フードリンクレポート
肉好きが認めたプラントベースミート「V2ミート」
【記事のポイント】
●肉好きが認めたプラントベースミート
●現場スタッフが感じた客様の反応
●管理や調理の手軽さ
<関連記事>
串カツ田中、代替肉を全店で定番化。エシカル消費が居酒屋にも。
焼肉ライク、代替肉がバージョンアップ。「大きい」「大豆臭が消えた」
デニーズ、+50円で大豆ミートのハンバーグに。共同開発「ゼロミート」使用。
世界人口は増加の一途を辿り、2050年には100億人になるともいわれている。
そうなれば当然、肉の供給にも影響が出る。現在と同じペースで肉を消費するには、地球2個分の敷地が必要だ。また、畜産による環境への影響も問題視されている。これらの問題を解決するには、サステナブルな次世代のフードシステムを構築することは急務である。
そこで注目されている食材が「プラントベースミート」。今回は、オーストラリアNo.1のプラントベースミートカンパニー「v2 food」が手掛ける「v2ミート」を使用し、新メニューを開発した3店に話を聞いてみた。
■Meat&Oyster 渋谷 kairi (東京・渋谷)
Meat&Oyster 渋谷 kairi
常に流行の先端をいく街・渋谷。見上げれば高層ビルが立ち並ぶ路地裏に「Meat&Oyster 渋谷 kairi」はある。運営は「牡蠣×〇〇」をテーマに店舗展開している株式会社フードキャッチ。「牡蠣×肉」をテーマにした「Meat&Oyster 渋谷 kairi」では、自慢の牡蠣を豪快に盛った「牡蠣鍋」やSNSで話題沸騰の「痛風鍋」、雲丹と肉の極上の組合せを堪能できる「牛たたき生雲丹のせ」など、味も見た目もインパクト絶大な人気メニューが揃っている。
「牡蠣×肉」の店が、「v2ミート」に興味を示したのはどんな理由だったのだろうか。波間進午取締役に話を聞いた。
「プラントベースミートは、以前も食べたことがあって、正直、豆腐ハンバーグの延長線上にあるといったイメージでした。しかし、v2ミートを食べてみて、ゴロゴロした塊があって、食感が肉に近い。ここまで肉に近いなら使ってみるのも面白いだろうと考えました。肉をウリにしている店だけど、"こんな肉もあるよ"っていう遊び心です。」
エスニックv2ミート春巻き 858円(税込)
「せっかくなら、v2ミートパテを使用したハンバーグやミートソースではつまらない。そもそもソースにするなら、別にメインを用意しなければならない。そこで、包みものとか巻きものはどうだろうと考えました。」(波間取締役)
こうして開発されたメニューが「エスニックv2ミート春巻き 858円(税込)」だ。v2ミートとオリジナルソースを混ぜ込み、春巻きの皮で包む。コリコリした食感は「五色海藻麺」による演出だ。
春巻き自体に濃い味付けをしなかったのは、オリジナルソースやサルサソースなど、お客様がお好みに合わせて食べることを想定したから。v2ミートのクオリティがあったからこそ、素材の味も感じられるように仕上げた。
「v2ミートには生臭さもなく、管理もしやすいです。今回も巻いてから冷凍し、注文が入ってから揚げているが、ドリップが出ないから使いやすい。そういった意味では、餃子や焼売あたりも相性は良さそうですね。加工しやすく、管理もしやすい。そして味も申し分ないなら、今後もまたv2ミートを使ってみたい。」(波間取締役)
株式会社フードキャッチ 波間進午取締役
「エスニックv2ミート春巻き」を食べたお客様からの評判も上々だ。食べてみて改めてプラントベースミートだと驚く方も多い。
「ここは肉を食べにくるお客様が多いですが、グループの中には肉が苦手だったり、たまたま肉という気分じゃなかったりという方もいます。また、今後は食への考え方も多様性が求められる時代。プラントベースミートだって、ベジタリアンやヴィーガンの方だけのものではなくなるでしょう。今後、必然的に一般化していく食材だと思いますよ。」(波間取締役)
■信長 水道橋店 (東京・水道橋)
信長 水道橋店
焼き鳥は1本80円~、から揚げは1個80円。リーズナブルな価格設定が人気の大衆酒場「信長 水道橋店」には、水道橋という立地柄、昼夜ともに仕事終わりのビジネスパーソンや学生が多く訪れる。
運営は株式会社OC。「信長」とは別に、焼き鳥と串揚げをメインにした「秀吉 神保町水道橋店」などを手掛けている。
店内は絵に描いたような大衆酒場
カウンターとテーブル席合わせて60席の店内には提灯の優しい明かりが灯されている。絵に描いたような大衆酒場の雰囲気は、ワイワイ賑わっている方が妙に落ち着く。
そんな「信長 水道橋店」で、「何か定番とは違うメニューを置きたいと考えていたタイミングで、v2ミートを知ってこれだと思いました。」と話すのは、上中勇耶営業統括部長だ。
「大豆の味は感じるものの、ジューシーで、何より食感が肉に近いことに驚きました。これまで食べたプラントベースミートはもっと植物っぽさを感じていた。v2ミートと他のプラントベースミートとの一番の違いはそこですね。」(上中営業統括部長)
v2メンチカツ 300円(税込)
「お店柄、提供までに10分以上かかるメニューはあり得ない。アルバイトスタッフだけでお店を回す日もあるので、誰でも調理できるスピードメニューにする必要がありました。」(上中営業統括部長)
その点、「v2ミートメンチカツ 300円(税込)」は、v2ミートパテを4分割し、整形し、衣をつけて揚げれば完成する。肉を使用する場合、余熱による火の入り方を計算するが、プラントベースミートの場合はその必要もない。業態としても相性が良かった。
「一度解凍してしまったメンチカツを、再冷凍しても味が落ちなかった。これも本当に驚きました。」(上中営業統括部長)
「信長 水道橋店」スタッフの柳田玲さん
実際に現場で「v2メンチカツ」を提供している柳田玲さんは、お客様のリアルな反応について以下のように話す。
「プラントベースミート使用を説明しても、本当は肉を使っているだろうと信じてもらえないことがあります。そのリアクションを見て、他のテーブルから注文が入ることも多いですね。みんな興味は持っているようで、プラントベースミートについて質問を受けることもあります。v2ミートは、お客様とのコミュニケーションツールとしても役立っています。」
系列の「秀吉 神保町水道橋店」では、v2ミートを使った串揚げを提供。そちらも人気だそう。
「最近は、野菜串の中に"v2ミートつくね"があってもいいかもなんて考えています。」(上中営業統括部長)
■chacoal grill & bar GARAKUTA-YA我楽多家 新宿店 (東京・新宿)
多くの方がカメラを向ける「chacoal grill & bar GARAKUTA-YA我楽多家 新宿店」の壁画
大衆的な居酒屋から創作料理を提供するバル風の店まで、株式会社TRUSTY CORPORATIONが手掛ける業態は幅広い。一貫していることは、厳選した鶏肉を炭火で丁寧に焼き上げた焼き鳥がメインであること。
2017年10月にオープンした「chacoal grill & bar GARAKUTA-YA我楽多家 新宿店」も、そのこだわりは変わらない。焼き鳥をメインにしながら、洋風メニューも多く取り入れたバル分の居酒屋。壁に描かれたアートや流木のシャンデリアなど、多くのお客様がカメラを向ける洒落た内装にも注目だ。
流木のシャンデリアがお洒落な店内
以前、社員旅行でベトナムを訪れた北野力料理長は、視察したヴィーガン料理店で口にしたプラントベースミートに衝撃を受けた。それまで口にしてきたプラントベースミートとは、味も食感も全く別物だと感じたそうだ。
「見た目も、味も、食感も肉そのもの! v2ミートを初めて食べた時、当時の記憶が甦りました!」(北野料理長)
北野料理長は、v2ミートを試食した感想をそう表現した。
パイに包んだ野菜たっぷりのキーマカレー 880円(税込)
v2ミートを使用したメニュー開発を行う中、複数の候補から最終的に採用されたメニューが、「パイに包んだ野菜たっぷりのキーマカレー 880円(税込)」。
一般的に、プラントベースミートを使った料理を考える時、他の食材にも動物性の食材を一切使用しないメニューを考えがちだ。しかし、こちらのメニューは違う。パイ生地には動物性のバターを使用し、プラントベースミートをあくまで一つの食材として使用している。
「肉を食べたい方にとっては、"植物性"をアピールした時点で選択肢に入らない可能性があることは事実。今回はv2ミートのポテンシャルを活かして、ヴィーガンやベジタリアンでない方に向けたメニュー開発を意識しました。」(北野料理長)
系列店では、プラントベースミート使用をアピールせず、「パイに包んだ野菜たっぷりのキーマカレー」というメニュー名のみ表記して試験販売を行った。結果は限定30食が一週間足らずで完売。プラントベースミート使用を指摘されることは、一度もなかったそうだ。
株式会社TRUSTY CORPORATION・北野力料理長(左)と富永有馬店長(右)
「肉は肉自体から脂がにじみ出てくるが、プラントベースミートにはそれがない。肉とは少し違ったアプローチは必要ですが、使い勝手や管理のしやすさ、味や食感を考慮すれば、アレンジの幅はかなり広がっていくと思います。今回のようにv2ミートを"肉"として使用することはもちろん、ひとつの美味しい"野菜"として使用するのも面白い。単純に美味しい料理が食べたい全ての方がターゲットの食材ですね。」(北野料理長)
「もしv2ミートのつくね串があれば、選択肢の幅が広がりそうですよね。焼き場には、必ずスタッフが一人いるから焼き方の細かい調整もできます。美味しい物を食べたいけど、ヘルシー志向やカロリーが気になって肉の量を制限したいという方にも喜ばれそうですね。」(富永店長)
取材した3店舗は、いずれも従来のプラントベースミートのイメージを覆すv2ミートとの出会いから、そのポテンシャルを活かした新メニューを開発した。もちろん、そのターゲットも従来のプラントベースミートとは異なる。
プラントベースミートについて、未だにヴィーガンやベジタリアン向け食材だと認識している方がいるとしたら、早急に考えをアップデートする必要がありそうだ。
<取材店舗>
「Meat&Oyster 渋谷 kairi」
東京都渋谷区道玄坂1-11-1 第二大番203
TEL:03-6809-0634
「信長 水道橋店」
東京都千代田区神田三崎町3-3-18 ABRiver水道橋1F
TEL:03-5357-1076
「chacoal grill & bar GARAKUTA-YA我楽多家 新宿店」
東京都新宿区西新宿7-15-17 東光ビル4F
TEL:03-5937-6930
【PR】
v2 food
読者の感想
興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0
- 総合評価
-
- 0.0