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2015年12月10日(木)11:31

パリで人気の餃子バーが逆輸入!「gyoza bar comme à paris」(東京・青山/餃子×ワイン)

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取材・執筆 : 中山秀明 2015年12月10日

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 際コーポレーション株式会社の「タイガー餃子会館」や、株式会社NATTY SWANKYの「肉汁餃子製作所 ダンダダン酒場」など、餃子をメインとしたチェーン居酒屋が盛況で、いわば餃子はブームだ。そんな昨今、いままでににないスタイルでひと際注目を集めている一軒がある。今年の8月28日、青山にオープン(プレオープンは8月20日)した「gyoza bar comme à paris」だ。直訳すると"パリから来た餃子バー"となり、その名の通りで餃子とワインをテーマとした餃子バーである。
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表参道駅から徒歩約6分。渋谷駅からでも徒歩10分ほどの、青山学院大学に隣接した場所にある。界隈にはビストロをはじめとする大人向けの実力店が多く、並びには業界人から愛される有名店「琉球チャイニーズダイニング Tama」も。

 まず、表立った形でうたわれてはいないが、オーナーは『ミシュランガイド』で星を獲得した実力を持つカリスマシェフ・鳴神正量氏。自身のルーツであるフランス料理をエッセンスとして用いた、新感覚のフレンチジャポネーゼがシェフの真骨頂であり、現在は南青山の「鳴神」で腕を振るっている。そんな同氏がまったくの別ブランドで手掛けているのが「gyoza bar comme à paris」というわけだ。とはいえ、現場を指揮するのは鳴神氏ではなく、あくまでプロデュース。今回は店長の平林彩菜氏から話を聞いた。

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定番の餃子は「野菜ギョウザ」(520円)と「肉ギョウザ」(550円)。「パクチーのせギョウザ」(680円/写真左奥)や「みょうがのせギョウザ」(640円/写真右奥)のような変わり種もある。写真右手前は「もち米シュウマイ」(530円)。

 オープンのきっかけになったのは、鳴神氏が数年前に視察でパリを訪れた際に、知人に連れられて行った餃子バー。世界屈指の美食の街であるとともに最先端の流行発信地で、パリっ子たちが餃子をつまみながらワインを傾ける風景。そこでのインスピレーションを元に、鳴神氏が得意とする自由な発想で"まるでパリ"な餃子バーが誕生したのである。念のためではあるが、パリの店が東京に支店を出したわけではない。ただ、焼き餃子が本場・中国よりも日本で発達した食文化であること(中国では水餃子が一般的で、焼き餃子はポピュラーではない)を鑑みると、逆輸入という見方は間違いではないだろう。

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製法はあくまでもシンプルだが、ワインに合う味わいが大前提だ。ソースは左から、ジンジャーとガーリックを効かせたトマトソース、白味噌とハーブビネガーによるハーブソース、黒胡麻と香辛料を合わせた黒ラー油ソースの3種を用意。卓上には一般的な醤油、酢、ラー油もある。

 ここの餃子に関しての最たる特徴は、ニンニクが入っていないこと。ワインに合うおいしさを追求して導き出した答えだ。さらに、フレンチ出身シェフならではのオリジナルソースが用意されることや、パクチーやミョウガといった珍しいトッピングのメニューがあることも特徴。また、オニオングラタンスープに見立てた餃子メニューがあるのも面白い。上品に食べやすいよう、サイズはやや小ぶり。具は豚肉、キャベツ、ニラ、ネギ、シイタケがベースだが、脂っこくなりすぎないように肉の脂や水分量を調整し、皮も厚すぎず薄すぎないものを使用する。こうして、好バランスかつ絶品の餃子が生み出された。

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「オニオンスープグラタンギョウザ」(920円)。餃子は3個入っており、オニオンスープやとろけるチーズとともに生まれるハーモニーが実に斬新でおいしい。

 餃子以外も充実しており、メニュー数はトータルで約30種。ビストロ的な一皿を中心に、一部アジアンテイストなものもあるが、それらもすべてワインとの相性を考えてラインナップされている。価格は600~800円のゾーンが中心で、比較的にリーズナブル。人気のメニューを中心に、いくつか紹介していこう。

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「肉シュウマイトリュフソース」(680円)。トリュフオイルではなく、本物のトリュフを砕いてワインビネガーなどと合わせたソースで味わう一品だ。サイズも十分なこのシュウマイが3個でこの価格というのはおトクといえよう。

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「芽キャベツとキノコのフリカッセ~エシャロットとガーリック風味~」(680円)。食感の異なる野菜とキノコとのコントラストが楽しい。素材の味が活かされつつも芳醇な香りで、さらにヘルシーなことからも大人気だ。

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「トマトのファルシ コリアンソース」(650円)。くり抜いたトマトの中にミンチ肉を入れ、オーブンで仕上げる。じっくりと焼き上げるため30分程度の時間がかかるが、コチュジャンなどコリアン風のスパイシーなソースがトマトと相まって、ほかにない味わいでおいしい。

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「牛タンスライスとアンディーヴのサラダ」(1200円)。そのまま食べても絶品だが、野菜を肉で包むとしっとりとシャキシャキ、それぞれ異なる食感を楽しめる。

 ドリンクの定番は、最近日本国内で需要が伸びているチリ産ワインから、辛口で香り爽やかなスパークリング・VARDI DIESOの「NV BRUT」。グラス600円、ボトル3300円と、スパークリングとしてはリーズナブルな価格である。そのほかワインはグラスが泡、白、赤とあって全6種、600~1000円。

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餃子にはやはりスパークリングがよく合う。なお、ビールは「ザ・プレミアム・モルツ」(700円/334ml)のほか、フランスの白ビール「クローネンブルグ」(1000円/330ml)、デンマークの「カールスバーグ」(700円/330ml)がラインナップ。

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ボトルは3300円からで、約30種類。鳴神氏の元部下が現在インポーターであるため、その会社より世界中から選りすぐりのものが集まってくる。ビオワインが豊富なのも特徴だ。

 夏後半のオープンから3カ月が経った同店。改めて反響などを聞いてみた。客層はおよそ男女比率5対5で、早い時間帯には学生などの若者も来店するが、多くは40~50代が中心。イメージとして最も来店しそうな30代のOLももちろん訪れるそうだが、「幅広い層のお客様より支持いただいております」と平林店長。客単価を訊くと、ワインが出る・出ないで大きく変わるため2000~4000円前後とのことだが、それでもこのエリアでは圧倒的にリーズナブルだ。またその理由には、オープンで入りやすく、カジュアルな雰囲気も相まって、ちょい飲みや二次会での需要が高いことも挙げられるだろう。

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白亜の空間にナチュラルなインテリアを配し、フランス人に店内のイラストや装飾を依頼したとか。全席がハイテーブル&スツールで、シートは全25席とのことだが中央をスタンディングにすることで30名弱の貸し切りにも対応できる。

 条件やタイミングが合えば積極的に支店の展開もしていきたいと平林店長は意欲を見せるが、「まずはココ。現状に甘んじることなく、より多くのお客様に支持をいただけるようになりたいです」と語る。

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オペレーションはもちろん調理までこなす平林彩菜店長。以前は赤坂Bizタワーのコリアンレストランに勤務していた。そこを辞めた後しばらく別業界で働いていたが、知り合いだった鳴神氏から今年の春ごろに話をもらい、オープニングからのスタッフに。「最初はランチ営業もしていたのですが人員の関係で難しくなり、現在は休止中でお客様には申し訳ないです。お店をより活況させるのはもちろん、スタッフを増やしてランチも復活させたいですね(平林氏)」

 長らく、東京の餃子シーンは神保町「スヰートポーヅ」、飯田橋「おけ以」、銀座「天龍」などの老舗に根強い人気があったが、昨今は新進気鋭の店も登場し、百花繚乱の様相だ。特に顕著なのが利用シーンの訴求方法の変化である。前者の多くが、圧倒的にハイレベルなオンリーワンの餃子を武器に、ライスやビールが脇を固めるストロングスタイル。そして後者は餃子を筆頭に、酒の進むつまみを多彩に用意したり、ほかにない味わいの餃子で勝負したりするエボリューションスタイルであり、昨今の餃子ブームはこの後者勢が盛り上げているといえるだろう。

 そこにあって「gyoza bar comme à paris」は、ニンニク不使用&多彩なソースというレシピのほか、パリ風やワインに合うといったアプローチが秀逸だ。"ニンニク不使用"という餃子の店はほかにも出てきているが、「gyoza bar comme à paris」にそれ以上の魅力を感じるのは、多彩かつほかが真似しづらい特徴を持ち合わせているからであろう。今後ますます進化しそうな外食業界における餃子業態。同店の躍進も一層楽しみだ。

■gyoza bar comme à paris(ギョーザバー コム ア パリ)
住所:東京都渋谷区渋谷2-2-4 青山アルコープ205
TEL. 03-6427-6116
http://www.aoyama-gyozabar.com/
営業時間:17:00~翌1:00(L.O.)
定休日:日曜日

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