お店を知る
記事への評価
取材・執筆 : 西尾明彦 2017年1月26日
囲炉裏の炭火で焼く鮮魚や野菜と釜飯、約20種類の日本酒が楽しめる「囲炉裏と釜飯 しずる」が、大阪・西梅田に10月3日オープン。感度が高い北新地~キタ界隈の外食ラバーから人気を集めている。
囲炉裏を囲んで日本酒をちびり。炭火でじっくり焼くことで、遠赤外線効果でじんわりと熱が回り、魚介も野菜もジューシーに焼きあがる。家庭用のグリルやオーブンでは絶対に味わえない、非日常の楽しみ。
「囲炉裏で炭火焼きするお酒に合う料理と日本酒というお店がやりたくて、5~6年前から構想を温めていました」と、店主の金原隆氏。
和食一筋18年、北新地や大阪ミナミで勤め、北新地の店では料理長を任されていた。食材は産地に足を運び、自身がこれぞという食材を集めた。名物は、それぞれ農家や漁師から直送される、新潟県南岩沼のイワナ、奈良・吉野の原木椎茸、広島・倉橋のかき小町。
「囲炉裏があるお店は滅多にないので、お客様に好評です。リピートする方がすごく多くて、一度来られた方が別のお客様を連れてきてくださることもありますね」。
片面焼きで溢れる肉汁。「岡本さん家の原木椎茸」(1本280円)。一般に流通している人工的に栽培される菌床しいたけのような独特の臭みがなく、原木椎茸ならではの雑味のないジューシーな旨み。
「一番美味しいタイミングで食べていただきたいので」と、焼き加減は店主やスタッフが細やかに見てくれる。
鮮魚は兵庫・淡路島の岩屋から直送。海鮮焼きにも刺身で食べられるものを使うため、鮮度は抜群。魚種によっては1週間程度熟成させることもあるという。定番メニューに加えて、その時々の旬の魚介や野菜による手書きメニューが加わり、その数約80種類。うち8割は囲炉裏で仕上げてお出しする。
注文率はほぼ100%。新潟県南岩沼直送の「イワナ丸ごと一本焼き」(680円)。焼き上げるのに20分かかる代わりに、遠赤外線で全体に満遍なく火が通り、ホクホクの柔らかさ。旨みも充満。合わせる日本酒は、産地が近い「加茂錦」がお薦め。
「牡蠣のガンガン焼き」(3個999円/5個1599円)。身が大きく、クリーミーなブランド牡蠣、広島・倉橋のかき小町。
野菜は素焼きで。万願寺ししとう、れんこん、原木しいたけ。これだけで酒が進む自家製味噌と共に。
日本酒は実力派蔵元と取引がある3軒の酒屋から、常時約20種類を揃える。半合500円、1合980円均一。この日は「廣戸川」(福島)や「鷹長」(奈良)、「文佳人」(高知)など。
「ラインナップを見ながら、酒屋さんと相談して銘柄を選んでいます。日本酒に詳しいお客様から教わることも多いですね」
浮世絵のコースターやニコちゃんマークのお猪口、ビアジョッキはうすはりグラスなど、細部にまでこだわる。
店主との距離も近いカウンター9席。カウンター内には釜飯専用調理器を完備。
店内奥は囲炉裏が真ん中に設置されたテーブル席が2卓、計10席。カウンターと合わせて18席。客層は30代から50代が中心。客単価は5000円。
炙ったヒレから旨みが溢れ、2~3合は味わえる「フグのヒレ酒」(一合999円)。燗酒は黒じょかで、囲炉裏でセルフ燗。お好みの温度で楽しめる。
肉焼きは250度の高温になる富士山の溶岩盤で。「黒毛和牛ハラミ」(1280円)。肉汁が逃げないためジューシーで、ふんわり柔らかく、舌でとろける旨み。
〆の人気「鮭とイクラのどっさり釡めし」(1480円)。途中でダシを足して出汁茶漬けとして、2度楽しめる。ランチタイムは日替わりの釜飯&メインおかずで880円。
北新地からは四ツ橋筋を渡ってすぐ。西新地と言われることもある西梅田の堂島エリア。囲炉裏に理解ある大家が少なく、物件選びには時間がかかったという。
食材の扱いを知り尽くした、和食一筋18年の店主金原氏が、素材本来の旨みを最大限に引き出せる調理法として辿り着いたのは、囲炉裏での炭火焼き。素材が良いものを極力シンプルに。それでいて、目で見て、焼ける音、立ち上る香り、触って、そして味わいで。5感で楽しめるシズル感。囲炉裏の炭火で炙って食べる海鮮、野菜、肉。その虜になる人が、続出することだろう。
■囲炉裏と釜飯 しずる
住所:大阪府大阪市北区堂島2丁目3-36 神産堂島ビル1F
TEL.06-7713-1632
営業時間 11:30~LO.13:30 17:30~24:00(LO.23:30)
定休日:日曜・祝日
読者の感想
興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0
- 総合評価
-
- 0.0