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お店を知る

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2015年8月05日(水)15:52

青山の超人気店「琉球チャイニーズ TAMA」監修の料理とクラフトビールのマリアージュ。「クラフトビアマーケット吉祥寺店」(東京・吉祥寺/クラフトビアバー)

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取材・執筆 : 中山秀明 2015年8月5日

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 30種類の樽生ビールをそろえ、一杯480円 or 780円の一律提供という画期的なシステムで都内に数店舗展開している「CRAFT BEER MARKET(クラフトビアマーケット)」。今年の6月に本サイト内の経営者レポートで、運営元の「株式会社ステディワークス(東京都千代田区)」田中 徹社長よりビジョンなどをうかがったが、その際話題に上がった7店舗目となる吉祥寺店が7月17日にオープンした。"ほかにはない新しいことをやる"というのが同社のモットーのひとつだが、この新店も大胆な試みが満載だ。

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吉祥寺駅に直結する商業施設「アトレ吉祥寺」内。とはいえここは高架下で、路面店でもある。出入口はビルの中からと外からの2つがあり、立ち飲みできるスペースも確保。立地条件は申し分ない。

 一番の特徴は、渋谷と丸の内に店舗を構える沖縄×中華のワインバー「琉球チャイニーズ TAMA」のオーナーシェフ・玉代勢 文廣氏がフードプロデュースを行っているということ。このTAMAは、食通はもちろん芸能・マスコミ関係者にもファンが多く、メディアに登場することも多い。そんな超人気店とのタッグが実現したのは、田中氏の情熱に尽きる。もともとTAMAのファンであり、玉代勢氏との親交も深かった田中氏。2011年にクラフトビアマーケットの1号店となった虎ノ門店の出店時をはじめ、会うたびに繁盛店のコツをアドバイスしてもらうなど、兄貴分として慕っていたという。

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TAMAの名物料理のほか、多彩な琉球チャイニーズがラインナップ。料理に合わせ、沖縄のオリオンビールはレギュラー化されている。また、箸は伝統的な赤×黄の「うめーし」を用意するなど、琉球色をほのかに演出。

 そして7店舗目でついにフードプロデュースが実現したのだ。もともと店づくりにはTAMAを参考にしている部分があり、スタッフを連れて飲みに行くなどもしていたが、今回を機にそれも急接近。料理以外の部分でもTAMAらしさが取り込まれている。たとえば、田中氏が古巣の「ギョバー(株式会社アイディー・梅田 恭敬代表)」時代から大切にしている"人がつくりだす店の雰囲気"もそのひとつ。TAMAの空気感を取り入れることで、より活性化した、ここだけのクラフトビアマーケットらしさを満喫できるのだ。

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左はカリフォルニアの「Devil`s Canyon」と共同開発した「ホップサウンドシステム IPA」。鮮烈なホップのエッジが効いていながらもアルコール度数は3.9と、ゴクゴク飲めるライトなセッションIPAだ。右は言わずもがなのオリオンビールの定番「Orionドラフト」。さすがにビール専門店ならではの最適な温度やグラス、樽の管理によって甘味や泡のきめ細かさが抜群の状態に仕上げられている。

 田中氏が「定期的に食べたくなるおいしさ」と絶賛する琉球チャイニーズ。それは、中国出身の父と沖縄出身の母を持つ玉代勢氏が、幼少期より食べてきた家庭の味がベースになっている。銀座(現在は新橋)の懐石料理「むなかた」をはじめ、北鎌倉の「円覚寺」で精進料理などを経験した玉代勢氏の手によって洗練されたこれらのメニュー。クラフトビアマーケット吉祥寺店では、三越前店で副料理長を務めた沖縄出身の奥村 辰徳氏が料理長となり、玉代勢氏オリジナルレシピによる料理と、奥村氏自身の琉球チャイニーズを半分ずつ、計約40皿味わえる。奥村料理長による"クラフトビアマーケット流琉球チャイニーズ"は、TAMAにもフィードバックされることになり、玉代勢氏にとっても興味深いメリットとなる。こうした相互のシナジーが生み出されるのもコラボレーションの醍醐味といえよう。

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単品ずつ紹介しよう。豚バラとロース、背脂を使い10~14日間かけて熟成させる「自家製 腸詰」(580円)。中国のメイクイルー酒と、沖縄の白コショウ「ピイバチ」で香り付けするTAMAの定番おつまみだ。

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一般的なものより固めの島豆腐を使い、山椒はシビレの異なるタイプを用いて計2種使用する「琉球麻婆豆腐」(1300円)。隠し味として島唐辛子も入っており、独自のうまみと辛味が共存する唯一無二のハイブリッド中華だ。

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シンプルかつポピュラーな「海ぶどう」(650円)。だからこそ、鮮度はもちろん素材の良さが重要である。ポン酢とともにさっぱりと。

 田中氏は隣町の三鷹出身で、吉祥寺は最も身近な繁華街である。もともとは1号店も吉祥寺で考えていたが、住みたい街として屈指の人気を誇る街は飲食店からも人気が高く、良い物件がなかなか出てこなかったのだ。それが、創業から5年目にしてやっと空き情報が舞い込み、満を持してのオープンとなった。前述したように条件はベストといえる場所であるが、田中氏が最も重要視するのは、"そこがにぎわうイメージをできるかどうか"である。その嗅覚で高架下の好立地に巡り合ったのだ。今年の初頭に場所が決まり、春ごろからTAMAとの交渉もはじまったという。

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入口のスタンディングも含め、全席数は60。タップは路面側のハイテーブル&スツールのカウンター内に置き、団体や年配客は写真手前のテーブル席でゆったりと。ベンチシートや化粧室内のオムツ交換シートなど、ファミリー層にも優しい設計だ。

 吉祥寺は規模がそれなりにあって住宅も多いが、外来の受け入れにも寛容な商業地。飲食街としての求心力も名実ともに高い街だ。さらに駅スグの場所に井の頭公園というボタニカルな観光スポットがあり、一方漫画、音楽、アートなど、さまざまなクリエイターが居住地とするラヴ&ピースな街でもある。ゆえに客層も幅広く、老若男女が曜日、形態問わずあらゆるパターンで訪れるとか。特にほかよりも多いのが平日昼間のひとり飲みだというが、自由なライフスタイルを貫くビール好きが昼に飲む姿は、確かにここなら容易に想定できる。「街を熟知しているからこそ慎重になりました」と田中氏ははにかむが、地元民だからわかる街や人の雰囲気も刷り込まれているはずで、田中氏独自のアイデアは今後もうまく発信されていくといえよう。また、実は今まで吉祥寺にはビールの専門店が比較的少なかったので、その部分でもこの店が吉祥寺におけるクラフトビールの発信源となるのか、今後の展開が楽しみだ。

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厨房はTAMAにならってオール電化仕様。これは衛生面だけでなく、施設の防火法的にもメリットがあった。多くの商業施設内レストランでは客席との間にガラスをあてがうよう指示されるが、オール電化のためにそれがなく、開放感とライヴ感を見事に演出できる。

 地元に錦を飾ったともいえる田中氏だが、すでに次なるステップへと計画が進行中。前回の記事で述べた8号店目となる仙台店だが、11月のオープンに向けて現地と行き来する多忙の日々だ。場所は仙台駅から1~2駅分離れた注目のエリア・国分町。新築される商業施設の1階部分に「シーフード×クラフトビール」というかつてないテーマでやりたいと意気込む。そしてブルワリー建設も地域の自治体と話を進めており、第3回となるクラフトロックフェスも、より大きい規模で行うことを計画中だ。さらにはまったく別のエリアでのクラフトビアマーケットの立ち上げや、新ブランドのクラフトビール専門店の創造も構想中。業界をけん引してきた革命児の勢いはとどまることを知らず、これからの展開にも注目だ。もちろん田中氏の動向についてはこれからも積極的にレポートしていきたい。

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手前のストローハットの人物が林 勝広店長で、その他スタッフたちとともに。林氏は淡路町店の店長だったが吉祥寺店の立ち上げに挙手をし移転。自宅からの距離は淡路町よりも遠いとのことだが、新天地で心機一転奮闘している。

■CRAFT BEER MARKET 吉祥寺店
住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-24 アトレ吉祥寺 東館1階
TEL. 0422-27-6779 
http://www.craftbeermarket.jp/
営業時間:月〜金:ランチタイム 11:00~15:00(L.O. 14:30)/ティータイム 15:00~17:00
         ディナータイム 17:00~23:30(L.O. フード 22:30/ドリンク 23:00)
     土日祝:ランチタイム 11:00~16:00(L.O. 15:00)/ティータイム 16:00~17:00
         ディナータイム 17:00~23:30(L.O. フード 22:30/ドリンク 23:

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