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お店を知る

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2015年5月14日(木)14:45

クラウドファンディングでファンづくり。4日間で満額獲得「ベラポルト」(大阪・梅田/無農薬野菜ブラッセリー)

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取材・執筆 : 西尾明彦 2015年5月14日

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 梅田ドミナントで、フュージョン和食の「TAZ-YA(達屋)」、イタリアンバールの「BELLA BOCCA(ベラボッカ)」、フレンチバルの「BACCA(バッカ)」を展開している株式会社KIMIYU Global(キミユグローバル)から、「無農薬野菜農家応援レストラン BELLA PORTO(ベラポルト)」が、4月27日にオープンした。

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30種類の野菜を、焼く、煮る、蒸すなど15種類の調理法で料理した、シェフ渾身の一皿「ポルト」(1450円)。

 オープンにあたっては、無農薬野菜農家を支援するために、ミュージックセキュリティーズ株式会社が運営する投資型クラウドファンディング「セキュリテ」を活用。4日間で315万円の満額出資を得た。

 「クラウドファンディング(以下CF)はサポーター獲得の手段として魅力的です。資金調達手段として考えると手数料、金利が安くはないですが」と語る、株式会社KIMIYU Global 代表取締役の松本達也氏。

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特徴的なファサード。店舗デザイン&壁画は藤村育三氏が手掛けたもの。

 「新店をオープンしてすぐに、たくさんのお客様が来られたりすると、慣れないなかでミスが起こりがちです。以前なら、良いものも悪いものもクチコミはじわじわと広がり、じわじわ消えていくものでした」。

 それが、食べログやSNSの浸透で、状況が一変した。

 「今は、クチコミは一瞬で広まります。良いクチコミなら良いのですが、悪いクチコミで立ち上げにつまずくと、復活するのにすごく時間がかかります」。

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レセプションで挨拶する、株式会社KIMIYU Global 代表取締役でオーナーソムリエでもある松本達也氏(右端)。

 オープン前からお客様を集めるべく、会員制など様々な方法検討したが、情報発信の手間や、囲い込みの難しさなどから見送ったという。そんな時、たまたまSABARの成功事例がきっかけで、CFのことを知った。

 「実際に飲食店に出資してもらうことで、店に興味を持って、ファンになってもらえるのではと考えました。自分がオーナー、私の店という感覚で、店が繁盛するかどうかも自分事として一緒に考えてもらえるのではと」。

 少額でなるべくたくさんの方から応援していただきたいからと、募集は一口1万円。結果155人が応じ、わずか4日間で予定金額の315万円の出資を集めた。

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店内はテーブル席を中心に44席。

 「通常、店舗の宣伝広告費としてある程度の金額をかけますが、新店は費用をかけたから集客できるとは限らない立地。出資者特典は、宣伝広告費に準じて考えています」。

 償還率は事業計画通りなら約110%。それプラス、出資者特典として5000円のお食事券を年1回、2年間貰える。

 「ファンを獲得できて、良いクチコミも期待できるなら、決して高くない金額だと判断しました」。

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「サーモンと季節野菜のパイ包み焼き 地中海風」(1200円)。

 オープン前に、出資者向けのレセプションを2日間行った。これはサプライズでの出資者特典でもある。さっそく、盛り付けや味付けなど、具体的な意見を多数貰ったという。箸があればという意見は、早速採り入れた。

 「ネット上で苦情を言うのではなく、直接意見をいただけるのはありがたいですね。改善して、報告することで、再度来ていただくチャンスもありますから」。

 「CFの出資者層は、想定している弊社のターゲット層とも一致しそうというのもありました」。

 実際の出資者層は、30代以下が27%、40代が36%と過半数を占め、男女比は6:4程度。出資者は155人のうち、約3分の1はSABARファンドなど、セキュリテの飲食店ファンドのリピーターという。

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ローストポーク

 ファンド資金の使途は、材料費という名目で、有機野菜の購入資金に充てる。

 株式会社KIMIYU Globalが扱うのはすべて無農薬野菜。日本の有機野菜栽培の第一人者、「山下農園」の代表の山下一穂氏の著書に感銘を受けて、松本氏が同農園を訪問、無農薬野菜の美味しさに感動したから。仕入れの中心は「山下農園」(高知)と「耕す」(千葉/兵庫)。

 「無農薬野菜農家を応援する一番の方法は、購入して、経済的に還元することです。新たな無農薬野菜農家も増えてはいますが、3年以内の離職率も高い。そのためにも、店舗を増やし、仕入れ量を増やしたいんです」と、松本氏は力を込める。

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「丸ごとジャガイモのポテトサラダ」(780円)。

 「だから、農家や生産者の方を値切ったことはありません。毎月1回はスタッフと共に農家のお手伝いに行っていますが、つくる手間を知ると、むしろ安い、とも思うことがあります」。

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デザートも野菜で。「カボチャとさつまいものタルトフロマージュ ヨーグルトソルベ」

 「仕入れも最初は月数千円でしたが、5店舗になり、仕入れ量も増えました。栽培方法から相談して、飲食店で需要はあるものの、流通量が少ない野菜をつくってもらうことも始めました」。

 無農薬野菜を購入することで無農薬農家を応援したい、と松本氏の考えが明確だからこそ、生産者も協力してくれるという。

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「弊社の丹波農場の卸売のうち、3割以上はKIMIYUさん。旬を大切に、その時期に採れる野菜を使ってもらえるので、こちらもつくりやすいです。定番野菜に加えて、今はフェンネルやコールラビ、野生種のルッコラなどもつくるようになりました。僕たちが考えつかないようなソースや隠し味など、調理方法にも工夫があって面白いですね」と農業生産法人 株式会社耕す 丹波農場・農場長の加賀井 敦氏。

 梅田ドミナントで4店舗を展開してきた同社の5店舗目BELLA PORTO(ベラポルト)は、梅田中心部の喧騒を離れた、豊崎エリア。

 「わざわざ足を運んでもらう立地なので、接待も可能で、ゆったりと使ってもらえるような店。じっくり手をかけた料理をお出しする無農薬野菜ダイニングです」。

 想定客単価はランチ1000円、夜は他店より少々上の5000円。一軒家物件で、1階が店舗、2階はファンド出資者の方など、VIP予約専用のソファ席。こだわりの食材とヨーロッパアンティークを販売するショップ「REAL FOOD GROCERY」を併設しており、バーニャカウダソースやトリュフ塩など、系列店で人気のアイテムの物販も始める予定という

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ホテルレストラン出身、フランスでの修行経験もあるシェフの舟渡氏(左)。料理人が主役との考え方から、料理長が店長を兼ねる。

 「出店してきたのは、これまでも、1級エリアの2等立地です。ブランド力をつけるために商業施設NU茶屋町に出店したBACCAは別ですが。豊崎は、今後可能性のあるエリアだと思います」。

 「私たちは、農家の方と、消費者であるお客様の間の、バトンをつなぐ存在。旬の味、生産者の方の想いをお届けすることが役割です。いつかは海外も目指したいですね」。

 無農薬野菜に惚れ込み、生産者の協力を得て、創業9年で着実に歩みを進めてきた松本氏。無農薬野菜とともに、その夢は広がるばかりだ。

■株式会社KIMIYU Global(キミユグローバル)
住所:大阪府大阪市北区豊崎1-2-15
TEL.06-6372-1775

■無農薬野菜農家応援レストラン BELLA PORTO(ベラポルト)
住所:大阪府大阪市北区豊崎3-6-13
TEL. 06-6373-1355

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