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お店を知る

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2015年4月01日(水)13:31

厳選した食材と料理で食通を唸らせる 「喰呑(くうのむ)をかし」が新虎通りにオープン (東京・虎ノ門/小料理屋)

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取材・執筆 : 石村紀子 2015年3月23日執筆

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 昨年3月に開通した、虎ノ門と新橋を結ぶ「新虎通り」。日本のシャンゼリゼ通りを目指すという構想の下、これから開発が加速していくこの通り沿いに、今年2月4日、「喰呑(くうのむ)をかし」がオープンした。厳選した旬の食材を最も美味しい食べ方で提供する大人のための隠れ家的な店だ。オープンからまだ2ヵ月弱、繁華街から離れ、利便性もよいとはいえない場所にあるにも関わらず、食通たちが幾度となく足を運ぶ人気店となっている。

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京の町屋のような風情あふれる外観。新虎通り沿い、虎ノ門と新橋のちょうど真ん中あたりに位置する。周りにはまだほとんど店はない。

 「物件を見に来たのは昨年の1月。まだ道路が開通する前だったので、そこら中、工事だらけでしたね。最初は銀座あたりでと考えていたのですが、これから発展していく新しい街に魅力を感じ、この場所に決めました。うちはこの通り沿いにできた最初の店かもしれません(笑) 昨年6月には虎ノ門ヒルズも開業しましたし、5年後には東京オリンピックも開催される。この界隈はこれから加速度的に開発されていくでしょう。一緒に成長していくのが楽しみです」(株式会社ジェム代表取締役、喰呑をかしオーナー 濱口慶騎氏)

 コンセプトは店名の通り「食べて呑める風情のある場所、興味深く楽しめる場所」だ。

 「をかしという言葉には、趣がある、心がひかれる、素晴らしいのほか、滑稽だ、変だ、など相反する意味もあり、そこがおもしろいと思い、店名にしました。居酒屋ではないし、割烹でもない。日本料理などひとつのジャンルにこだわっているわけでもない。既存のジャンルや技法にはこだわらず、とにかく美味しく食べて、呑んで、楽しんでもらうための場所なんです。そういう店にぴったりの新しい名称がないか、今、考えているところです(笑)」(濱口氏)

 もともとは寿司屋や卸売市場で働いたり、食品卸の会社を経営するなど、飲食業界の中でさまざまな分野を経験してきた濱口氏。もちろん食べ歩きも大好きで、さまざまな店を見るうちに、理想の店の構想が鮮明に見えてきたのだという。

 「どの店も名物料理は美味しいんですが、最初から最後まで美味しいという店はほとんどないんですよ。私はとにかく最初から最後まで美味しいものを提供したかった。料理はもちろん、外観を見て期待を膨らませていただくことや、店でゆったりと過ごしていただくことも大切です。そして店を出たときに楽しかったと思っていただけたら本望です。だからこそ、食材や空間演出には徹底的にこだわっています」(濱口氏)

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杉板とコンクリートの壁がモダンな内装。1Fはカウンター10席。カウンターに使用しているのは蒲桜の一枚板だ。

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夜はガラリと雰囲気が変わり、落ち着いた雰囲気に。

 食材は種類を抑え目にして、その分、質のよいものを仕入れているという。特にこだわっているのは鮪と鯛と牛肉。鮪はまろやかで旨味がずば抜けている南鮪。本マグロより味がよいと好む人が多い鮪だ。鯛は産地にこだわらず、その時期に最もよい産地の天然ものを厳選。牛肉は芝浦の市場から目利きが選んだ逸品を直送してもらっている。

 「品数を増やしてしまうと、ロスも多くなりますし、その余った食材の使い方を考えなければいけなくなる。そうすると妥協が増えていくと思うんです。それは絶対に避けたい。納得のいかないものは提供したくないですから。品数を抑えるかわりに厳選した最高の食材を最高の状態でご提供させていただくことに心を尽しています」(濱口氏)

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南鮪と天然鯛のお刺身

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黒毛和牛ハラミ2200円

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大トロ串あぶり3300円

 野菜は有機野菜が大部分を占める。同じく産地にはこだわらず、その時に一番美味しい旬のものを選んでいるという。

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アスパラ有機豆乳スープ。定番メニューもあるが、こうした季節の食材を使ったメニューも多い。

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見た目も美しいフルーツトマト。

 料理人は二人。それぞれ和食とイタリアンを専門としている。

 「もちろんザ・和食!ザ・イタリアン!なメニューもありますが、和食の出汁を使ってリゾットを作ったり、イタリアンの調理法で作った和食もあります。ふたりのフュージョンから生まれるここでしか食べられないオリジナルの料理を楽しんでいただきたいですね」(濱口氏)

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今が旬のホタルイカを使った有機豆乳リゾット。

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イタリアンなメニュー、芯ミノのトマト煮 玄米パン添え。トスカーナの蜂蜜とクリームチーズを混ぜたソースも添えてある。トマト味とチーズ味、異なる2つの味が楽しめるのもうれしい。

 夜は、1Fはアラカルト、2Fはコースでの提供となっている。

 「オープン当初は早い時間帯はコースのみとさせていただいていたのですが、アラカルトで食べたいというご要望が多かったので変更しました。1Fでコースを召し上がっていただくことももちろん可能です。2Fの個室はコース料理で1万円からご提供させていただいています。3名様から最大6名様までご使用になれます。ご予算やご希望の食材、お好みをお聞きしてコース内容を構成することもできます」(濱口氏)

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和洋折衷の趣のある2階の個室。照明はイタリアから、建具は京都から取り寄せたものだという。置物ひとつとっても高級感が溢れており、接待や記念日のお祝いなど大切な会食にもぴったり。部屋は外に面していないが、丸窓から外の景色が見えるように作られている。
 
 「うちは入りにくい店構えに見えるようで(笑)、実際、入るのに勇気がいったとおっしゃるお客様もいらっしゃいます。でも入りにくそうな店だからこそ、"どんなものを食べさせてくれるんだろう?"と期待をもって来てくださるお客様が多いのです。その期待に応えられるように、よい食材、美味しい料理にとことんこだわっていきたいんです。食べていただければわかっていただけると思います。食通とお見受けする方も多いですが、気に入っていただき何度も足を運んでくださっていてありがたいです。現在は50代~60代の方が多いですが、若い方にもぜひいらしていただきたいですね」(濱口氏)

 ドリンクの種類も絞っており、ビールはエビスのみ。日本酒3~4種類、梅酒1種類、焼酎2種類、ワインは赤・白、スパークリングのグラスが1種類ずつ。ボトルは6500円~。「本当に美味しいと思うものだけを厳選しました」(濱口氏)

 ランチは日替わりで1500円~。数量限定で売り切れじまいとなっている。ランチでも肉や鮪、鯛をベースに旬の食材にこだわる姿勢は変わらない。

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南鮪丼。分厚い鮪がぎっしり乗っていて、値段も納得。

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自慢のハラミを贅沢に盛り付けた、和牛ハラミ丼。ランチメニューは当日、LINEで登録メンバーに配信しているそう。

 「東京シャンゼリゼプロジェクト」により、ゆくゆくは石畳の美しい舗道になる予定の新虎通り。歩道の幅も約13メートルと広く、道路占有の許可も緩和されるため、将来的には店先に椅子やテーブルを並べ、オープンカフェ的な使い方をすることも可能となる。

 「それを見越して、店の間口はすべて解放できるように作ってあります。いろいろな展開を考えていきたいです。まだまだこれから。試行錯誤しながら、妥協せずに挑戦していきたいと思っています」(濱口氏)

 レストランという言葉の語源は「回復する」である。美味しいものを食べて心と身体が元気になる場所。その空間にいることで癒され、休まる場所。「とにかくお客様を笑顔にしたい。楽しませたい」そんな想いで溢れるこの店には、そんな本来の意味が宿っている。街とともに、どのように発展していくか、今から楽しみだ。

■喰呑をかし
住所:東京都港区西新橋2-21-6
TEL:03-5473-3800
11:30~売り切れじまい(ランチ)
17:30~21:30(L.O.)
日・祝祭日定休

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