりの量の入るポットで提供される。


 ノルウェーのある北欧と言えば家具が名産品として知られているが、店内に置かれているヴィンテージのインテリアは全て販売が可能。つまり「フグレン トウキョウ」は家具のショールームも兼ねている。このような発想も面白い。


 テーブル、椅子ともにゆったりと心地よく過ごすことができ、ぜいたくなコーヒーを飲みながら上質な時間を過ごすことができる。それが人気の秘訣でもある。


 コーヒーは、カウンターでまず注文し、お金を払って、いれてもらうのを待ち、セルフで席に運ぶ方式。


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豆は現在3種類が提供されている。


 フードは、自由が丘の「ベイクショップ」のパンを置いているが、力を入れているわけではない。あくまで、コーヒーショップ、カクテルバー、ヴィンテージ家具販売が柱で、フードの持ち込みが自由だ。なので、ランチ時はコーヒーを注文し、コンビニで買ってきた弁当を店内で食べている人もいる。


 席数は25席だが、外のテラスも18席ある。店内は禁煙で、喫煙者は外で吸ってもらう決まりになっている。


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コーヒーは、つくり置き、エアロプレス、ハンドドリップで価格が変わる。フードは持ち込み自由。


 コーヒーの主力は、注文を受けてからつくるエアロプレスとハンドドリップだが、つくり置きの「トゥデイズコーヒー」もある。つくり置きとは言っても、味が劣化する前に1時間で残っていたコーヒーは捨てて入れ替えるので常にフレッシュ。安くて、すぐ出てくるのでヨーロッパでは人気がある。ノルウェーの本店をはじめ、ヨーロッパのスペシャルティコーヒー専門店、アメリカのサードウェーブの有名店でも、つくり置きのコーヒーを扱っている店は多い。


 昨年9月には、神南に焙煎所をオープン。自家焙煎でコーヒーを提供する体制を整えた。15社ほどに豆の卸も行っている。また、「レクサス」、「ユナイテッドアローズ」といった異業種と組んだカフェのプロデュースも手がけている。


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フードは自由が丘「ベイクショップ」のパンを売っている。


 「コーヒーはブラックで飲んでほしいですね。カフェラテは別ですが、ミルクのような他のものを入れたらデザートになると思うのですよ」と小島氏。コーヒーの味にそれだけ自信があるからだが、一方で「人と会う、本を読む目的があってカフェに行くのであって、コーヒーがおいしければなおいい」とも。つまりコーヒーは主役ではないが、過ごしている空間を豊かにしてくれる重要なスパイスであるということか。


 小島氏は「スペシャルティコーヒー、サードウェーブが出てきたのは、素材、豆が良くなったからで、抽出方法の問題ではない」と断言する。


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展示されている家具は全て販売されており、北欧家具のショールームとしての役割も担う。夜はバーになる。


 フェアートレード、レインフォレストアライアンスのような制度は、必ずしも品質を保証するものではない。素晴らしい豆があっても、器具の手入れが悪かったり、精製方法が良くなかったりするために、豆本来の特性が生かせていない農園が数多くある。農園主をはじめ、そこで働く人たちは、コーヒーの最終製品をまず飲んだことがない。

 

 完熟豆も未熟豆も一緒にして出荷するなら、深煎りで焼いてしまえば品質は安定するだろう。しかし、そのやり方を続けていれば低賃金労働から抜け出せないのだ。


 だから、良質の豆をつくっていながら加工が悪いために低収入にとどまっている農園を発掘して、パートナーシップを築き、最終消費者においしいコーヒーを届ける役割を担う生豆商が、新たなコーヒーカルチャーを生み出す素地を担っている。「フグレン トウキョウ」でもノルウェーの志ある生豆業者から、旬の豆を34種類仕入れている。産地にはシーズンがあり、収穫から34ヶ月で販売可能にまで熟成される。


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ゆったりと時間を過ごせるインテリア。


 現在、ブレンドコーヒーは販売していないが、豆の元からの風味を最大限に表現したいからこそ、シングルオリジンで浅煎り。淹れる時も、95℃の熱いお湯で豆の元からの風味を全部出す。高い温度でいれると雑味も全部出てしまうが、豆の品質が高ければ問題ない。


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コーヒー豆をはじめグッズ類も販売。


 なぜ浅煎りを選ぶのか。どこがスペシャルティなのか。小島氏が熱く語る「フグレン」の、そしてノルウェーのスペシャルティコーヒーの哲学を聞いていると、サードウエーブコーヒーの考え方のルーツを見る思いがした。


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