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2019年2月19日(火)11:13

事業成長期に必要な新職種「チーフ・おもてなし・オフィサー」

‐企業理念の浸透は業績向上を加速させる-

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取材・執筆 : 株式会社 野村総合研究所 2018年11月取材

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 一家ダイニングプロジェクトさんは「こだわりもん一家」や「屋台屋 博多劇場」などの飲食店を展開されています。2012年にはブライダル事業にも進出されました。その事業拡大の根底には「あらゆる人の幸せに関わる日本一の"おもてなし"集団」というグループミッションがありました。そして、事業を超えたサービススキルの強化に向け、両事業のおもてなし力向上を統括する役職として、COO(チーフ・おもてなし・オフィサー)を配置し、改善を図っていらっしゃいます。今回は、COOの奥田さん、広報・社長秘書の片岡さんにお話を伺いました。

<企業について>
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<インタビューについて>
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チーフ・おもてなし・オフィサー 奥田英里さん
・2012年にS1サーバーグランプリで準優勝。その後、2014年に一家ダイニングに入社し、「女将※」の立ち上げを行う。
※ホールスタッフを、着物を着た『女将』と、それ以外の従業員で分け、それぞれの業務範囲を明確にすることにより、よりきめの細かい接客を可能にすることを目指したもの。
・現在は、COOとして飲食事業、ブライダル事業のおもてなし力アップを図る。


<チーフ・おもてなし・オフィサーとは?-内容とその成果->
ざっくり言うと・・・
・COO(チーフ・おもてなし・オフィサー)とは「あらゆる人の幸せに関わる日本一の"おもてなし"集団」というグループミッションを社内に浸透させる役職
・部署・事業を超えて、おもてなし力の浸透を図る。また、希望する社員に対しては、マンツーマンでサービス力アップ教育を実施
・成果として、ブライダル事業の売上向上や成約率向上(前年度から5%アップ)の他、S1サーバーグランプリに積極的に応募する社員が1名⇒10名に増加

COO(チーフ・おもてなし・オフィサー)のイメージ図
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<COOの奥田さん、広報・社長秘書の片岡さんへのインタビュー>

事業拡大により更なる理念浸透とおもてなし力向上が求められCOOを設置
イ: COO(チーフ・おもてなし・オフィサー)はどのような経緯で設置したのですか?
片: まず、弊社はもともと飲食事業を母体に事業を展開しています。そして、創業当初から"おもてなし"精神を大切にしてきました。2012年には飲食事業で培った"おもてなし"の心を武器にブライダル事業に参入しました。その時に、目指すべきグループミッションとして、「あらゆる人の幸せに関わる日本一の"おもてなし"集団」を据えています。ちなみに、その際には、当時、奥田に飲食事業からブライダル事業に移ってもらいました。弊社は今後も、"おもてなし"の心精神をベースにして、事業展開をしていこうと考えているのですが、最近社員数が急速に増加していることもあり、なかなかその企業理念が細部にまで浸透しづらくなってきました。そこで、S1サーバーグランプリ受賞経験があり、接客に定評のある奥田をCOOに据えて、"おもてなし"力の向上を図ろうと考えました。弊社には当時から人財教育制度があるのですが、その制度はどちらかといえば、年齢・役職・部署を考慮し、段階的にその人に適した講習を実施するというもので、企業理念の浸透を目的にした講習は多くありませんでした。そこで、COOを設置し、事業を越えてで企業理念の浸透、おもてなし力の向上を図ろうとしたわけです。

COOは苦労を乗り越えながら、様々な施策を実行。
イ: 奥田さんは飲食事業からブライダル事業メンバーに抜擢され、そしてその後COOに任命されたとのことですが、どう感じましたか?
奥: まず、ブライダル事業への異動を聞いた時は、正直泣きました(笑)。もともと飲食が大好きだったので...でも、社長等とも多くを話し、気持ちを切り替えました。
イ: COOに任命された時はどう感じましたか?
奥: 驚いたけど、嬉しかったです。ブライダル事業だけではなく飲食事業にも関われることが増え、会社に貢献できることを1つでもしていこうと考えるようになりました。
イ: 具体的にはどのような取組をされているのでしょうか?
奥: 就任当初は社内コミュニケーション・ツールを利用して、"おもてなし"関連の情報を継続的に発信していました。また、全社的な講座を年に数回実施しています。それだけでなく、日々現場に入って社員教育、基本的にロールプレイングによる社員教育をしています。
片: 奥田のスケジュールは面白い。奥田はスケジュールを一時間ずつ空けていて、社員は彼女のスケジュールをチェックして、自ら教育を申し込んでいる。そういう仕組みを自ら作って実行してくれている。

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当日のインタビューの様子(左:奥田さん、右:片岡さん)
 
売上や成約率が向上するチームに進化。"おもてなし"に積極的な社員も激増。
イ: 実際にどのような効果がありましたか?
奥: ブライダル事業の売上向上、年間成約率も前年度に比べて+5%の成長を実現しました。何よりも、私がいなくてもKPIを達成できているので、社員が"おもてなし"の心を体現している証拠だと感じています。また、社員がS1サーバーグランプリに積極的に参加するようになりました。今までは、応募数1名とかいうレベルだったのが、今年は10名にまで伸びました。また、S1グランプリ出場者の平均点で競われる「企業賞」を二年連続で受賞しています。
イ: 企業賞を受賞となると、貴社自体のブランド力向上にもつながっていますね。
片: そう思います。奥田だけでなく、弊社全体として、"おもてなし"精神が根付き始めていると実感しています。

<編集者コメント>
事業拡大に伴い新卒採用人数も増加し、更なる企業理念浸透、おもてなし力向上が求められることに。そこでS1グランプリで準優勝の経験がある奥田氏を採用し、 COOに抜擢して、"おもてなし"精神の教育を実施。奥田氏は社内コミュニケーション・ツールで継続的に情報発信したり、全社講座等で"おもてなし"精神の実践事例を共有し、社内での共通理解醸成に努めていらっしゃいます。他にも、現場にも入り込んで、背中を見せながら教育することで、従業員の共感をうみだしています。結果、飲食事業ではS1グランプリへの自主的な参加者が向上し、ブライダル事業ではチーム成約率5%向上に貢献しています。今後、2020年オリンピックも控え、"おもてなし"精神はなおさら付加価値向上の重要な要素になっています。一度、COOのような役職を導入し、全社的な理念浸透を図ってみてはいかがでしょうか?

取材協力:株式会社 一家ダイニングプロジェクト
執筆者:株式会社 野村総合研究所
※なお本稿は2018年11月の取材に基づくものです。

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