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取材・執筆 : 西尾明彦 2014年11月28日
契約農家から直送の果物や野菜を使ったフレッシュフルーツのカクテルが評判の「老松町RABbit(ラビット)」が、10月16日オープンの新店、「北新地RABBIT FARM(ラビットファーム)」で北新地に進出を果たした。代表の宮内 健氏はミクソロジストであり、フレッシュフルーツを切り口とした店舗展開と、果物農家の六次産業化を考えている。
カウンターには、他では見かけない珍しい果物や野菜が並ぶ。
株式会社U.H.P.R代表の宮内氏は、20歳からオーセンティックバーでの修行を始めた。数店を渡り歩いた後、2007年に大阪・堀江でカウンター8席のお店で独立。2012年に、西天満に移転拡大というかたちで「老松町ラビット」をオープン。そして、「北新地RABBIT FARM」は、ファーム(農園)と名付けているだけに、より野菜や果物に特化している。
店内は無国籍な雰囲気に、テーブル、カウンター合わせて40席。椅子とテーブルは全て異なるデザインのものを揃えた。20代後半~60歳くらいまで、女性客が6割。「老松町ラビット」では見かけなかった年配の紳士が、フラッと1人で訪れることもあるという。
「北新地らしくないとよく言われる。座る席によって見える景色が違う。ダイニング使いでも、バー使いでも、ラビットファームというコンセプトの中で、お客様自身で自由に遊んでほしい」と株式会社U.H.P.R 代表取締役の宮内 健氏。
「人気はフルーツカクテル。好きな果物のタイプは年代ごとに異なる傾向があるが、果物は、年齢問わず好きな方が多い。果物に詳しくなると、お客様に合わせたフルーツカクテルをお作りして喜んでいただける」。
カウンターには旬の果物や野菜をディスプレイ。お客様が興味を持ち、会話が弾むという。
「20歳からずっとバーで働いており、私自身バーが好き。でもジャンルの垣根を作るのは好きじゃなくて、自店に"BAR"と付けたくなかった("RABbit"の大文字3字は、BARのアナグラム)。お客様次第で、様々に遊べる店にしたかった」。
「ヘルシー志向もあってお酒離れと言われているが、もっとお酒やバー文化に触れてほしい。私のお店がきっかけで、お酒やバーにもっと興味を持ってもらえれば」。
ワインはイタリア産を中心に、フランス産やカリフォルニア産などを揃えている。
ミクソロジーの世界に興味を持ったのは、独立前まで遡る。
「お客様から余所で飲んだフローズンマルガリータが美味しくない、と言われて。そんな筈はないと思い、自分で作ってみたら、そんなに美味しくない。そこで、試行錯誤して、使うイチゴを違う品種のものに変えてみたら、美味しくなった。同じ果物でも、品種が変わると全然違うものになるんだと。そこからフルーツカクテルの面白さにハマっていった」
「最初は情報も入って来ないので、デパートで珍しい果物を買い求めることからスタートした。同級生が、岡山で初めてシャインマスカットの栽培を始めたブドウ農家の1人で、その彼を通じて果物の情報を色々教えてもらうようになった。代わりに私は、お客様の反応を農家の方にお伝えしている」。
フレッシュフルーツを使ったカクテル各種1000円~。
「トマト農家ならトマトしか知らない。トマトにオレンジやパイナップルジュースや加えて、フルーツトマトのような味のカクテルをお出しすると、『都会の人はこうやって飲んでいるの』と、すごく喜んでくれる。そんな話をお客様にすると、お客様は果物に興味を持ってくれる。そうして、産地とお客様の橋渡しをしていきたい」
「名物!厚切りプライムリブのローストビーフ」(80g 1580円/150g 2280円/300g 3680円/600g 7280円)
11月からランチも開始した。「マンガリッツァ豚のローストポーク」、「フルーツスパイスカレー」など680円から980円まで。
直接取引をする農家は、今や全国に10軒近くになる。それぞれの農家の栽培するものに加え、その農家の知り合いから仕入れられるようになった。流通に乗らない稀少なものも、まさに旬の状態で手に入るという。
「良い果物を扱うようになると、お店に果物の仲卸の方が来たり、また別の仲卸の方を連れて来てくれたり。直接メッセージをいただいて、産地に行くこともある」。
「ミクソロジストは"ドリンクのシェフ"とも言われ、料理人的発想でカクテルを作る職人を指すのですが、私が目指している方向性は、お鮨屋さんのような、素材である果実を活かしたフルーツカクテル。この方向性に進めたのは農家の方たちのおかげ」。
株式会社U.H.P.R代表取締役、宮内 健氏。「北新地ラビットファーム」で独自のフルーツカクテルの道を研鑽している。
「一人でやっていた5年間で方向性が定まった。人を育てて、その力を借りた方が、自分ひとりでやるより影響力が大きくなるし、より早く目標に到達できる。今後は、果物農家の六次産業化にも挑戦したい。ドライフルーツやジャムなどはお土産として販売できるし、飲食店と連動させられる」。
■株式会社U.H.P.R
住所:大阪市、ノース·ウェストマン4-12-17
TEL。06-6361-0088
■北新地ラビットFARM
住所:大阪府大阪市北区堂島1-4-2 ビールディング北新地5F
TEL.06-6348-2528
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