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2020年10月05日(月)14:54

コロナ禍での新会社設立。CTスピリッツジャパンが9月1日より本格始動。「アぺ飲み」文化を定着させられるか?

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取材・執筆 : 小山裕史 2020年10月2日執筆

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CT Spirits Japan株式会社代表取締役社長 阿部哲 氏

 コロナ禍による外食業界の痛時はアルコールメーカーにも大きな影響を与えている。ビールメーカー4社を中心に業務用事業への大打撃は図りしれない。しかし、暗いニュースだけではない。飲食店で馴染み深いカンパリやアペロールなどを扱っているカンパリグループ(イタリア)が日本で合弁会社を設立、CT Spirits Japan株式会社(本社:東京都渋谷区 代表取締役社長 阿部哲)が、2020年9月1日より本格始動した。

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 CT Spirits Japan株式会社(以下、CTSJ)代表である阿部氏はサントリーのOB。サントリー在籍時代はマーケティング部や海外勤務など洋酒全般に携わっていた。会社設立がコロナ禍真っ只中であり、新会社設立から1カ月経った6月、代表の阿部氏に日本市場への展望について話を聞いた。

---短期、中期の経営方針について。

阿部 カンパリグループはアジア市場においては、競合のスピリッツメーカーと比較しても販売構成比が、極めて低いのが現状です。ビームサントリーさん、MHD(モエ ヘネシー ディアジオ)さん、レミーコアントローさんなどは30〜40%をアジア市場で占めていますが、カンパリグループが占めるアジアの市場はたった7%です。

 カンパリグループは、アジア市場での販売を拡大するために、3つのイニシアティブを獲ろうとしています。1つは、オーストラリアからシンガポールにアジアパシフィック本社を移し、インド、中国、そして日本を中心にアジアでのビジネスを強化します。2つめは、中国へのマーケティング投資。アペロールを拡販していきます。3つめが重要な取組みで、自社販売の会社を設立することで、アジア市場の売り上げを大きくしていく目標です。2025年までにアジアパシフィックの売上を2倍に、そして日本市場では1.6倍の売上を目標に活動していきます。日本市場でビジネスを拡大するためには、ディストリビューターさん頼みではなく、自分達でマーケティング及び営業活動を行い、ブランドをしっかりと作っていくことのほうが拡販に大きく繋がります。カンパリは世界で第6位のスピリッツメーカーでもありますので、日本市場は我々でしっかりと取組んでいきます。

---経営方針の重点課題について。

阿部 カンパリグループは業務用比率が6割を占めていますので、業務用市場をしっかりと開拓することが、CTSJとしても最重要課題です。業務用での活動を詳しく説明すると「カンパリ」、「アペロール」、「スカイウォッカ」、「ブルドッグジン」など、スピリッツやリキュール類のポートフォリオがしっかりと確立されていることもあり、ミクスソロジー系のBARやオーセンティックなBARなどに、商品や飲み方などカクテルを主体に提案していきます。カンパリグループの理念でもあります『TOASTING LIFE TOGETHER』とは、「カクテルでみんなを祝福しよう!」と言うメッセージであり、皆さんと良い時間が作れたら良いと思います。

 また、「ワイルドターキー」は日本市場で確立されているブランドでもあり、8年が主体ですが、13年やレアブリードなど、バラエティ豊富な「ワイルドターキー」をホテルのバーなどにも積極的に提案していきたいです。

---スピッツ、リキュールのポートフォリオは?

阿部 各種ブランドの世界観を損なわないように展開していきます。カンパリについては、ソーダ割りのイメージが定着していますが、実は世界で一番飲まれているのは、カンパリにジンとベルモットを合わせたネグローニです。ネグローニは世界第二位のカクテルなんですよ。その他にも、バーボンを使ったブールヴァルディエや、ワインベースのアメリカ--ノなど、カンパリを必ず使わないと作れないカンパリらしいカクテルを訴求していきます。ブランドの世界観をよりカクテル寄りにもっていきます。

 また、ルーフトップ、カフェやダイニング業態でテラス席を設けているお店などは最優先のターゲットでもあります。食前酒であるアペリティーボの文化を東京から流行らせたいと思っています。アペロールのお取扱いを提案するのではなくアペリティーボの文化を提案、サポートしていきたいです。コロナ禍でビジネスマンのワークスタイルも変わり、早い時間からアルコールを楽しめるようにもなりました。また、飲食店の路上利用緩和もあり、多くの路面店でテラス席の設置が可能になり、アペリティーボの提案がし易くなりましたので、飲食店様のニーズに合った販促物をご用意することで様々なサポートさせていただきます。

---若年層への飲用促進の取組み、付加価値提案は?

阿部 カンパリの飲用比率は40代女性がメインで、残念ながら20代の飲用は低いです。コロナ禍でオンライン飲み会がブームになっていますが、若い世代だとカンパリやアペロールが画面上に写ると「そのお酒って何?」となるんですよ(笑)。また、カンパリやアペロールはオンライン飲み会で"映え"するアルコールでもあり、オンライン飲み会で知って、そのままネットショップで発注する人も多くいるので、今、カンパリやアぺロールはネット通販でも売れています。昔と違い量販店やコンビニでも各種メーカーのソーダが一般的に売られていますので、カンパリやアペロールをより家庭で楽しむことができます。オンライン飲み会に注目して、ソーシャルメディアを使って若年層に仕掛けていきます。

 最近のドリンクの推移を見ると、ハイボール、そして今はレモンサワーが流行っていますが、どちらも実は30数年前に流行った飲み方がリバイバルしており、どちらもソーダで割っています。昔と違い、どこでもソーダを購入できますので、次はソーダを使ったリキュールのカクテル、「カンパリソーダ」の兆しが見えてきます。

---アルコールメーカーとしての日本市場での位置づけ、自社の強みをどう思いますか?

阿部 販売とマーケティングが連動できることで、ブランドの世界観をベースにした営業活動も可能になり、また、営業活動をベースにしたマーケティング活動もできるのも大きな強みになると思います。付け加えるなら、カンパリグループの戦略にも即座に対応できます。

 コロナ禍で社会の変化があるなか、ビジネスマンのアルコールを楽しむ環境や飲み方も変わってくると思います。CTSJとしては、イタリアなどヨーロッパの飲み方、文化などを飲食店に寄り添い、ご紹介できればと思います。例えば、東京の虎ノ門と新橋を結ぶ新虎通りで、カンパリのパラソルが並びビジネスパーソンが、アペリティーボを楽しむ光景をCTSJが創っていくのが使命であり、義務でもあります。夕方、アぺリティーボから始まるビジネスパーソンの夜をCTが演出できたら最高ですね(笑)。

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料飲店に提案しているアペリティーボ キャンペーン

 9月1日より、本格始動したCT Spirits Japan。既に、7月1日はラムベースのココナッツリキュール「KOKO KANU」、プレミアムバーボン「RUSSELL'S RESERVE」、プレミアム クラフト ロンドン ドライジン「BULLDOG」を新発売。9月1日にはサンフランシスコ発、若者に人気のRTD「スカイブルー」をリニューアルし、新フレーバー「スカイブルー パッションレモン」を新発売した。ボトル飲み、レモン人気が定着しているなか、「スカイブルー パッションレモン」は、若者がお洒落に"キメル"一本になると予感させられる。

 また、「スカイブルー」はサンフランシスコ生まれのブランドであり、進歩的で多様性に富んだサンフランシスコの街はLBGTをサポートするイベントなどが多く開催されており、LGBTの世界では最も有名なエリアの一つとなっている。昨年、日本でも「TOKYO RAINBOW PRIDE」、「RAINBOW FESTA!」などのイベントに合わせて、新宿2丁目などLGBTのコミュニティーが多く集まる場所(料飲店)でサポートをしており、今後も「スカイブルー」はLGBTイベントを引続き強化していくと言う。

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スカイブルー パッションレモン(275ml)※アルコール4%
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 スカイブルー シトラス(275ml)※アルコール4% 

 今後はマーケティングと営業活動を一貫することで、カンパリ、アペロールなど各ブランドの魅力を改めて発信、アルコールシーンにおけるニューノーマルへの転換をCTSJに期待したい。また、CTSJらしい面白い取組みも決定した。バーテンダーと一緒にカクテルシーンを盛り上げるプロジェクト『CT SPIRITS JAPAN カクテルチャレンジ』の開催である。CTSJが提供する製品を使用したオリジナルカクテルを考案、10月20日よりWEBで募集を開始、最も優れたカクテルを最優秀作品として選出する。

 「CT Spirits Japan」なしで、カクテルは語れない。大人になればなるほど"カクテル"が恋しくなる。本当に味わい深い"カクテル"を知っている、それが大人の証であるに違いない。


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<企業情報>
CT Spirits Japan 株式会社
東京都渋谷区神宮前2-26-5 3F
代表取締役社長:阿部 哲

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