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お店を知る

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2015年3月16日(月)15:09

"肉マニア"ドリーマーズが仕掛ける銀座のビフテキリストランテ。「KOMATSUYA」(東京・銀座/ビステッケリア)

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取材・執筆 : 中山秀明 2015年3月16日

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 もつ焼き居酒屋「串屋横丁」や肉屋直営ダイニング「小松屋」を手掛け、フードリンクニュースでも数回紹介しているドリーマーズ株式会社と代表取締役の中村正利氏。2003年の同社設立とともに産声を上げた「串屋横丁」は最近出店ペースが加速しており、「小松屋」も予約の取りづらい状況が続く人気店だが、肉の日である2月9日に、「小松屋」のリストランテといえる新ブランド「BISTECCHERIA KOMATSUYA GINZA(ビステッケリア コマツヤ ギンザ)」がオープンした。

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場所は銀座6丁目。既存の「小松屋」とは一線を画す洋風の外観が印象的だ。温かみにあふれており、高級感はありつつも入りにくい雰囲気はない。

 肉屋が母体のため、良質な素材を格安で仕入れられるという強みを持つ同社。千葉県南房総市で直営養豚場も運営し、その豚肉を「串屋横丁」に活かしているが、「小松屋」のメインは牛や馬の肉。これらは直営農場によるものではないが、生粋の肉好きである中村社長の情熱が形になり、2012年の2月に1号店となる人形町本店がグランドオープン。4カ月後の6月には2号店となる日銀通り店が開店した。なお「小松屋」に関する話は(記事リンク)を参照いただきたい。

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定番の「ビステッカコース」(税込8000円)で提供される、メインのビフテキ用のLボーンステーキ。1.5kgで3人前とのことなので、ひとり500gだ。US産が使用され、単品価格は100gあたり972円で14580円だ。

 それから約3年。インパクト大の豪快な肉を格安で味わえるという魅力などが話題となり、2つの「小松屋」はすっかり人気店だが、なぜ長期間も新店の展開がなかったのか。それは決して時流や勢いに任せた経営はしないという中村社長の戦略であると同時に、本当の意味での本格イタリアンを妥協なしでやりたかったという想いが強かったからだ。さかのぼること2012年8月、当サイト内「経営者レポート」で紹介しているが、中村社長の外食業界デビューは西麻布にあった伝説的リストランテ「カピトリーノ」のコックからはじまる。修業時代に思い描いた夢が実現した姿、それが「KOMATSUYA」なのである。

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予約不要のディナーコース(税込6000円)のメインとなる「牛肉のタリアータ」。ビステッカ同様フィレンツェ周辺の郷土料理で、これはUS産アンガス牛の肩ロースを使用。単品の場合630gで6124円。

 大衆居酒屋は薄利多売ではあるが、その分ほかの業態に比べてリスクも少ない。「串屋横丁」の成功でその手ごたえをつかんだ中村社長は、原点回帰であるイタリアンレストランの立ち上げを模索しながら、実現に向けて着々と準備を進めた。特にこだわったのは、"本場風"ではなく"本場そのまま"であるということ。先立って、現地イタリアを知り尽くした「カピトリーノ」時代の同僚を役員や総料理長に迎えて「小松屋」のブランディングに活かしてはいたが、「KOMATSUYA」ではより追求。

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アラカルトもあるが、まずは税込8000円のビステッカコース(3名以上、3日前までに要予約)を楽しんでほしいというのが中村社長の想い。「小松屋」で人気の「馬肉のタルタルステーキ」や「生ハムとサラミの盛り合わせ」に加え、自慢の肉をたっぷり使った「タリアテッレの熟成肉のボロニェーゼ」という手打ち麺×牛粗挽き肉のパスタなども味わえる。同店の魅力を存分に堪能できる内容だ。

 メニューはもちろん、店内のデザインやインテリア、そして雰囲気やサービスなどもできるだけ現地の様式に近づけた。店のサブタイトルがリストランテではなく「ビステッケリア」なのも、郷土色が色濃く反映されるイタリアの、中部に位置する都市・フィレンツェの伝統的料理「ビステッカ」を中心としたレストランであり、決してピザやパスタをメインにした"なんでもあり"のイタリア料理店ではないという意思の表れなのである。そのため同店の夜のアラカルトにパスタはあるが、リストには載せず裏メニューという扱いになっている。

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シート数は全32席。飾られた絵皿をはじめ、インテリアの多くはイタリア直輸入。壁の塗装など、あえて細部をラフに仕上げるというところまでも現地の設えに従っているのだとか。

 店長やシェフも本格イタリアンで長年経験を積んだ人物を迎い入れ、銀座を闊歩する食通を納得させられる体制を構築。それでいて使用する食材は「小松屋」と差別化せず、しかも価格設定も変えないというのが驚きのひとつなのだ。「小松屋」では一部出来合いの料理を提供することもあるが、「KOMATSUYA」ではすべてシェフが手作り。地価はもちろん料理のグレードで比べても、コストパフォーマンスがあの「小松屋」をも上回るのである。

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ステーキは、リストを使いながらどの部位を食べたいかスタッフが聞いてくれる。"ステーキエンターテインメントレストラン"である「小松屋」ブランドならではのうれしいサービスだ。

 まだオープンして日が浅いが、中村社長が今最も注力している店舗というのもあり、試行錯誤の繰り返しではあるものの客足は順調に増えている。ランチでは選べるスパゲッティをメインにした税込1000円のパスタセットと、それに肉料理をプラスした税込1800円のプランを用意し、近隣で働くビジネスパーソンやマダムに好評を博しているとか。またワインは現在赤7種、白5種を用意しておりグラス810円、ボトル3456円から提供しているが、"豪快な肉屋"のコンセプトに合わせて、ハウスワインならひとり1500円(税込)でおかわり自由にできるようにするなど、さまざまな面でアップデートをし続けている。

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1000円のパスタランチには食後のコーヒーもプラス。選べるスパゲッティはトマトソースや魚介のクリームパスタなど、日替わりとなる。

 積年の想いを叶えて誕生した「KOMATSUYA」。1号店がオープンしたということで、大切に育てていきながら「小松屋」と「KOMATSUYA」、どちらになるかは物件次第だが年内にもう1店舗はオープンさせたいと中村社長は語る。たとえば六本木や恵比寿といった場所なら「KOMATSUYA」、新橋や五反田なら「小松屋」になるであろうと。そしてもちろん「串屋横丁」も、同時並行で2015年内に10店舗を新規オープンさせたいという意欲がある。

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入口にて。中村社長(右)と、都内の有名トラットリアのサービスマンを経て「KOMATSUYA」の店長代理に抜擢された半田悦隆氏(左)。

 最後に、「小松屋」の神田店で毎月開催しているイベントといえば、"食べきれないくらいの肉"と"飲み放題のマグナムサングリア"によるイタリアスタイルの肉パーティー「熟成肉と馬肉を食べる会」がお馴染みだが、「KOMATSUYA」でも同じようなイベントを開催することが決定した。その名も「2kgのビステッカを食べる会」とのことで、1回目は3月22日の18:00より定員30名でスタート。税込7000円で山ほどのビステッカを食べられて、ワインを含む飲み放題も付くおトクな集いだ。毎月行う予定とのことだが、とにもかくにも肉が礼賛される時代の寵児といえる中村社長。肉屋出身の当人としては、熟成肉というのは幼少のころから親しんできたもので、ブームは蚊帳の外の話とのこと。とはいえ、このトレンドが追い風になっていることは間違いない。緻密な先読み力と大胆な行動力を併せ持つ社長の新たな挑戦が、世の肉愛好家たちにどう受け止められていくのだろうか。ドリーマーズ株式会社の掲げる"目標100店舗"というドリームとともに注目していきたい。

■BISTECCHERIA KOMATSUYA GINZA
住所:東京都中央区銀座6-12-2 東京銀座ビルディング1F
TEL. 03-6280-6167

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