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取材・執筆 : 西尾明彦 2017年4がる26日
「ステックフリット」とは、ステック=ステーキと、フリット=フライドポテトのこと。ビストロでも家庭でもよく食べられる、国民的料理と呼ばれるほどフランス人には馴染み深い料理。ステックフリット専門店「Le SteakFrites Gaspard zinzin(ステックフリット ガスパール ザンザン)」が11月4日、京都烏丸にオープン。フレンチバル業態の「ガスパールザンザン」からのリニューアルオープンとなる。
看板メニュー、サーロインの「ステックフリット」(S・2800円/M・3800円/L・4800円)。有機野菜のサラダ、野菜のスープ、パン付きのコース仕立てで提供する。
「フランス人はとにかく肉が好き。パリの修業時代にもよく食べましたね。フランスは農業大国で、ジャガイモが美味しかったのが印象に残っています。美味しいフリットをお出ししたくて、有機栽培のジャガイモを使っています。店名の通り、ステックとフリットは同等な存在です」と、有限会社ドゥパリ 代表取締役の早川佳毅氏は語る。
同店のコンセプトやメニューを作り上げた早川氏は、ホテルレストランを皮切りに20代で渡仏、フランス料理一筋35年以上。90年代に「パリの食堂」を展開して、京都のビストロブームを牽引した人物。以後スイーツ開発やコンサルティングに主軸を置いていたが、縁あって再びレストラン経営に乗り出した。
肉の部位や産地、等級にこだわるのではなく、工夫して美味しく食べようというのが、ステックフリット。
「熟成肉の考え方とは違うのですが、フランス料理の技法で、肉は休ませて、旨みを残して、余分な水分を取り、食べ頃を見極めます。シンプルな調理の分、肉の見極め、休ませ方、切り方、焼き方など、技量が問われます」
旬のものなど有機野菜をふんだんに使ったビストロサラダ。
具材がたっぷり、食べる感覚の野菜のポタージュ。この日はジャガイモと枝豆のポタージュ
有機野菜のサラダ、野菜のポタージュ、その後にメイン料理という、コース仕立てで提供。野菜を先に食べるベジファーストとなり、糖質の急激な上昇を抑えられるので、ヘルシー志向にも適っている。
フランスから輸入する、芳ばしい風味あるパン
「黒毛和牛のステックフリット」(有機野菜のサラダ、野菜のスープ、パン付き3800円)。
ステーキの外側はしっかり焼き上げ、中は程よく赤身が残る、火入れの妙。柔らかくジューシーな肉の旨みをシンプルに塩と胡椒で。
フリットはサクッとした歯応えに、ホクホク甘みが広がる。単なる付け合せではなく、ボリュームもたっぷりで主役級の存在感。お好みでデジョンマスタードをつけて。キャラットラペなど副菜もフランスの家庭料理。
「1日10食限定ステーキプレート」(1500円)
グラスワインは450円~。ボトルワインの一番人気は、肉に合う芳醇でしっかりした味わいの「アルボレダ・カベルネ・ソーヴィニヨン」(5000円)。
「肉イコール赤ワインのイメージで、想像以上に赤ワインがよく飲まれます。この組み合わせは日本人に合っているのでしょうね」
客単価は昼1300~1500円、夜4000~5000円程度。昼夜ともに女性客が多く、お1人様も珍しくない。
「ステックが美味しいのは大前提なので、フリットが美味しい、野菜が美味しいとのご感想は嬉しいですね」
店内は、地下ながら天井が高く、アンティークな雰囲気も相まって落ち着ける。カウンター4席とテーブル12席。
京都・三条通にある、同社のフラッグシップショップ、カフェ併設のチーズデザート専門店「Frais Frais Bon!(フレフレボン!)」。チーズケーキなどデザートの一部は「ガスパール ザンザン」でも食べられ、女性に大人気。
ステックフリットは極めてシンプルな料理。フランス料理のセオリーからは発想の転換が必要で、経験豊富な料理人ほど、難しいとも思われる。
「お客様が今、何をお求めなのかを常に意識しています。私がフランスで修業したのは高級店でしたが、90年代に独立した頃の時代の流れは、フランス料理をカジュアルに楽しめるビストロ料理でした。今ならお肉ですよね。お客様が食べたいものをお出ししたいのです」
地下への入口。SteakFritesの看板に惹かれて外国人客も訪れる。お客様が別の方を連れて再訪するなど、フランス人のお墨付き。「メニューを見て、ここの綴りが違うとご指摘されることもあります(苦笑)」
「定まったメニューの中で、旬を採り入れ、驚きがあり、飽きられないものをご提供していくつもりです。肩肘張らずに、空間や、時間を、気軽にお楽しみいただきたいですね」
フランスでの修業経験がある、シェフ兼マネージャーの菅慎二郎氏。
"肉ブーム"という時代の空気に、フランス料理からは、フレンチの技法を施した、シンプルなステックフリット。ハレの日の料理として半年に一回のフランス料理ではなく、日常的に気軽に食べられるステックフリットは、今の気分を捉え、美食の街、京都で日々ファンを増やしている。
■有限会社ドゥパリ
住所:京都府京都市中京区夷川通油小路東入東夷川町632-1
TEL. 075-256-1825
■Le SteakFrites Gaspard zinzin(ステックフリット ガスパール ザンザン)
住所:京都府京都市中京区烏丸通蛸薬師下ル手洗水町650 四条烏丸スタービル B1F
TEL. 075-256-6029
営業時間 11:30~14:30 (LO.14:00)/18:00~22:30 (LO.22:00)
定休日:月曜
http://gaspardzinzin.com/
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