「本格芋焼酎 さつま司 黄麹仕込み」（2480円）は華やかでフルーティーな香りが特徴だが、バチ割り用のトッピング「花火（レモンとすだち）」（300円）を加えると、香りが一層華やかに。

　いちげん 浮間店では2012年末にバチ割りを導入。同時にアサヒビールから提供される販促ツールの、バチ割りオリジナルメニューを各席に用意した。するとはじめは常連客を中心に、「これ何？」という声が多く掛けられるようになり、提供すると次は隣の席から「あれ何？」といった声が連鎖反応のように続き、今ではすっかり定着してバチ割りを囲む席が数多く見受けられるようになったという。また店長の島崎氏によると、あまり場が盛り上がっていない席へ「こんなのもありますよ」とバチ割りのメニューを提示しオーダーが入ると、「一気に雰囲気が盛り上がって、結果的にフードメニューのオーダー数が増える」、といったこともしばしばなんだとか。

バチ割りが加わるだけで、酒宴の席も一気に華やかに。食欲も一層旺盛になってくる。「舞の海監修 豪快塩ちゃんこ鍋」（2480）円。「超大判！　仙台名物牛タンの鉄板焼き」（1480円）。「旬ぶりの刺身」（580円）。「やみつき鶏の半身揚げ」（780円）。

　またバチ割り導入前は甲類が焼酎の売上の大半を占めていたが、バチ割りで提供する乙類焼酎の売上が伸びて、焼酎全体の売上もアップ。さらに細かくみていくと、バチ割りを注文する客層で一番多いのが40～60代で5～6名のグループ。すると当然1本で終わることはなく、1グループでボトルが2、3本出ることは当たり前だそう。ボトルの追加に加え、バチ割りスタイル特有の「追っかけ」と称する一合升でのお替わりを含めると、追加オーダーの比率は約9割にも及ぶ。「当初はグラスの方が売上は上がるので、本数がいかないとアルコールの売上が心配と思っていましたが、やはり場が盛り上がることもあってか、バチ割りを注文したお客様の客単価は1000円くらい上がっているんです。結果的には杞憂でしたよね」。

島崎 昭店長。

　また島崎店長によると、バチ割りの楽しみであるトッピングはあえてメニューに載せず、お客様とのコミュニケーションツールとして活用しているそうだ。「これもお客様にこうした飲み方があるんですと、メニューを見ながら説明すると一気に場が盛り上がりますし、特に初めてのお客様に提供する際の反響は大きいですね。ですからお客様とのコミュニケーションにも大きな役割を担ってくれています」。さらにバチ割りは焼酎のボトルセットのように、氷、水、レモンなどを小分けに用意する必要がなく、オペレーションが楽な点も非常に魅力的だという。「バチ割りは氷やレモンなどをバチにひとまとめにして、迅速に用意できるので、お客様の熱も冷めることなく提供できる。つまりお客様は喜ぶ、お店としても大変助かるという図式ができるんです」。また同店は近隣にスポーツ施設が多く、土日は日中からスポーツ帰りのグループ客で大変賑わうそう。「こうしたグループのお客様にとってもバチ割りはやはり盛り上がりますし、オペレーションも簡単で提供時間もスムーズ。ウチにはバッチリとはまった商材だと思います。やはりバチ割り最大の特徴である、皆で酌み交わしながら楽しい時間を過ごす、という特徴も大いに活きてきますから、ウチのようにグループ客の多いお店にはぜひオススメだと思いますね」。