居酒屋タイム（17～23時）の目玉「鶏天食べ放題」（299円）。サービスを続けるために、1品以上の料理やドリンク注文など条件付き。お客様の反応は良好。

　「3毛作を始めようと思ったきっかけは、界隈に飲食店は多いのに、深夜までやっているうどん店がなかったことです。うどんだけでは夜が厳しいので居酒屋を、深夜まで食べられる食堂があったらええなあ、と、深夜食堂業態を始めました」と、オーナーの小財和久氏。

山陽板宿駅から徒歩3分。アーケード街・新町通が店のすぐ前まで続き、人通りは多い。地元密着型の商店街＆住宅街立地。通りを渡れば神戸市長田区という市境でもある。

　客単価は昼750円、夜2300円。昼は買い物ついでの主婦を中心とした地元客、夜は帰宅途中のサラリーマンと、客層は変わるが、地元客が中心。

　ランチタイムは天ぷら定食790円から。讃岐うどんは麺の太さを3種類から選ぶことができる。出汁は日本だしソムリエ協会の認定資格者である小財氏が、産地や素材にこだわり、独自の黄金比率で引いたもの。

「毎日が試行錯誤の連続です。オープン当初、昼はセルフサービスでしたが、セルフうどんのシステム説明から必要なこともあって、フルサービスに切り替えました。麺は香川県の人気店から特注麺を送ってもらっています。ご要望に応えて細麵も追加しました」

1日通してオーダーできる、神戸長田のソウルフード、牛すじ肉とこんにゃくを甘辛く煮込んだ、ぼっかけをトッピングした「ぼっかけうどん」（昼650円）。

　17時から23時は居酒屋タイム。鉄板串焼き、串天が豊富な居酒屋になる。

店内は1階21席。2階には24名程度収容のお座敷席あり。営業形態ごとにのれんも替わる。

　若いお客様にも気軽に来ていただきたいと、今年に入って居酒屋タイムに始めたのが「鶏天食べ放題」（299円）。「これを目当てに若い方も増えましたね」

夜の人気メニュー、バラエティ豊かな串焼きをおまかせで楽しめる「串コース（7本）」（1299円）

ノドグロに白イカ、伝助穴子など、魚介類は小財氏の地元、京丹後から直送される。

「伝助穴子の天ぷら」（549円）

　深夜食堂は、讃岐うどんと深夜定食、一品料理も10数種類。界隈に深夜営業店はラーメン店以外に少なく、仕事終わりの同業者も多い。

　小財氏は京都府京丹後市出身。地元食材を積極的に使っている。お米はお隣の京北町産。野菜は懇意の農家からおまかせで届く。「開けるまで何が入っているか分かりません（笑）。友人が京丹後・大宮町の白杉酒造で杜氏をしている縁もあって、日本酒も京丹後産を増やしました」

友人が杜氏を勤める白杉酒造の「銀シャリ 純米 無濾過生原酒」（100cc 449円）と「白木久無濾過生原酒」（100cc 399円）、同じ京丹後市の木下酒造「玉川 山廃純米 無濾過生原酒」（100cc 399円）。京丹後の日本酒の美味しさを知ってもらうためにも、リーズナブルに提供する。

　目指しているのは医食同源。揚げ油はコメ油100％、鉄板焼きはオリーブオイル。

「今はまだ完全無添加、無化調とはいきませんが、常にそれを目指しています。味の満足だけでなく、外食でも健康になってもらえる料理をご提供していきたいですね」

「板宿は、ネットよりアナログ施策が効果的なエリアです。尖ったこともやってみたいですが、地元のお客様に支持されてなんぼ。お客様のリアルなクチコミが大事です」

　「どれだけ美味しい料理やお酒があっても、まずは来ていただいてこそ。どうやってお客様に知っていただくか。2回、3回と来ていただくには何をすれば良いか、常に考えています。新メニューや施策など、考えるのが楽しくて...。お店のニュースやメニューを紹介する『福和来新聞』を始める予定です」とアイディア豊富な小財氏は、飲食業入りする前は広告代理店出身。飲食業に特化した宣伝方法は得意技という。

AnotherGROUP株式会社 代表取締役、「福和来」オーナーの小財和久氏。

「たくさんのお店がある中で、『あそこに行けば、いつも面白いことやってるわ』という風に認識いただければ。いろんなことを試していきたいです。関西でうどん居酒屋の繁盛店はあまり聞かないので、うどん居酒屋を流行らせたいですね」

　話題作りのための店舗都合の多毛作ではなく、地元の需要に合わせた3毛作業態の「福和来」。評価が厳しい下町エリアで人気となれば、その先には店舗展開も期待できそうだ。

住所：兵庫県神戸市須磨区平田町1-2-8

TEL.078-733-2901

住所：兵庫県神戸市須磨区平田町1-2-8

TEL.078-733-2901

営業時間　11:30～14:00／17:00～23:00／23:00～翌3:00

定休日：不定休（深夜食堂のみ毎週火曜定休）